海外でスマホを使うには、現地通信キャリアのSIMカードを購入したり、海外向けレンタルWi-Fiを利用したりする方法が挙げられます。
なかでもおすすめしたいのが、日本の通信キャリアが提供する「国際ローミングサービス」を使う方法。複雑な設定もいらず、普段使っているスマホを海外でそのまま使用できるので、慣れない土地でも大きな安心を得ることができます。
本記事では、格安SIMやスマホのお得な情報・最新ニュースを発信するメディア・モバワン編集部が、各通信キャリアの国際ローミングサービスを比較、解説します。
大手通信キャリアの国際ローミングは年々お得に!
大手通信キャリアの国際ローミングを使って海外でデータ通信をする場合、以前は1日の利用料が非常に高額で、気軽に使えるものではありませんでした。
ところが近年、各社とも新しい定額サービスをリリースしており、1日1000円未満で使用できるものや、特定の国で無料になるものなどが登場し、使い勝手が大きく向上しています。
ここからは、大手通信キャリアの国際ローミングのうち、海外データ定額サービスにスポットを当てて比較・解説していきます。
追加料金で契約中のプランを海外でも利用できるドコモ「世界そのままギガ」
ドコモの海外データ定額サービスには「世界そのままギガ」と「世界ギガし放題」という2つがあります。
おすすめしたいのは前者の世界そのままギガ。こちらは追加料金を支払うことで、日本国内で契約しているプランのデータ容量が海外でも使えるようになるサービスです。
基本的には1日あたり980円(非課税)の追加料金となりますが、70以上の国と地域の場合「国・地域限定割プラン」が適用でき、利用期間に応じて割引が適用されます。たとえば、3日間使った場合は通常2940円(非課税)ですが、2480円(非課税)で使用できます。
なおこちらは、事前の申し込みが必要なサービスです。渡航前にWebなどで申し込みをするのを忘れないようにしましょう。
一方、後者の世界ギガし放題は、申し込み不要で使えるサービスですが、利用料金は1日で最大2980円(非課税)と高額なため、あまりおすすめできません。
ドコモ 世界そのままギガ
料金 | 「国・地域限定割プラン」 ※1 | 24時間:980円 3日間:2480円など |
「通常プラン」 | 24時間:980円 |
※1 最大30日間利用可
800円/24時間から、最大30日まで利用できる「au海外放題」
auには申し込みが必要な「au海外放題」と、申し込み不要の「海外ダブル定額(5G/4G LTE)」という2つの海外データ定額サービスがあります。
このうちおすすめなのは、2024年3月15日に新しくスタートしたばかりのau海外放題です。
料金は通常、24時間で1200円(非課税)ですが、利用開始1時間前までに事前予約をすれば24時間あたり800円(非課税)または1000円(非課税)で利用することが可能(国により金額が異なります)。
また、事前予約なしの場合は最大で8日までの利用に留まりますが、事前予約をすると最大30日間まで使用できます。そのため、必ず予約をしてから使い始めるようにしましょう。
なお、もうひとつの海外データ定額サービスである海外ダブル定額(5G/4G LTE)は、申し込み不要で使えるというメリットはあるものの、1日最大2980円(非課税)と高額なのでおすすめできません。auユーザーは旅行前にau海外放題へ申し込みするのがいいでしょう。
au海外放題
料金 | 早割 | 800円または1000円(24時間)※2 |
早割なし | 1200円(24時間)※3 |
※2 最大30日間利用可
※3 最大8日間利用可
ソフトバンクの注目は通話・SMS・データ通信無料の「アメリカ放題」
ソフトバンクの海外データ定額サービスで注目なのは、アメリカ本土やハワイで通話・SMS・データ通信が無料で使える「アメリカ放題」です。
追加料金・申し込みともに不要なので、アメリカを頻繁に訪れる人は要注目のサービスと言えるでしょう。ただし、グアムとサイパンは対象外であることに注意が必要です。
アメリカ放題
料金 | 通話・SMS・データ通信がすべて無料 ※4 |
対象エリア | アメリカ本土、アラスカ、ハワイ、プエルトリコ、バージン諸島(アメリカ領) |
対象外エリア | グアム、サイパン |
※4 アメリカから第三国(日本およびアメリカ以外の国)への通話(発信)は、1分あたり210円(非課税)
もうひとつ「海外あんしん定額」が用意されており、こちらはアメリカ放題の対象エリア以外で使える海外データ定額サービスです。
