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2024/3/15 11:30

4万円弱ならあり!折りたたみスマホ「Libero Flip」は格好の入門モデルだ

Y!mobile(ワイモバイル)初の折りたたみスマートフォン「Libero Flip」が2月29日に発売されました。折りたたみスマホとしては異例のお手頃価格になっています。ここでは、Libero Flipのデザインや使い勝手から、値段差はあるものの同じくリーズナブルな「motorola razr 40s」との違いまで触れていきます。

↑ワイモバイル初のフォルダブル(折りたたみ)スマホ「ZTE Libero Flip」

 

新規・MNPなら3万9800円から。身近になった折りたたみスマホ

気になる価格は、ワイモバイルのオンラインショップで新規契約する場合、値引きが適用されて一括3万9800円(税込み、以下同)で購入できます。ドコモやau、楽天モバイルや他社系MVNOからMNPする場合も、3万9800円になります。

 

ソフトバンクやワイモバイルをすでに契約している人は、5万5800円で購入できます。オンラインショップでは実施していませんが、店頭では同等の価格で端末単体での購入も可能です。

 

Libero Flipはコンパクトミラーのように広げて使う、縦折り型スマホ。メーカーは中国のZTEです。価格性能比に優れたミッドレンジスマホを手掛けるのを得意とするメーカーで、同社が日本に投入する初の折りたたみ型端末になります。

 

縦折り型スマホの最初のモデル「Galaxy Z Flip」が、2020年2月にauから発売されたとき、価格は約18万円でした。そこから4年を経て登場したLibero Flipは、その4分の1の価格にまで低価格化を進めたことになります。

 

折りたたみスマホの中では厚くて重みがある

本体を見てみると、Libero Flipは少し厚みがあり、ふっくらとした形状をしています。ほかの縦折り型スマホがコンパクトさを追求しているのに対し、Libero Flipは大画面を重視しているようです。

↑折りたたんだ状態はやや厚みがある

 

重さは約214gと、折りたたみスマホの中では重め。iPhoneの中で一番重い「iPhone 15 Pro Max」よりは多少軽いかなという程度です。重心は端末の中心点よりもやや上にあるため、少し上を持った方がバランスよく持てます。横幅は約76mmあり、片手持ちで握るような持ち方は難しいでしょう。

 

背面は樹脂製で、光沢感があります。キラキラのラメ入りシールのような華やかな色味となっており、どちらかといえば若者向けな仕上げです。実売4万円弱のスマホとしては十分な質感といえるでしょう。

 

折りたたみスマホ特有の外側ディスプレイは珍しい円形

外側ディスプレイは約1.43インチで、円形になっています。円形の画面には、好きな壁紙を設定できるほか、画面オフの状態で好みの標語を表示する機能も備わっています。

↑外側に円形のサブディスプレイを備える。折りたたみスマホの中で円形は珍しい

 

また、閉じた状態で通知を確認したり、音楽再生をコントロールしたりできるうえ、天気やタイマー、ボイスレコーダーのような各種ツールも制御できます。

 

ちなみに、メーカーのZTEはLibero Flipの購入者全員にリング付きケースをプレゼントするキャンペーンを実施しています。ケースのデザインは2000種類以上のパターンから選べるので、自分にあったデザインを選べそうです。

↑2000種類のデザインから選べるケースのプレゼントキャンペーンを実施。折りたたみスマホはまだまだケースやアクセサリーが少ないので応募したいところ

 

ミッドレンジとしては高性能なディスプレイ。映像もしっかり楽しめる

このスマホの一番の見どころは、メインディスプレイ。もちろん、折りたためるという特徴もあるのですが、ディスプレイ自体の表示品質も良好です。

 

画面サイズは約6.9インチ。解像度はフルHD+で、2790×1188ドットです。縦横比を計算すると、約21:9となります。縦長なスマホXperia 1シリーズよりもさらに細長いです。

↑メインの画面は6.9インチと、折りたたみスマホの中では大型

 

