アップルは9月13日午前2時(日本時間)にスペシャルイベントを開催し、「iPhone 15」シリーズを発表すると見られています。今年の最新モデルは、全4機種ともLightning端子に替えてUSB-Cポートを搭載することが確実視されています。
こうした方針変更は、EUが2024年末以降に域内で発売されるスマートフォンにつき、有線充電端子としてUSB-C採用を義務づけるため、アップルもやむを得ず対応すると推測されています。
が、発表イベント当日、アップルはUSB-Cの採用を「ユーザーにとっての大きな勝利」とポジティブに表現すると著名ジャーナリストが主張しています。
アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、同社が次のようにUSB-Cの利点をアピールすると予想しています。
- お客様は充電ケーブル1本でiPhone、Mac、iPadを使えるようになる
- 新型iPhoneのハイエンドモデルでは、データ転送速度が飛躍的に向上する
- 場合によっては、iPhoneの充電も速くなる
- iPhoneは何十億ものアップル以外のデバイスで使われる充電器と互換性を持つことになる(充電アダプタを流用できる)
その一方で、アップルにとってのデメリットも列挙されています。
- Lightning規格を使っていたアクセサリーメーカーからのライセンス収入を失うことになる
- この切り替えにエンジニアリング資源と資金を割かなければならない
- Androidのエコシステムと互換性が高まることで、顧客がアップルから離れやすくなる恐れがある
- ユーザーの反発を買うリスクがある(2012年のLightning移行時や、2016年にヘッドホンジャックを廃止したときに怒りを呼んだ)
これらの懸念を軽くするため、アップルはiPhone 15の箱にUSB-Cケーブルを同梱するとのこと。それでも、最近のiPhoneには充電アダプタが付いてこないため、すでにLightning対応アダプタを持っている人からは反発が避けられないかもしれません。
なぜ、アップルは頭の痛いUSB-Cへの切り替えを笑顔で発表するのか? Gurman氏によれば、それは「新製品の紹介、あるいはメディアに対応するときは、常に強気の姿勢で臨む」という鉄則があるため。13日の基調講演では、EUについても、政府のUSB-C付けを何度も批判したことにも言及しないと予想しています。
また、政府が製品設計に影響を与えたという、潜在的に有害な前例も作りたくないためとも指摘しています。要は公的機関がiPhoneの設計に発言権を持つと思わせるのはマズい、ということでしょう。
そうした予備知識を持っておくと、iPhone発表イベントも味わい深く鑑賞できそうです。