2023年は生成AIが大きな注目を集めていますが、日常生活に役立つレベルには(まだ)至っていない印象があります。そんな中、AIが衣服の画像を1枚見るだけで、縫製まで再現することに成功したと報じられています。
この実験を行った研究者らによれば、見せられた服を95.7%もの確率で再現できたとのこと。具体的には、2段階のシステムから構成されています。
まずは100万枚の画像と人間のポーズ、体形、縫製パターンを幅広くカバーした「SewFactory」というデータセットの作成。これによりAIを訓練して、どのようにパーツが合わさっているか、どのパターンを使って服を再現できるかを理解させます。
次に、服の縫製に特化したTransformerネットワーク「SewFormer」を使用。Transformerとは深層学習モデルであり、ChatGPTやGoogle BardといったチャットAIの基礎となった技術です。
このSewFormerは縫製パターンの予測が大幅に改善されており、何げなく撮った写真からも、服のパーツやつなげ方を含めて、衣服をデジタルで完全再現できるというわけです。
実際にこのAI技術をどこに生かすのか? 研究者らは「ファッションデザイン、仮想試着、デジタルアバター」などを挙げています。
つまり、VRヘッドセットをかぶって本物さながらのバーチャル服を着てみたり、現実世界の服をメタバースのキャラに着せてみたり……といったところでしょう。VTuberのアバター制作にはかなりの費用がかかりますが、現実の服をデジタルに取り込めるなら、コストも安くなりそうです。
このシステムが実際にメタバースやゲーム業界、あるいはアパレル業界に広く採用されることになるのか、今後の展開は不明です。逆にアニメやゲームの画像を分析して現実の衣服を縫製できるようになれば、コスプレなどさらなる可能性が広がるかもしれません。
via:BGR