デジタル
スマートフォン
2023/8/3 11:30

物議を醸したドコモの新料金プラン「irumo」「eximo」は改悪か? 実はお得な場合も

ドコモは7月1日から、2つの新料金プラン「irumo(イルモ)」と「eximo(エクシモ)」の提供を開始しました。発表当初、「わかりづらい」「改悪」といった声が聞かれ、評判が決していいとは言えなかったドコモの施策です。なぜそうした批判が出たのでしょうか? 細かく紐解いていけば、すべてが改悪ではないということもわかります。

 

格安SIMやスマホのお得な情報、最新ニュースを発信するメディア・モバワン編集部が解説します。

↑ドコモのサイト(https://irumo.docomo.ne.jp/)から

 

小~中容量帯プランの追加で他社に並ぶドコモ

まずは大きな流れから説明しますと、ドコモが今回発表した2つのプランというのは、幅広く無制限データまで利用可能なeximo、0.5GB〜9GBをカバーする小〜中容量帯のirumo、それに加え、元々あったドコモの格安プランであるahamo(20GBプラン&大盛り100GBプラン)の3つを合わせてラインナップしたところに意味があります。これまでカバーしきれなかった小〜中容量帯プランを付け加えることで、ようやく他社がそろえる料金プランと並んだというわけです。

 

auにおけるUQモバイル、ソフトバンクにおけるワイモバイルが明確な違いを打ち出してきましたが、これまでドコモは小〜中容量帯のプランがありませんでした(厳密にはOCN モバイル ONEがありましたが、新規受付が終了)。ドコモが今回irumoを打ち出すことで、ほか2キャリアに対抗してきた形と言っても過言ではなく、既存ユーザーの囲い込みを狙ったものと言えるでしょう。

 

そんなirumoとeximoの概要を説明します。

 

データ使用量に合わせてプランを選べるirumo、幅広い人におすすめのeximo

irumoの基本情報

irumo
データ容量0.5GB ※13GB6GB9GB
月額料金550円2167円2827円3377円
国内通話料22円/30秒
超過時の通信速度最大128kbps最大300kbps

※価格は税込表示です(以下すべて)。
※表は右にスクロールできます(以下すべて)。
※1 0.5GBの通信速度は送受信最大3Mbpsとなります。

 

irumoは、データ容量が「0.5GB・3GB・6GB・9GB」に設定され、自身のデータ使用量に合わせて好きなプランを選択することができます。データ容量を超過してしまった場合、通信速度は最大300kbpsとなりますが、SNSやテキストが中心のWebサイトの閲覧、音楽ストリーミングサービスなど、普段スマホでよく使う機能であれば利用可能。

 

ほかの大手通信キャリアの料金プランであまり見ないのが「0.5GB(500MB)」のプラン。電話の利用がメインの人やサブ回線(2台目)として持っておきたい人におすすめです。ただし、0.5GBのプランは、通信速度が最大3Mbpsかつ4G通信しか利用ができず、データ容量超過後の速度は最大128kbpsとなることから、動画視聴やSNSの閲覧などには不向きでしょう。

 

eximoの基本情報

eximo
データ容量〜1GB1GB〜3GB3GB~無制限
月額料金4565円5665円7315円
国内通話料家族間通話無料 ※2
家族以外への通話:22円/30秒
超過時の通信速度

※2 同一「ファミリー割引」グループに加入している場合、国内通話は無料となります。

 

eximoは、データ使用量が1GB未満の場合は月額4565円(税込)、1GB~3GBまでの場合は月額5665円(税込)、3GB以上の場合はデータ容量無制限となり、月額7315円(税込)で利用できる3段階制のプランとなっています。

 

データ使用量が少ない人から、月々のデータ使用量にムラがある人、データ容量を気にせず5G通信を無制限で使いたい人まで、幅広い人におすすめのプランと言えます。

 

それでは、データ容量で比較してみます。

 

irumo/eximo/ahamoの比較

データ容量irumoeximoahamo
0.5GB550円2970円
1GB4565円
3GB2167円5665円
6GB2827円7315円
9GB3377円
20GB
100GB ※34950円 ※3
無制限

※3 大盛りオプション加入時。

 

上記のうち「irumo:9GB」と「ahamo:20GB」を比較すると、ahamoのほうが11GB多く使えるうえに、月額407円(税込)安くなります。

 

また、ahamoは20GBのプランに大盛りオプション(80GB)を追加することで100GBを利用可能。「ahamo大盛り:100GB」と「eximo:~無制限」を比較してみると、ahamo大盛りのほうが月額2365円(税込)安くなります。

 

つまり、irumo、eximoに割引を適用しない場合、毎月のデータ使用量が6GB以上100GB未満の人はahamoがおすすめ。ただし、ahamoはオンライン手続きを基本としたプランのため、ドコモショップでサポートを受ける場合は1回3300円(税込)の利用料金がかかります。

 

批判の対象となったOCN モバイル ONEとの比較。割引前提の値段設定?

