2024年は2本の地上波連続ドラマでW主演を務める一方で、『開運!なんでも鑑定団』の新MCに就任するなど、着実に活動の場を広げている菅井友香さん。1月31日公開の映画『怪獣ヤロウ!』で劇映画初出演を果たした菅井さんに撮影エピソードや、春とヒコーキのぐんぴぃさん、清水ミチコさんと一癖も二癖もある共演者の印象、欅坂46の初代キャプテンを務めたときの思い出などを中心にお話を伺いました。
※こちらは「GetNavi」2025年2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
【菅井友香さん撮り下ろし写真】
春とヒコーキのぐんぴぃさんは真面目で聡明な方
──『怪獣ヤロウ!』は菅井さんにとって劇映画初出演となります。オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。
菅井 企画書と脚本を読んで、岐阜県関市を舞台にしたご当地映画であり、怪獣映画でもあるというユニークな作品で斬新さとエネルギーを感じましたし、「ぜひチャレンジさせていただきたい!」と思いました。
──関市のワンマン市長に従う秘書課職員・吉田という役どころです。
菅井 吉田は市長に従って生きることが自分の正義だと信念を貫いている女性ですが、ぐんぴぃさん演じる関市役所観光課職員・山田の奮闘を見て、自分のやりたかったことに気付いていきます。山田に出会う前と後で徐々に変化をつけたいなと思って、吉田の心境を考えながら演じました。私と吉田では全くタイプが違うので大変でしたが、うれしいチャレンジでした。
──前半と後半では、吉田のキャラクターも変化します。
菅井 市役所では硬い女性ですが、山田の影響ではっちゃけていくんですよね。初めて着るような奇抜な衣装もあったんですが、すごく楽しくて。監督からも「もっとやっていこう!」と言われて、どんどん殻を破っていくような感覚がありました。
──ぐんぴぃさんの印象はいかがでしたか。
菅井 衣装合わせのときに初めてお会いしたんですが、欅坂46が好きと仰っていてうれしかったです。真面目で聡明な方で、八木(順一朗)監督との息もぴったりでした。みんなでご飯を食べに行ったときに、たくさん食べる姿が素敵で、見ているだけで幸せな気持ちになりました。
──食べる姿が素敵というと?
菅井 食べっぷりの良さもそうですが、ちょっと白米が残ってしまったときに、みんなの分を食べてくださったのが素敵でした(笑)。
──市長役の清水ミチコさんも良い味を出していましたよね。
菅井 お会いする前は直属の部下役だったのでドキドキしていたんですが、私の中では市長そのままに愛のある厳しいお方というイメージで。本番中は上司として、厳しく吉田に指示を出してくださるので本気でハラハラしましたし、だからこそ緊張感のあるシーンになったと思います。
──撮影以外で清水さんとの交流はありましたか。
菅井 ご一緒する時間は少なかったのですが、初めてごあいさつさせていただいたときに、優しく「よろしくね」と言ってくださったのが印象的でした。あと、ぐんぴぃさんが清水さんにごあいさつしたときに、それまでみんなでご飯を食べていて、ご飯粒を飛ばしちゃったんです。そしたら清水さんが市長のような口調で、「初対面でご飯粒を飛ばすなんて失礼ね」と言って、現場が笑いに包まれました。清水さんのユーモアで現場を盛り上げてくださるところが素敵でかっこよかったです。
役を突き詰めることができ、やりがいを感じた大切な時間だった撮影期間
──八木監督は普段、春とヒコーキも所属しているタイタンの社員として働いているんですよね。
菅井 怪獣映画愛に溢れていて、お話ししていると情熱やこだわりが伝わってきました。ご自身で脚本も書かれているので、主人公の山田と重なるところが多くて、アクティブで生き生きとしている方ですし、役者一人ひとりに寄り添ってくださるので話しやすかったです。あと普段ぐんぴぃさんとはマネージャーとして接しているのに、撮影のときは監督と役者という関係性が出来上がっていて、良い雰囲気が流れていました。お二人に引っ張っていただいた場面は多かったですね。
──現場の空気感が良かったんですね。
菅井 八木監督をはじめ、スタッフさん、キャストさんとじっくり話して、役を突き詰めることができましたし、やりがいを感じて、私の中で大切な時間になりました。この撮影を通して本格的なセットや着ぐるみに触れる機会もあって、身が引き締まる思いもありつつ、ワクワクと感動がありました。
──菅井さんは撮影現場でも積極的に質問されていたそうですね。
菅井 八木監督が吉田のしゃべり方や声のトーンにこだわりをお持ちで、普段の私よりも低いトーンで、てきぱきしゃべる女性というアドバイスをいただいたんです。どういう心境かも説明してくださって、そのイメージに近づけるために、撮影前にいろいろお聞きしました。
