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2020/9/4 17:30

予告編がYouTube740万再生の注目作『喜劇 愛妻物語』監督夫妻に訊く、夫婦円満の秘訣

2020年9月11日(金)より公開される映画『喜劇 愛妻物語』。水川あさみさんが濱田 岳さんに暴言を吐きまくる予告編が話題となり、映画公開前にもかかわらずYouTubeで740万回も再生されている超注目の作品なのです。

 

 

本作の監督は、2014年に安藤サクラさん主演で公開された『百円の恋』で脚本を担当し、日本アカデミー賞最優秀脚本賞に輝いた足立 紳さん。人生のバイブルは『ロッキー』シリーズと言っても過言ではない私も、32歳直前でこの『百円の恋』を鑑賞し、エンディングで嗚咽! 人生に悩む全女子が見るべき映画として日頃からいろんな人にオススメしています。

 

そんな足立監督の最新監督作は、なんと喜劇だというではないですか!

 

しかも自伝小説をもとにした夫婦の話で、映画に出てくるエピソードはほぼ実話。内容もかなり赤裸々!! ……って、面白くないわけがない! ということで、今回は足立監督とその「妻」である晃子さんに、映画について、そして夫婦についてお話をお伺いしました。

 

「青春18きっぷ」での四国旅行も、年収50万円も、セックスレスもほぼ実話!

↑足立監督(右)と妻の晃子さん(左)

 

–本日はよろしくお願いいたします。先に映画を拝見したんですが、濱田 岳さんが演じる豪太にイライラが止まらなくて……でも最後にはなんだかこの夫婦が羨ましい気持ちにもなりました。この作品は、足立監督の自伝小説『喜劇 愛妻物語』がもとになっていますが、一体どこまでが本当のエピソードなのでしょうか?

 

晃子さん「警察に捕まるとか、法に触れること以外は実話ですよ!」

 

–えっ!?  青春18きっぷで旅行したりとか、年収が50万円だとか、夫婦がセックスレスで豪太が妻・チカ役である水川あさみさんに猫撫で声で「ねぇ〜マッサージする?」って聞いてくるのも本当……?

 

晃子さん「はい……ってここで言うの本当に恥ずかしいんですけど、この人、すっごいしつこいんですよ。疲れているからやりたくないって言っても『なんで? どうして?』って聞いてきて。やりたくないのになんでもクソもないよ!!  って思うし、実際やったとしても大したことないですし(笑)。セックスもコミュニケーションの一種なんだろうけど、内容よりも回数をしたいって思っているんですかね」

 

足立監督「いやぁ〜そういうわけでもないんだけど。奥さんには『早く終われ』って言われちゃうからね。内容を濃くする時間もなくて……」

 

晃子さん「そんな言い方すると、まるで技があるみたいじゃない!」

 

–ちょちょちょっと待ってください! 取材なのに、映画のワンシーンをみているような気分になってきました(笑)。このやりとりだけで「あぁ〜実話だな」と確信しました! 現在は二人のお子さんもいらっしゃいますが、結婚何年目ですか?

 

晃子さん「結婚してから今年で18年目ですね。私が20歳、彼が24歳のころから6年付き合って結婚しました」

 

足立監督「付き合っている時には、3回くらい別れたりしましたけどね(笑)」

 

晃子さん「この結婚するタイミングも、私が『もう別れる!』って言ったら、『いや結婚しよう!』って、なし崩し的に結婚しちゃって」

 

–なし崩し! そんな結婚初めて聞きます……。

 

足立監督「結婚した時期が、僕のどん底期だったんですよ。奥さんと出会った時は現場で助監督をしていたんですけど、シナリオを書けば売れっ子になれるでしょ〜って、先のことも考えないまま助監督を辞めたのがちょうど30歳になるころで。ろくな仕事もなかったから、もう結婚しないと死活問題で。実家に帰るか、東京でホームレスになるか、そんな状態でしたから」

 

–結婚できて良かったですね、って私が言うのもおかしな話ですが(笑)、私だったら「無理!」って断っちゃいます。

 

晃子さん「そうですね。ほんと今思い返しても本当にアホな選択をしたと思っています。 『そっか、私がいないと生きていけないよね、結婚しましょう』って思っちゃったんですよね」

 

離婚する選択も、結婚し続ける選択も同じくらいツラい

 

–映画『喜劇 愛妻物語』では、若かりしころの仲睦まじい二人が回想シーンとして出てきます。実際のお二人もあんな感じだったんですか?