折りたたみならではの使い方もあります。YouTubeアプリを「く」の字型にした状態で表示すると、画面の下半分にコントロールパネルが表示されます。スマホスタンドがなくても、見やすい位置で固定できる実用的な機能です。

↑折りたたみ状態で動画を視聴できる

 

この価格帯としては珍しく、120Hzの高リフレッシュレートにも対応。画面表示のスクロールを滑らかに表示できます。かつての120Hz対応ミッドレンジスマホでは実際に使ってみるとコマ落ちが発生することもありましたが、Libero Flipではそのようなことはなく、メモリー消費量が多いSNSも快適にスクロールできました。

 

実機を見る限り、映像の明るさや暗さを詳細に再現できるHDR 10/HLG規格に対応しており、映画の雰囲気を忠実に表現できます。また、オーディオ面では、サラウンド音響システム「DTS: X Ultra」を搭載しており、内蔵されたステレオスピーカーから繰り出されるサウンドは立体感があり、音量も十分。ミッドレンジのスマホながら、見応えのある動画再生が可能です。

↑ディスプレイ色味の設定も調整できる

 

パフォーマンスはまずまずで、ライトゲームも十分遊べる

チップセットは「Snapdragon 7 Gen 1」を搭載。メモリーは6GB、ストレージは128GBで、2024年のミッドレンジスマホとしては、オーソドックスな構成です。この構成でもたとえば3年前のスマホから買い替えれば、サクサク動いていると感じられるでしょう。

 

また、多くのゲームも問題なく遊べそうです。3Dゲームの中ではそこまで高い負荷を要求しないタイトルとして、『PUBG Mobile』の中程度の設定(クオリティ:HDR、フレーム設定:ウルトラ)でプレイしたところ問題なく動作しました。

 

『原神』のようにパフォーマンスを要求するゲームでは、背面ディスプレイ周辺の放熱部の温度が上昇するものの、ある程度遊べることを確認しました。

 

ちなみに、放熱源は背面ディスプレイ周辺の円形の部分に集中しているため、縦持ち型のよりライトなゲームを遊ぶときは発熱を気にすることなく遊べるでしょう。

 

使っていて便利だと感じたのが、有線の急速充電をサポートしているところです。Quick Charge 4+とPD3.0規格によって最大33Wに対応し、約73分で満充電が可能。そもそもあまり消費電力が多くないミッドレンジのチップセットなので、充電回数も少なく済みます。1週間の試用の中で、2回~3回充電ですれば事足りました。

↑内蔵アプリはGoogle製のものが多め。通話録音機能を搭載している

 

おサイフケータイやスマホ用電子証明書にも対応

Libero Flipはおサイフケータイにも対応しています。FeliCaマークは裏面下側の中央部、つまりたたんだ状態で底になる位置にあって、スマホをたたんだ状態で改札機を通過したり、レジの端末にかざしたりしやすくなっています。

↑底面におサイフケータイのマーク

 

また、マイナンバーカードをスマホに登録する「スマホ用電子証明書」も発売当初から対応しています。生活の中でスマホを使ううえで大事な機能はきっちり抑えてきたということです。

 

カメラ画質は価格相応

外側の円形画面は10mmほどの太枠に囲まれています。その枠の中に、デュアルカメラが配置されています。

 

カメラアプリでは「メイン26mm」と「標準50mm」を画角で選べるようになっています。カメラ構成は広角5000万画素と、ぼかしを演出するための深度センサーという内容なので、実質的にはシングルカメラで切り出しズーム処理をしていることになるでしょう。

↑カメラアプリで画角が選べる

 

写りは、価格相応といったところ。スマホのカメラらしく彩度を強調した、くっきりはっきりした写真を撮れます。暗所撮影の性能はあまり高くなく、薄暗いレストランなどでは料理をおいしそうに撮影するのが難しいでしょう。

 

【カメラの作例をギャラリーでチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

折りたたみスマホならではの注意点も

スマホを選ぶうえでチェックするべき点としては、防水に非対応です。IPX2/IP4X相当の防滴・防じんとなっています。

 

