テックおよびガジェット系ライターとして年に1000本以上の記事を書いていると、「これいいなあ……」とウズく物欲にブレーキをかけるのも仕事のうち。でも、ブレーキを踏み抜いて物欲に負けることも少なくありません。「最初は完全にスルーするつもりだったのが、少しずつその存在が頭の中で大きくなり、ついには買っていた……。しかし後悔は断じてない!」という2023年のアイテムを3つご紹介します。
1: Meta Quest 3
今やVRヘッドセットの定番になっているMeta Questシリーズ、その最新モデル。正式発表前からリーク情報を追っかけていて、予約開始と同時にスタートダッシュでポチりました。前Quest 2はオークションで4万円そこそこでゲットしたのですが、今回は円安まっさかりのときでもあり、オプション類全部込みで10万円を突破してしまいました。
買ったのは最上位の512GBモデルで、バッテリー内蔵エリートストラップやシリコン製フェイスインターフェース込み。純正品だけに価格も張りますが、サードパーティ製品が出てくるまでに3か月~半年ほどかかりますしね。
ディスプレイはQuest 2比で30%高解像度化、グラフィック性能は2倍。カタログスペックは爆上がりしていますが、それも専用ソフトありきのお話。ゲームもアプリもQuest 2向けのものとの互換ばかりで、体験がゴージャスになったというわけではありません。でも、アプリ起動の速度アップは体感できます。
「それでも買って良かった!」と断言できるのは、やはりカラーパススルーのおかげ。要は「ヘッドセットを被ったまま、外をカラーで見られる」機能です。
前Quest 2にもパススルーはあったものの、画質はモノクロで、家具や壁にぶつからないという程度でした。しかし、Quest 3はカラー化したうえ、解像度は10倍アップ。頭にかぶったまま、スマートフォンを操作できるほどよく見えます。
「まるで被っていないような……」は言い過ぎとしても、「机と椅子の間をすり抜けて、冷蔵庫からジュースを取り出す」ぐらいは楽々です。トイレに行くときも、いちいち頭から取り外さなくても良い。細かなストレスがなくなり、ヘッドセットを被っている時間がグンと長くなりました。
2: Galaxy Z Fold5
サムスンの最新折りたたみスマートフォン、タテ折りのGalaxy Z Flip5に対して、横折りで価格が高いGalaxy Z Fold5。正直、自分が買うとは思っていなかった製品の筆頭だったりします。
Galaxy Z Foldシリーズには以前から興味があったものの、2つの理由で腰が引けていました。1つ目の理由は、初代モデルがトラブルの多いデバイスだったから。もう1つの理由は価格がとても高い。
が、ライターとして同シリーズの動向を追っているうちに、「次期モデルは薄くて折りたたみ画面のシワが薄くなった?」「プロセッサーも最先端のものを搭載?」といった情報を入手し、そろそろ買いどきかも……と心が揺れることに。
最終的に背中を押されたのが、ドコモが始めた「いつでもカエドキプログラム+」でした。24回の割賦払いですが、早期利用料(最大1万2100円)を支払うことで、購入から1年後に返却すれば、残りの支払いはまるっと免除。もともと約25万円もする高級品が、1年限定とはいえ10万円以下で利用できるようになっちゃいました!
実際に使ってみたところ、「なんでもっと早く買わなかったのか?」と後悔するばかり。折りたためば普通のスマホサイズのため、腰のベルトホルダーやポケットに突っ込んでおける。さっとメールや電車の時刻表を確認するぐらいなら、外側のカバー画面だけで十分。電車で座れた場合は、約7.6インチもの広々とした画面で電子書籍や雑誌、ウェブサーフィンもすこぶる快適です。
とはいえ、やはり重いことは重い。一般的に「重い」といわれるiPhone 15 Pro Maxは221gですが、それを30g以上も上回る253gです。自分はiPhoneのほかiPad miniを持ち歩いていたので、個人的には「軽く」なったのですが、知り合いに持たせると「重ッ!」と言われました。
こんな Z Fold5は「スマホとタブレットの2台持ちをしていて、タブレットの重さにウンザリ。でも広い画面は捨てがたい」という人にお勧め。ともあれ、次の「Galaxy Z Fold6」も絶対買うと思います。もちろん、「いつでもカエドキプログラム+」を使って——。
3: ASUS ROG ALLY
2023年6月にASUSが発売した、ポータブルゲーミングPCの「Rog Ally」。2種類あるうちの価格が高いほう(10万9800円〔税込〕)であり、Ryzen Z1 Extreme搭載モデルです。7インチ画面の左右にXbox風のコントローラーを備えており、見かけはNintendo Switchと似ています。ただし、コントローラは本体から外せません。
すでに筆者はポータブルゲーミングPCとしてSteam Deckを持っていました。Steam DeckもPCゲームプラットフォーム「Steam」のゲームを遊ぶには便利なのですが、Linuxベースの「SteamOS」を搭載しているため、Windows用ソフトが全て動くわけではありません。それに性能もあまり高くはなく、AAA(超大作)タイトルを遊ぶにはグラフィック設定を下げる必要があります。
その点、Rog Allyはパワーもそこそこあり、重量級のゲームもかなり動きます。すでに8年前のタイトルですが、『GTA5』がモバイルゲーム機のようなマシンで不満なく遊べるのは感動もの。さらに重めのゲームでも「AMD RSR」(低解像度でレンダリングしたゲームの見かけを高解像度にする技術)をオンにすると、処理落ちナシ&美麗なグラフィックを両立させることだってできます!
より重要なことは、「Windows 11が動くPC」という点。つまり、Windows用ゲームは何の問題もなくプレイできるうえ、Steam Deckが基本的に対応していないXboxゲームパスさえも遊べちゃうのです。
このような理由でRog Allyを買ってしまいました。コストパフォーマンスの高さは文句なし。しかも、ゲーム以外のWindowsアプリも使えるので、「小さくて持ち歩きやすいWindows PC」が欲しい方にもお勧めできそうです。
こうしてこの一年のガジェット業界を振り返ると、円安のため海外からの輸入製品は価格面で厳しかったものの、技術的には成熟したものばかりで、しっかり出費の元が取れました。とても満足な当たり年です!