「定額国L」「定額国S」「飛行機、船」の3カテゴリに分かれており、それぞれ料金が異なりますが、メジャーな渡航先の大半は料金の安い定額国Lに含まれているので、ほとんどの国では24時間3GB980円(非課税)で利用できると考えていいでしょう。
海外あんしん定額
料金 | 定額国L | 24時間3GBで980円など |
定額国S | 24時間1MBで1980円など | |
飛行機、船 | 1時間50MBで980円など |
追加料金なしで2GBまで利用可能。安価で手軽な楽天モバイル
大手通信キャリア4社の中で、もっとも安価かつ手軽に国際ローミングを利用できるのは楽天モバイルです。
海外データ通信は追加料金なしで2GBまで利用可能。2GBを超過しても最大128kbpsで使い放題でき、1GBあたり500円(非課税)でチャージすることも可能。
Web検索・地図閲覧・SNS利用程度なら2GBあれば十分なので、ホテルのWi-Fiなどと組み合わせれば短期旅行の際に困ることはないでしょう。
また、コミュニケーションアプリ「Rakuten Link」アプリ同士なら、海外通話とSMSを無料で使えることもポイントです。
楽天モバイルの国際サービス
料金 | Rakuten Link | 対象国で利用なら通話とSMSが無料 |
データ通信 | 毎月2GBまで無料 2GB超過後は最大128kbpsで使い放題 超過後は1GBあたり500円でチャージ可 |
ahamoとpovoの国際ローミングサービスはさらにお得
もうひとつ注目したいのは、独自の国際ローミングサービスを提供しているahamoとpovo。どちらもこれまで紹介したプランよりもお得に利用できます。
ahamoは事前の申し込みや追加料金が一切必要なく、91の国と地域で20GBまでデータ通信を利用可能。海外に出ても日本にいるようにスマホを使うことができます。
ただし、海外で15日以上使用をすると通信速度が128kbpsに制限されることは要注意。長期の留学や出張などには向いていないので、あくまでも短期旅行で使うサービスと考えましょう。
ahamoの国際サービス
データ通信 | 追加料金なしで20GBまで利用可 |
使用開始から15日経過で128kbpsに速度制限 |
基本料金0円で、必要に応じて各種トッピングを購入するというユニークなサービスで知られるpovoも、独自の海外ローミングサービスを提供しています。
国内でトッピングを購入するのと同様に、海外用のトッピングが用意されており、滞在先や期間に応じて必要なトッピングを選べます。
トッピングには、国をまたいで使える「レギュラートッピング」「ワイドトッピング」に加え、特定のエリアだけで使用できる「エリアトッピング」が存在します。
このうちおすすめなのは、後者のエリアトッピング。たとえば韓国の場合、3GB7日間のトッピングが2000円(非課税)と、ほかのサービスと比較してもかなり割安な設定となっています。
エリアトッピングの対象国は当初、韓国、アメリカ、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアのみでしたが、2024年2月には対象エリアが拡大。ヨーロッパ9か国(イギリス・イタリア・オーストリア・オランダ・スイス・スペイン・ドイツ・フランス・ベルギー)、台湾、中国、香港、マカオが新たに追加され、より便利でお得なサービスに変わりました。
povoの海外トッピング
トッピング料金例 | レギュラートッピング ※5 | 1GB3日間:1480円 |
3GB7日間:4280円など | ||
エリアトッピング | 韓国1GB3日間:690円 | |
韓国3GB7日間:2000円 | ||
アメリカ1GB3日間:780円 | ||
アメリカ3GB7日間:2260円など | ||
ワイドトッピング ※6 | 0.3GB30日間:6980円 |
※5 90以上の国と地域で使用可
※6 レギュラートッピング地域を含む160以上の国と地域で使用可
データ通信に対応していないケースに要注意
ここまで解説してきたとおり、大手通信キャリアやそのサブブランドなどは、各社趣向を凝らした国際ローミングサービスを提供しています。
一方、大手通信キャリアから回線を借りて運営している格安SIMサービスの場合は注意が必要です。
たとえば、人気の格安SIMサービスであるIIJmioやmineoは、通話とSMSの国際ローミングには対応しているものの、海外データ通信には対応していません。渡航後にインターネットができず慌ててしまわないよう、サービスの提供状況をあらかじめ調べておくようにしましょう。
モバワンではほかにも、海外でスマホを使う方法について解説した記事を多数公開しています。海外旅行を計画している人はぜひアクセスしてみてください。