また折りたたみならではの注意点としては、保護フィルムははがせません。

 

折りたたみスマホのディスプレイガラスは薄いため、割れないように保護するフィルムが貼られています。このフィルムをはがすと、保証の対象外となります。上からフィルムを貼ることもできないため、ガラスの手触りが好きな人は、選ばない方が良いでしょう。

↑折りたたみスマホの柔らかい保護フィルムをはがすと保証外になる

 

10万円以下のmotorola razr 40sとの大きな差はデザイン

ソフトバンク系列には、もう1つの折りたたみスマホがあります。モトローラ製のmotorola razr 40sです。この製品はソフトバンクブランドの専売で、発売は2023年11月。端末価格は9万7200円(ソフトバンクオンラインショップ)となっていて、発売時には折りたたみスマホとしてはリーズナブルで注目を集めました。とはいえ、Libero Flipからすると一段上の価格帯の製品です。

↑motorola razr 40s(左)とLibero Flip

 

この価格差は、主にボディのデザインに反映されています。

 

razr 40sのボディは、折りたたむと四隅が丸みのあるフォルムをしています。また横幅74mmとコンパクトで、持ち運びに適したサイズに抑えられており、画面の額縁も細く作られています。

 

背面パネルには合皮のような質感を出すために、樹脂素材にシワ加工が施されています。この独特の手触りが持ちやすさを向上させています。

 

一方、Libero Flipは全体的にサイズが大きく、特に画面の額縁が太い印象。素材も質感良く加工されてはいますが、razr 40sと比べるとプラスチックを貼り付けたような素材感の物足りなさがあります。さらに、ボディの形状はrazr 40sの丸みに対して角張っており、重心も上寄りです。

↑画面サイズは同じくらいだが、Libero Flip(左)は画面枠が太め

 

また、折り曲げた状態で固定するときも、razr 40sの方が自由度が高いです。Libero Flipは開き角度が60~110度で設計されており、それ以上に浅く開くとペタンと開ききってしまいます。一方でrazr 40sは、45~120度まで展開できるように設計されており、Libero Flipよりも浅い角度で固定可能。

↑Libero Flip(手前)はヒンジを固定できる角度が狭い。浅くするとぱたんと倒れてしまう

 

総合すると、razr 40sは価格に見合った高級感があり、Libero Flipはよりカジュアルな印象です。折りたたみヒンジの設計を含めた、全体的な形状の多くの点にその差が表れていると感じました。

 

大画面を楽しめる、折りたたみ入門機

Libero Flipは、折りたたみスマホの入門機として格好の1台です。大画面を折りたためることは、単に持ち運びが便利というだけではありません。開くたびにちょっとしたワクワク感が得られる仕掛けになっています。鮮やかな画面やしっかりとした迫力のサウンドで、SNSを眺めたり、動画配信を視聴したりするために十分な機能を備えています。

 

防水性能がないことや、ハイエンドスマホと比べるとやはり引けを取るカメラなど、物足りない点はありますが、新規契約なら4万円弱からという手に取りやすさを踏まえると、すべて許せてしまえるのではないでしょうか。

 

特に、「動画視聴用の2台目スマホがほしい」「できればおしゃれなスマホがいい」と思う人には、ぜひ試してみてもらいたい、そんな折りたたみスマホになっています。

 

Libero Flip 主なスペック

大きさ(開いたとき) 約76×170×7.3mm

大きさ(畳んだとき) 約76×88×15.5mm

重さ 約214g

画面(メイン) 6.9インチ有機EL

解像度 2790×1188ドット(フルHD+)

サブ画面 1.43インチ有機EL

解像度(サブ) 466×466ドット

メインカメラ 約5000万画素+200万画素(深度センサー)

インカメラ 約1600万画素

バッテリー容量 4310mAh

生体認証 指紋、顔

OS Android 13

5G 対応(Sub-6)

Wi-Fi Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)