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音楽
2017/10/10 20:30

空港はドラマが生まれる場所――ドラマチックな“飛行機モノ”を集めた「歌謡プレイリスト」

みなさんこんばんは、ギャランティーク和恵です。毎月その季節に合わせた歌謡曲を10曲選び抜き、みなさんにご紹介する「マンスリー歌謡プレイリスト」。……と、毎月季節に合わせてとはいってみたものの、4つの季節を12分割するにも限度ってものがあります。10月って季節で言うと「秋」でしょうけど、11月も「秋」。じゃぁ10月らしい秋を歌った歌謡曲って何? って、そんな繊細な違いを選曲出来るほどワタシも繊細じゃないわ〜。ということで、今月のテーマは「飛行機モノ」。いきなりです。それこそ季節感ゼロです。しかし、歌謡曲を季節に限らずいろんなテーマでくくってみるのもなかなか味わい深いセットリストが出来上がります。それでは歌謡曲ならではの空の旅へ、テイクオフ〜!(ベタな言い回し)。

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↑ギャランティーク和恵さん(撮影:下村しのぶ)

 

【10月のプレイリスト】

01.ジェット最終便/朱里エイコ
(作詞:橋本 淳 作曲:川口 真)

1曲目は、ジェットエンジン音から始まるスリリングで疾走感のあるイントロが何ともたまらないこの曲からスタート。1973年7月10日発売、朱里エイコさんの15枚目のシングル。前作「北国行きで」から続くいわゆる“逃避行”モノで、「北国行きで」は電車で北へ、そして「ジェット最終便」では飛行機で北へ……。歌謡曲は大体、恋に破れると女は北へ向かいます。アニソンや戦隊モノなんかに通ずるこれでもか! ってほどに仰々しい川口真センセーのアレンジがカッコ良く、きっと誰もが好きになる1曲。

 

02.雨のエアポート/欧陽菲菲
(作詞:橋本 淳 作曲:筒美京平)

2曲目は、空港での別れを描いたこの曲。1971年12月発売、欧陽菲菲さんの2枚目のシングル。夢を追いかけていろんな国へと旅に出る気ままな男を愛した女が、涙ながらに見送るという歌。「I Love You と言えないで」と、か弱くお淑やかな女かと思いきや、「別れの接吻(くちづけ)を求めてみたけど充たされないわ」という野獣な感じがちゃんとフィーフィーぽくて安心。フィーフィーのデビュー曲はベンチャーズ作曲の「雨の御堂筋」ですが、それ以降リリースされる曲が大体似たような展開で、Bメロがごっちゃになってしまいます。「雨の御堂筋」「雨のエアポート」「雨のヨコハマ」、全部Bメロを「あ〜」で始めるのやめてもらえませんかね……。

 

03.空港/テレサ・テン
(作詞:山上路夫 作曲:猪俣公章)

3曲目も、空港での別れを描いた曲。しかしこちらは男と別れて女が旅立つ歌。1974年7月発売、テレサ・テンさん2枚目のシングル。アジアの歌姫繋がりとしてはいい流れ。この後80年代に大ヒットする「愛人」や「時の流れに身をまかせ」などの一連の“不倫歌謡”のごとく、男から距離を置いてそっと身を引く感じがテレサらしい別れの歌です。これがフィーフィーだったら男に意地でも食らいつくか、もしくは「ラブ・イズ・オーバー」の歌のように「泣くな男だろ!」と逆に叱咤しちゃったりするのでしょう。歌手のキャラクターって大事ですね。

 

04.土曜の夜は羽田に来るの/ハイ・ファイ・セット
(作詞:荒井由実 作曲:村井邦彦)

4曲目はアーバンな香り漂うこの歌。1975年11月発売、ハイ・ファイ・セットの4枚目のシングル「スカイレストラン」のB面曲。空の旅から帰ってこなくなった彼の姿に会いたくて、羽田空港に足を運ぶ女性を描いた歌ですが、その彼というのは、飛行機事故か旅先で亡くなってしまったのか、はっきりとは描いていないものの、もう二度と会えない彼の姿を探すように羽田に足を運んでしまうという、悲しい恋の歌です。しかし、次の恋がきっと始まるから心配しないで、という前向きな気持ちもあり、そこに、ユーミンが描く優しい時間が流れていています。良曲です。

 

05.バイ・バイ・ジェット/いしだあゆみ
(作詞:橋本 淳 作曲:細野晴臣)

5曲目はこちら、1977年4月発売、いしだあゆみさんのオリジナルアルバム「アワー・コネクション」からの1曲。音楽ファンの中で名盤と言われているこのアルバム。どの曲も名曲ばかりでしかもオシャレ。いしだあゆみさんもこれでもかってほどに力を抜いてシャランと歌ってらっしゃいます。こちらも羽田を舞台にした歌。好きだった男が結婚し、ハネムーンへ向かう羽田の出発ロビーでこっそり待ち構えているいしだあゆみの図。怖っ!それだけでご飯3杯イケるわ〜。

 

06.国際線待合室/青江三奈
(作詞:千坊さかえ 作曲:花 礼二)

6曲目はこちら、1969年12月発売、青江三奈さんの18枚目のシングル。国際線での別れというのは、異国情緒もありながら、遠く離れた国へと向かい二度と帰ってこないような永遠の別れのようでもあります。そんな別れを青江三奈さんの絞り出すようなハスキーな声が、別れの悲しみとして胸に迫ってきます。あとは、あの青江三奈さんのド金髪が国際線と相性良ろしく、庶民が夢見る国際線という感じで高貴な香りがします。しかしこの国際線、3番まで聞いていると最後の最後で「大阪空港」と出てきて何で大阪? と思いつつ、しかも実際のところ大阪空港には国際線はないというオチ。どういう意図なんでしょう?

