「週刊GetNavi」Vol.50-1
AppleのOSでネット連携家電を身近に
便利と言われながら、なかなか定着しないものに「ネット連携家電」がある。ネット連携機能のある家電は増えたが、それに買い換えるほどのメリットとはいえず、なかなか数が増えない……というのが、実情だ。
だが、2016年、筆者の自宅では「照明」、「ヒーター」とネット連携家電を一気に2つ導入した。フィリップスのLED照明「Hue」と、デロンギの「マルチダイナミックヒーター MDH15WIFI-SET」である。これらは、AppleのiOSに搭載された「HomeKit」に対応し、連携動作が可能だ。
例えばHueは、元々スマホ連携機能があり、スマホからアプリで照明の明るさや色を変えたり、灯りを消したりできる。だが、「1機能につき1アプリ」となると、正直面倒くさい。いまはひとつや2つの製品だからいいが、これがたくさんになる
とどうだろう?
そこで注目したいのが「HomeKit」だ。Appleは、iOSの上で「家電連携アプリが動作するための基本的な仕組み」を用意した。iOS標準の「Home」アプリから、対応機器を操作できる。しかも、複数の操作を連携させることも可能だ。
例えば、「帰宅」ボタンをタップすると、照明がついてヒーターが設定温度で運転を開始し、「眠る」ボタンを押すと、照明がごく暗いものに変わって、ヒーターの温度設定も低くなる。「でかける」ボタンを押すと、照明もヒーターも完全にオフ……といった使い方ができるわけだ。
宅外から家電の状態を確認できるのも便利
この仕組みで重要なのは、ネット連携家電の動作状況が「アプリから見える」ことだ。外出後に、「ヒーターの電源を切ったっけ?」と思い返すことはないだろうか? 在宅時も、「いまちょっと寒いけれど、ヒーターの温度どうなっていたっけ?」と思うことはあるはずだ。「HomeKit」と連携するデロンギのマルチダイナミックヒーターは、設定温度や動作時の周囲の温度が、アプリ側で確認可能。だから、温度設定時も安心して使える。また、「HomeKit」はiPhoneやiPadに加え、テレビにつないで使うApple TVにも対応。テレビをつけて操作するのは面倒だから、Apple TVから直接操作することはほぼない。だが、Apple TVをホームハブにして家電と連携させれば、宅外から、照明やヒーターの動作状況を確認できる。これはありがたいものだ。
デロンギのマルチダイナミックヒーターは、きちんと周囲が暖まるものの、表面温度は60度までしか上がらず、火事や火傷などの心配がほかの電気ストーブなどに比べて小さい。だから、屋外からの管理も、安全性よりは省エネ、という観点が大きい。安全性が高いものだからこそ、宅外から安心して使える、という部分もある。先ほど挙げた「帰宅」ボタンは、実際には駅を降りてもうすぐ自宅に着く……というタイミングで使っている。
こういう便利なことができるのは、「HomeKit」連携の恩恵だが、まだこうした機器は少ない。そして、「連携すると便利な部分」の追求もまだ弱い。そうした部分が今後どうなっていくのかは、次回のVol.49-2以降で解説する。
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