 

足立監督「あんな感じでしたよ。新婚のころは、僕がなかなかうまくいかないのを同情してくれていたんだと思いますねぇ」

 

晃子さん「私も『この人面白いのになー』って思っていたし、努力をしていたことも知っていたから応援していました」

 

–でもいつのころから、映画のような感じになってしまったと……。

 

晃子さん「彼の企画が成立しないことが続いたり、応援していた私も『あんたが悪いんじゃないの?』って思うようになってきて、いろんな感情が積もり積もって爆発してしまったんですよね。これというキッカケがあったわけじゃないんですが……」

 

足立監督「あ、でも! 上の子が生まれたタイミングで、彼女には仕事も続けて欲しかったから『俺は専業主夫になるんだ』って決意したんですよ。そのころは結構、頑張ってたよね?」

 

晃子さん「……私、いつもその話の時に思うんだけど、あなたの専業主夫って全然専業主夫じゃないよ? 食いしん坊だから食べ物は作るけど、A5ランクのお肉とか豪華なお弁当買ってきたり、掃除は下手だし。昨日だってご飯あるよっていうのに、穴子寿司買ってきちゃったり、そういうところだからね!」

 

–こんなこと言うのも失礼ですが……「もう離婚!」ってタイミングはいつでもあったと思うんですよ。でもそれをせずにここまで過ごせているのは、どうしてなんでしょう? なにか努力したり、仲良くする秘訣みたいなのはあるのでしょうか?

 

足立監督「僕はちょっと恥ずかしいですけど、彼女に……週に1回は求め続けることですね」

 

晃子さん「その感覚が間違えてるから(笑)」

 

足立監督「他の家庭はわからないですけど、求め続けるって大事だと思っています。あと、離婚するという選択をして、それぞれの道を歩むっていう『マリッジ・ストーリー』的なお話もありだけど、一緒にいるのは一緒にいるで超大変なんですよね。その選択の厳しさも映画で描きたかったんです」

 

–なるほど。

 

足立監督「離婚するという選択をするのも、夫婦であり続けるという選択もするのもどちらも大変。僕自身も別れないようにする努力をしてきたつもりです(笑)。だって本当に嫌いだったらもう別れてるでしょ?」

 

晃子さん「そうね。私も大っ嫌いなんだけど、1%のいいところがあるから、そこが引っかかって捨てきれないんですよ。全部嫌いではないんですよね。なんか憎めないところというか……、超憎んでいるんだけど、可愛い部分がねぇ」

 

–取材させてもらってまだ少しですが、失礼ながら足立監督の憎めない可愛さめっちゃわかります!!

 

足立監督「本音を言うと、僕は彼女のことを『お守り』みたいに思っているんですよ。映画の中でも赤いパンツが出てきますけど、手放したらダメだって思っているんです」

 

晃子さん「あぁ〜有名アーティストにありがちな、俺は売れたからって若い女と取り替えちゃうようなやつじゃないって言いたいと!」

 

–あぁ〜なんちゃらガールズに目移りしちゃったりとか(笑)。

 

足立監督「そこまで細かくは言えないですけど、僕の場合、彼女を失ったら暗黒時代に戻ってしまうのではないか? なんて気持ちはありますね。それ、うれしい?」

 

晃子さん「あんまうれしくない!なんか愛妻キャラ作ってるし。全然なのに」

 

なんだかんだ言って、笑って過ごせる夫婦は最強!

 

–映画の中でも実際も、夫が妻を求め続けるってすごいことだな! とも思うんです。最近セックスレスな夫婦って多いじゃないですか? 私自身も結婚3年目ですが、もうやらなくてもいっか、みたいな感覚になっているんですよ。お二人は夫婦のセックスレスについてどう思います?