 

07.さようならの彼方へ/内山田洋とクールファイブ
(作詞:千家和也 作曲:筒美京平)

7枚目はこちら、1978年5月発売、内山田洋とクールファイブの35枚目のシングル。ワタシも大・大・大好きな曲です。歌手生活10周年に作られたこの曲は、クールファイブにしては珍しく筒美京平センセーに曲を依頼。アース・ウィンド・アンド・ファイヤーの「宇宙のファンタジー」のような曲を作ろうという意図があったようですが、どちらかというとクールファイブの個性が寄り切った感じの仕上がりに。「I’ll never falling love again」という英語詞も、あの粘りっこい歌唱で歌い上げる前川清さんのボーカルのブレなさは安心感さえ覚えます。これをサラリとスナックで歌えるようになると男としての格が上がります。

 

08.夜間飛行/ちあきなおみ
(作詞:吉田 旺 作曲:中村泰士)

8曲目はみなさんご存知、1972年5月発売、ちあきなおみさんの15枚目のシングル。ワタシがオーナーを務める新宿ゴールデン街にあるスナック「夜間飛行」もこちらの曲から付けさせていただきました。Aメロのゆっくりとした歌い出しから、「そして今……」でテンポが変わるBメロが、飛行機が離陸して飛び立つ様を見事に表現されています。飛行機の窓から見える景色や星空に思い出を重ねながら遠い異国の地へと旅立つ、映像的にも美しい歌です。サン=デグジュペリの「夜間飛行」と関係あるのか? とよく聞かれますが、サン=デグジュペリの「夜間飛行」にインスパイアされて作られたゲランの「夜間飛行」という香水があり、ちあきなおみさんのこの「夜間飛行」のポスターにそのゲランの「夜間飛行」の広告がついているので、少なからず関係はありそうです。(プチ情報)

 

09.アメリカン・フィーリング/サーカス
(作詞:竜真知子 作曲:小田裕一郎)

9曲目はこちら、1979年5月発売、サーカスの5枚目のシングル。別れの歌ばかりでしたから、1曲くらいはさわやかな空の旅の歌でも入れておきましょう。窓の外は雲ひとつない青空。そんな爽やかな景色の空の上で、愛する人からの手紙を読んでは愛を誓うのです。Feeling in America。アメリカで感じているのです。It’s America。それがアメリカなのです。そして、それこそがアメリカン・フィーリングなのれす!! ……アメリカアメリカいうとりますけど、紅白歌合戦でサーカスがこの歌で出場した時の衣装、デビルマンみたいな衣装で全然アメリカン・フィーリングじゃなかったです。

 

10.銀河空港/キャンディーズ
(作詞:竜真知子 作曲:馬飼野康二)

最後の曲はこちら、1977年12月発売、キャンディーズのボックスセット「CANDIES 1676 DAYS 〜キャンディーズ1676日〜」に収録された1曲。どこか演歌調なメロディで、ミキちゃんも気持ちコブシを回している、キャンディーズにしては珍しい1曲です。飛行機モノと言えば、大体出てくるワードは、エアポート、タラップ、翼、街の灯り、ロビー、滑走路、ジェット、などなど。そんなワードがうまく散りばめられた「教科書」のような歌です。この演歌調でかつ教科書のようなベタベタな歌詞が、むしろ歌ってみると楽しかったりします。「星屑スキャット」でもよく歌ってたわ……。

 

ということで、お送りしました「飛行機モノ」プレイリスト。いかがだったでしょうか? 同じようなテーマでも、描き方や曲調などの違いでこんなにもバリエーションが生まれるんですね。もっとご紹介したい「飛行機モノ」もたくさんありましたので、ぜひ探してみてください。

 

ちなみにワタクシ、10月10日に新曲を出しまして、まさにそれが「飛行機モノ」なのです。そう! つまり今月は、その新曲の宣伝を兼ねたプレイリストだったのです! ワタシのお店「夜間飛行」10周年を記念して作られた新曲「輝いてNight Flight」、作詞に森雪之丞センセーをお迎えして、空の旅と酒場と人との出会いをテーマにした素晴らしい詞をプレゼントしていただきました。作曲はゲイリー芦屋センセー。78年型ジェットストリームディスコ歌謡となっております! ぜひみなさま、お買い求めください。宜しくお願いいたします!

 

2017年10月10日リリース!
Single CD「輝いてNight Flight」

01.輝いてNight Flight (作詞:森雪之丞 作曲:ゲイリー芦屋)
02.十年目の独白〜モノローグ〜 (作詞:東西蘭月 作曲:ゲイリー芦屋)
03.輝いてNight Flight(Inst Ver)
04.十年目の独白〜モノローグ〜(Inst Ver)

 

CD/1200円(税込)MORE MORE LOVE より
配信/450円(税込)日本コロムビアより

 

新曲発売を記念したインストアライブ決定!
10月13日(金)HMV record shop 新宿ALTA(新宿ALTA 6F)
19:00よりスタート
<対象商品>
CD『輝いてNight Flight』
7inch『夜に起きるパトロン』

ミニライブ&サイン会もあります。詳細はコチラ http://recordshop.hmv.co.jp/25115

 

また、同日にはTwitterのライブ動画配信アプリ「Periscope」での生配信が決定! 「緊急記者会見!ギャランティーク和恵「十年目の独白(モノローグ)」として、10周年を迎える新宿ゴールデン街のスナック『夜間飛行』より生配信を行います。コメントやギャランティーク和恵への質問は、ハッシュタグ「#夜間飛行10周年」で募集します。
Twitterのみでも企画はお楽しみ頂けますが、事前にアプリをダウンロードして頂くと、よりお楽しみ頂けます。

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