──関市というロケーションがお芝居に影響した部分はあったのでしょうか。
菅井 今回の撮影で初めて関市に行かせていただいたんですが、2週間ぐらい滞在して、町の魅力にたくさん触れることができて、帰るのが寂しくなっちゃうぐらい大好きになりました。地元の方もたくさん出演されているのですが、ご当地ならではの温かさが伝わってきて、それがお芝居にも反映されていると思います。
──映画の公開を控えて、どんなお気持ちでしょうか。
菅井 劇映画初出演であり、新しい第一歩を踏んだ思い入れの深い作品になりました。まだまだ映画の現場は分からない部分も多いんですが、初めての体験として、これ以上ないぐらいありがたい環境でした。
母から学んだチャレンジし続けることの大切さ
──吉田は仕事で大きなミスを犯して、それが物語に大きな影響を与えていきます。
菅井 いつも吉田は頑張っている分、突然のトラブルに弱い部分があるんですよね。自分自身、過去に大きな失敗をしたことがあるので、その記憶が蘇るシーンでした。
──どんな失敗だったのでしょうか。
菅井 大学の卒業論文のデータを提出直前に消しちゃったことがあって……。そのときは人生が終わった気分でした。家族とは4年間で大学卒業するという約束をして芸能活動をしていたので、もう無理だと決めつけて家のソファーで大泣きしていたんです。そしたら母が「どうして泣いているの?」と聞いてくれて、「もう間に合わない」と言ったら、「諦めたら駄目!」とパソコンの画面に向き合って、エンターなどのキーを押し始めたんです。そしたら急に画面が変わって、ちょっとずつデータが戻ってきて。結果的に全部データは回復して、無事に卒業することができました。
──奇跡じゃないですか!
菅井 そうなんですよ! そのときに諦めなければ奇跡は起こるんだと母から教えてもらって。すぐに嘆かないで、チャレンジし続けることを大事にしたいなと思いました。そんな経験があったので、吉田を演じることに運命を感じました。
──吉田は市長と観光課の板挟みになりますが、そういう経験はありますか?
菅井 グループ時代、キャプテンを務めていたときは吉田のような難しさを感じる時もありました。行き詰まったときは、自分に何ができるんだろうと思い悩みました。メンバーとスタッフさん、どちらの気持ちも分かるからこそ、どう言葉で伝えたらいいのか判断が難しくて。いろんな立場の方の気持ちを知ることができた貴重な時間でした。
──そういう壁にぶつかったときは、どう乗り越えていたのでしょうか。
菅井 最初は誰にも言えなかったんですが、スタッフさんから「ちょっとずつでいいから、理解してもらえる子を一人でも二人でも増やしていくといいよ」とアドバイスをいただいて。そこから溜め込まずに、自分の弱みを見せていくことにしたんです。そうすると気持ちも軽くなるし、月日を重ねていくうちに理解してくれるメンバーも増えていきました。
──最後に改めて『怪獣ヤロウ!』の見どころをお聞かせください。
菅井 笑えるところもありますし、ウルっとするところもあって、盛りだくさんな内容ですが、どんな気持ちのときでもスーッと入ってきて、楽しい気持ちになれる映画です。悲しいことがあったとき、一歩踏み出したいとき、環境を変えたいときなどに観ると、勇気や力を届けられる作品になっているはずです!
【関連記事】菅井友香のウマ愛が炸裂「イクイノックスの子どもたちに期待しています!」
怪獣ヤロウ!
岐阜先行公開中、1月31日(金)より全国公開
【映画「怪獣ヤロウ!」よりシーン写真】
(STAFF&CAST)
監督・脚本:八木順一朗
出演:ぐんぴぃ
菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ
平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ
(STORY)
岐阜県関市。市役所の観光課に務める山田一郎(ぐんぴぃ)はある日、市長(清水ミチコ)から“ご当地映画”の製作を命じられる。しかしどこにでもある“凡庸なご当地映画”に疑念を持った山田は、かねてからの夢だった〈怪獣映画〉の製作を思いつく。「いつも失敗ばかりでダメな自分を変えるため、パッとしない故郷を変えるため、怪獣で、全部をぶっ壊す!」。しかしその想いは、市政を巻き込んだ大事件へと発展していく。果たして山田は、夢だった〈怪獣映画〉を完成させることができるのか!?
公式HP:https://www.kaijuyaro.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/kaiju_yaro/
(C)チーム「怪獣ヤロウ」
撮影/千川 修 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/相場清志(eif) スタイリスト/山本杏那