14歳で書いた「人生の目標」を達成しないと遺産がもらえない!――「幸福を見つける20のレッスン」

ink_pen 2018/3/29
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14歳で書いた「人生の目標」を達成しないと遺産がもらえない!――「幸福を見つける20のレッスン」
三浦 暁子
みうらあきこ
三浦 暁子

1956年生まれ。大学在学中に結婚、専業主婦を10年ほどした後、突如、文筆活動を開始。現在は神戸市在住。エッセイストとして活動しています。著書には『ボルネオの白きラジャ』(NTT出版)、『梶本隆夫物語』(燃焼社)、共著に『家族はわかり合えないから面白い』(三笠書房)などがあります。

母の真意はどこに?

捨ててしまった、そこまではブレットと私は同じことをしました。が、しかし…。ブレットのライフリストは失われることなく生き続けていました。母のエリザベスがゴミ箱から拾い上げ、大切に保管したからです。それだけではありません。

 

ブレットが目標を達成するたびに、母はリストに線を引き感想を付け加えていました。それだけでも十分に驚く秘密の行動ですが、母はさらにブレットを驚かせる遺言を遺して逝きました。

 

ブレットが書いた20の夢のうち、まだ達成できていない10のリストを完全に終わらせるようにと命じたのです。それも、母が亡くなって1年後の9月13日までにリストを完了しなければなりません。そうでないと遺産を受け取れない決まりです。こんなでたらめな話があるでしょうか? いったい母の真意はどこにあるのでしょう。

 

 

果たすべきリスト

ブレットは迷いながらも、遺言を預かった弁護士のマイダーとライフリストを完成させようとします。残ったリストは以下のようなものです。

 

1.子供をもつ。できればふたり
2.犬を飼う
3.キャリー・ニーサムとずっと友だちでいる
4.貧しい人を助ける
5.すごくすてきな家に住む
6.馬を買う
7.恋に落ちる
8.大舞台に生出演する
9.お父さんと仲よくする
10.すばらしい教師になる

 

わかったような、わからないような…。ちょっと不思議なリストです。

 

難しい課題は「恋に落ちる」

それでも、何かに導かれるようにブレットは遺されたリストを達成するために行動を起こします。彼女にとってどれも簡単なことではなく、実行できるのかと絶望する日もありました。

 

けれども、母の死に打ちのめされ葬儀の日に悲しみのあまりぐでんぐでんに酔っ払っていたブレットの姿は、もうそこにはありませんでした。自分で作っておきながら実現するのが困難なリストを前にしてブレットは奮い立ちます。泣き続けているわけにはいかなかったのです。

 

母の願いを果たしたい、その思いがブレットを支えていました。周囲の助けもあり途中までは割合、順調にリストは達成されていきました。けれども、「恋に落ちる」で、ブレットは足踏みをしてしまいます。これが恋に落ちると言うことだという実感を得ることができないからです。

 

 

夢を忘れないために必要なレッスン

私は『幸福を見つける20のレッスン』を一気に読みました。途中、イライラしたり、ハラハラしたり、ドキドキしたりしながらも、本を閉じることができませんでした。30章もある長いストーリーだというのに、先が気になって他のことができないのです。

 

母の遺言を果たすために娘が何をしたか? という物語に夢中になるのは、奇妙と言えば奇妙です。それでも、先へ先へと読み進みたくなるのは、魅力的な登場人物が入れ替わり立ち替わりブレットに関わってくるからだと思います。そして、最後にはブレットだけではなく私たちまでもが、母エリザベスが遺した術中にはまってしまったことに気づくのです。

 

人生は思い通りにはいきません。けれども、少女の頃の夢を失わずにいれば悲しみを乗り越える大きなエネルギーとなって生きていけることを『幸福を見つける20のレッスン』に教わったような気がします。

 

 

【著書紹介】

 

幸福を見つける20のレッスン

著者:ローリ・ネルソン=スピールマン(著)、高里 ひろ(訳)
発行:KADOKAWA
私が14歳の時に書いた願い事リスト。34歳になった私は、母の遺言に従ってリストを達成していくことに。本当の自分に向き合う大切さを教えてくれる、心温まる物語。世界30カ国ベストセラー、遂に日本上陸。

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