『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(谷川ニコ・著/スクウェア・エニックス・刊)という漫画を知っていますか?
第12巻のAmazonカスタマーレビューは、もうすぐ300件に達します(2018年7月現在)。しかも、ほとんどの評価が満点(星5つ)という状況。それぞれの感想コメントは満足度の高さをうかがわせるものばかりです。
作者のツイッターによれば、発売後すぐに「重版」の報せが届いたそうです。
皆様の応援により「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」12巻の重版が決まりました。本当にありがとうございました。今は原稿中なので報告だけになりますが、時間が空いたら軽い絵でもあげられたらと思います。
— 谷川ニコ (@harimoguni) 2018年2月27日
単行本10巻の「作者あとがき」にて、5年前のアニメ化をピークに「初版部数をしぼられ続けている」と嘆いていた作品が、まさかの再ブレイクを果たした理由とは?
いま話題の『わたモテ』とは?
高校1年の女子生徒・黒木智子(くろきともこ)は、いわゆる「高校デビュー」に失敗します。気づけば、休み時間やランチタイムを「ひとりぼっち」で過ごすことが当たり前になっていました。
教室のなかで孤立しているにもかかわらず、黒木智子のモチベーションは高いままでした。「女子高生=モテる」と思い込んでいるからです。友達ができなくても、恋人はできるはず。それだけを心の支えに、黒木智子は孤独に耐えていました。
しかし、モテません。インターネットや女性誌で仕入れた「モテるためのノウハウ」を鵜呑みにして、見当はずれのことをしては、いつも失敗して恥をかきます。それらの奇行によって、教室内でますます浮いた存在になっていくのも笑いどころです。
けっしてモテることをあきらめない「ひとりぼっちの女子高生・黒木智子」の日常をコミカルに描いたことによって、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(通称・わたモテ)は人気作品になりました(2013年にアニメ化)。
運命を変えた「修学旅行」
単行本8巻からは「修学旅行」編が始まります。黒木智子にとって「青春のターニングポイント」に位置づけられるイベントです。
高校2年生になって、飛び級レベルの「ひとりぼっち」を極めていた黒木智子に、思わぬ試練が与えられます。教室に友達がいないにもかかわらず、一個班の「リーダー」に任命されてしまうのです。
集められたメンバーは、教室内のあぶれ者ばかりでした。歴戦の「ひとりぼっち」である黒木智子ですら驚くほど、協調性に欠ける女子生徒たちです。リーダーなので逃げることもできず、黒木智子は、気ままな「ひとりぼっち」を許されない状況に陥ります。
修学旅行なので、おなじ部屋で寝食を共にします。つまり、これまで言葉を交わしたことのなかったクラスメイトと、不器用ながらも「むき出しのつきあい」をせざるを得なくなったわけです。
修学旅行における「逆境」は、思いがけない変化をもたらします。黒木智子が、修学旅行グループのメンバーと言葉を交わすようになり、教室でランチタイムに誘われるようになったのです。入学から約18ヶ月間を経て、黒木智子に「はじめての友達」ができました。
人のつながりは、さらなる「新しいつながり」を引き寄せます。修学旅行をきっかけに、これまでモテなかったはずの黒木智子に「モテ期」が到来するのです。