高知県全土で行われる大規模な観光博覧会、「志国高知 幕末維新博」が3月4日、開幕しました。大政奉還150周年、ならびに明治維新150周年の節目の年である、2017年の3月から、2019年の3月まで、2年間の会期で開催されます。
幕末から明治維新にかけて、坂本龍馬をはじめとする偉人を輩出した高知県で行われるこの観光博覧会は、彼らの「志」に思いを馳せ、彼らを育んだ時代につながる土佐の風土・文化・食・自然などの魅力を体感してもらおうというもの。県内全域の23会場で、貴重な歴史資料の展示などが行われるほか、各地域に周遊コースも用意されています。
高知市にて行われたオープニングセレモニーで、尾﨑正直高知県知事は、「本物の歴史資料の魅力・迫力を体感し、あらためて偉人の志を称えてほしい」と開幕を宣言。
ゲストとして参加した俳優の高橋英樹さんは「国内でも数少ない、天守が現存する高知城をはじめとした歴史遺産の数々に感動した」、高知県出身で女優の広末涼子さんは「思い出深い場所にこれだけ大勢の人が集まっていてびっくり」とコメントし、セレモニーを盛り上げました。
20年ぶりの県立ミュージアムが堂々開館
その中で特に注目を集めるのは、博覧会のメイン会場となり、新たに開館した高知城歴史博物館。国宝や重要文化財をはじめとした、約6万7000点の歴史資料や美術工芸品を所蔵し、土佐藩主であった山内家が代々守ってきた貴重な資料を間近で見ることができます。
その展示で特に圧巻なのが、坂本龍馬関連の資料です。暗殺の5日前に書き記され、「新国家」という表現が初めて使用された新発見の書状を筆頭に、直筆の書簡3点が期間限定で展示されています。龍馬の書状だけでなく、長州藩の志士、久坂玄瑞が土佐勤王党のリーダー、武市半平太に宛てた手紙なども展示。歴史マニアもうなる、充実した展示を満喫できること請け合いです。
龍馬を中心とした展示だけではありません。国宝に指定され、かな文字で書かれた最高峰の書とされる「古今和歌集巻第廿(高野切本)」から、ウサギをモチーフにしたという変わり種の兜まで、バラエティ豊かな展示物が満載。まさに高知の至宝が結集した、新たな観光名所の誕生といえます。
最新技術とユニーク発想で楽しく学べる工夫も満載
高知城歴史博物館の魅力は展示物にとどまりません。貴重な展示物を歴史が苦手な方や、子供たちに理解してもらうための工夫も随所に凝らされています。
まず、個人のスマホや貸し出しタブレットで音声ガイドを楽しむことができます。英語・中国語・韓国語・タイ語に対応するというグローバルさはもちろん、なんと土佐弁バージョンも収録! 手元の端末で展示について理解しながら、高知の風土を感じさせる解説を満喫できます。
さらに、子供向けの大型タッチパネルを使ったクイズゲームや、磁石を使ったお城の比較展示など、子供も飽きずに、手を動かしながら学習できるユニークな展示も。デジタルとアナログを組み合わせつつ、誰にでもわかりやすい学びを提供しようとする博物館のチャレンジングな姿勢が感じられます。
歴史好きの方はもちろん、学びざかりのお子さまのいるご家庭も、春の連休や夏休みを利用して、高知の歴史ロマンを満喫してはいかがでしょうか?