では、ここで批判のひとつになっているOCN モバイル ONEとの比較を説明します。OCN モバイル ONEは、irumoの登場により、2023年6月26日をもって新規受付が終了しました(加入者は今後も利用可能)。図表をご覧ください。

 

irumoとOCN モバイル ONEの料金プラン比較

通信容量irumo
()は割引時※4
OCN モバイル ONE
0.5GB550円550円
1GB770円
3GB2167円(880円※4990円
6GB2827円(1540円※41320円
9GB3377円(2090円※4
10GB1760円

※4 ドコモ光セット割/home 5G セット割、dカードお支払割適用時の金額となります。

 

3GB以降の利用料金が、irumoの方が明らかに高額。一方で、割引を適用すれば、ほぼ同額になるため、「割引を前提とした値づけ」という声もあがっています。

 

割引についての比較は下記にまとめています。「ドコモ光セット割」は自宅でのWi-Fi通信の加入、「みんなドコモ割」は家族での複数回線利用、「dカードお支払割」は、「dカード」または「dカード GOLD」(家族カードも含む)でドコモの利用料金を支払うと、月額187円(税込)が割引されるサービスです。

 

ドコモの新料金プラン:各種割引適用時の料金シミュレーション

irumoeximo
データ容量0.5GB3GB6GB9GB〜1GB1GB〜3GB3GB~無制限
月額料金550円2167円2827円3377円4565円5665円7315円
ドコモ光セット割
/home 5G セット割
-1100円
みんなドコモ割-1100円 ※5
dカードお支払割-187円
割引適用後 ※6550円880円1540円2090円2178円3278円4928円

※5 ファミリー割引グループが3回線以上の場合の割引金額です。

※6 irumoの0.5GBプランは割引対象外です。

 

上記のうち「irumo:3GB」と「eximo:1~3GB」を比較すると、どちらも3GBまでのデータ容量にも関わらず、irumoの方が月額2398円(税込)安く使うことができます。年間にすると、2万8776円(税込)と非常に大きな差。月々のデータ使用量が3GB未満の人はirumoをおすすめします。

 

また、「eximo:~無制限」と「ahamo大盛り:100GB」を比較すると、eximoのほうが月額22円(税込)安い結果となっています。

 

動画視聴やInstagram・TikTokなどのSNSをよく利用し、20GB以上のデータ容量を必要とする人はeximoがおすすめ。ただし、20GB~100GBのデータ容量があれば十分で、短めの通話をよく利用するという人は、5分以内のかけ放題がついたahamoがベターです。

 

改悪ばかりでもない。データ通信量が少ない人にはirumoはメリット大

どうしても改悪ばかりの評判が多くなっていますが、大きく改善された点もあります。旧プランとの比較があり、下記の図表をご覧ください。

 

irumoと5Gギガライトの料金プラン比較

通信容量irumo
()は割引時※7
5Gギガライト
()は割引時※8
0.5GB550円3465円(2178円)
1GB
3GB2167円(880円)4565円(2728円)
5GB5665円(3278円)
6GB2827円(1540円)6765円(4378円)
7GB
9GB3377円(2090円)

※7 ドコモ光セット割/home 5G セット割、dカードお支払割適用時の金額となります。

※8 ドコモ光セット割、みんなドコモ割(3回線以上)、dカードお支払割適用時の金額となります。

 

ご覧の通り、データ容量は似ているものの料金は比較になりません。irumoは「5Gギガライトの代わり」ではなく「OCN モバイル ONEの代わり」と考えるのが適切です。

 

これまで5Gギガライトを利用してきた人は、irumoを利用することで通信料金を大幅に下げることができ、大きなメリットとなるでしょう。

 

eximoと5Gギガホ プレミアの料金プラン比較

通信容量eximo
()は割引時※9
5Gギガホ プレミア
()は割引時※10
~1GB4565円(2178円)5665円(3278円)
1GB~3GB5665円(3278円)
3GB~無制限7315円(4928円)7315円(4928円)

※9 ドコモ光セット割/home 5G セット割、みんなドコモ割(3回線以上)、dカードお支払割適用時の金額となります。

※10 ドコモ光セット割、みんなドコモ割(3回線以上)、dカードお支払割適用時の金額となります。

 

一方、eximoは5Gギガホ プレミアと比べると、1GBの段階が増えただけで、それ以外は基本料金・割引適用時ともに変わりません。今まで5Gギガホ プレミアを利用してきた人で、月によっては1GBしか使わないなどデータ使用量にムラがある人は、eximoに乗り換えた方がお得に利用できます。

 

批判されたのはネーミングの問題もある

今回批判された理由のひとつには、「名前がわかりづらい」といったことも挙げられました。各プランの語尾につく「mo」でまとめたかったのかと思いますが、慣れの問題もあり、いずれ時間が解決してくれるでしょう。

 

また、細かい部分では、irumoではドコモのメールアドレス(@docomo.ne.jp)を引き継ぐことができず、申し込むには月額330円(税込)を支払わなければなりません。さらに、irumoでは、家族への通話は有料となります。

 

ただし、irumoは安いプランであるため、それ以上を求める場合は、費用がかかるのはある種当然でもあり、オプションサービスを求める人は、支払い額を細かくチェックする必要があります。

 

最後に、モバワンでは『最新情報|ドコモの新料金プラン「irumo」「eximo」を徹底調査!おすすめは?』と題して、詳細を解説しています。新料金プランに変えた方がいいケースを細かく紹介していますので、ぜひともチェックしてみてください。

 

※本情報は7月31日時点のものです。