 

晃子さん「紳はセックスレスが不思議なんだよね?」

 

足立監督「僕の中では、それくらいしか取り柄がないと思っていたから……」

 

晃子さん「待って、その流れだと自分が取り柄あるみたいになるからやめてよ(笑)」

 

足立監督「違う、違う! 彼女に寂しい想いだけはさせないようにしようって新婚のころに思って、ちゃんと求め続けるって決めたんですよ。でも毎回は受け入れられない。そのうち、お願いして断られてっていう攻防が楽しくなってきちゃって『ごっこ遊び』に発展していったんです」

 

–セックスを断られたことがきっかけで、倦怠期ゾーンに突入ってよく聞きますけど、監督はそこでめげなかったわけですね!

 

足立監督「そそそう! 一度やらなくなるだけで取り返しがつかなくなるって周りから聞いていましたし、それは嫌だと思ってました。『ごっこ遊び』についても映画の中でチカが『役所広司で』って言うシーンがありますけど、こういうのよくやるんですよ(笑)」

 

–それも実話だったんですね! 個人的にはもっと詳しく『ごっこ遊び』についてもお伺いしたいのですが(笑)、そろそろお時間なので。最後にこれから映画を観る方や、結婚生活に悩んでいるご夫婦に先輩夫婦として、お二人からアドバイスをお願いします!

 

晃子さん「私たち、別に円満夫婦じゃないからなぁ」

 

–いやいや! 今回お話をお伺いして改めて思ったんですけど、どんな出来事も「笑い」に変えているお二人は、円満夫婦です! 映画を観た人の中には、「こんなの悲劇だよ」って感想もあるかもしれませんけど、喜劇にできる夫婦って最強だな! って思うんです。足立監督の円満の秘訣はやっぱり、アレですか?(笑)

 

足立監督「うん、求め続けることですね。寝室も分けたくないです!」

 

晃子さん「私は安眠も大事にしたいから! それにスキンシップ好きじゃないんですよ。この人年中ベタベタするしっ」

 

足立監督「まぁまぁ(笑)。最近だと二人で40分くらい、朝の散歩をしています」

 

–素敵! やっぱり円満夫婦じゃないですか!

 

晃子さん「勝手についてくるんですよ。コロナの時期から始めたんですけど、近所の神社まで願掛けを」

 

–めちゃくちゃいい夫婦! 晃子さんの思う円満の秘訣も是非教えて欲しいです。

 

晃子さん「私のっていうよりも、周りの人の話を聞いていて思うのは『諦めずに言う』ですね。これが嫌だったとか、どんな小さなことでも言葉で伝えないとダメかな、と。言ったことで喧嘩になって、険悪な1週間を過ごすかもしれないけど、言ったらいいじゃん! って思います」

 

足立監督「言いたいことを言うって難しいですからね」

 

晃子さん「難しいの。私も昔は嫌なことも言わずに、自分でやっちゃってました。洗濯物とか、食器洗いとかね。でも育児に追われて『言わなきゃやってられない!』って状態になったんです。これはお互い様ですけど、『気がつくかな〜』って思っていても、言わなきゃ絶対伝わらない。うるさいなーって思われても言う、言ってみる! ひとつ屋根の下で、一緒に暮らしているわけですから」

 

–確かに。言うことをちゃんと言う妻と、求め続ける夫ということが円満の秘訣ですね!

 

晃子さん「全然噛み合ってない!(笑)」

 

足立監督「(笑)お互い我慢しないってことが円満の秘訣かもしれないですね。映画のタイトルにも“喜劇”って付けましたけど、どんな夫婦でも一緒にいるなら少しでも楽しい方がいいです」

 

–そうですね。足立家のように、悲劇も喜劇にできるような夫婦が増えて、お二人のように“笑う門には福来る”な人生を歩んでいきたいと思いました。今日は本当にありがとうございました!

 

約1時間の取材でしたが、終始笑いが絶えず、私も笑いすぎて帰りに龍角散を飲むほどでした。母性をくすぐる可愛さ満点な足立監督と、海より広い心を持って一家を支える晃子さん。映画『喜劇 愛妻物語』は、そんな二人の赤裸々なエピソードが詰まったコメディ作品ですが、コメディに留まることなく夫婦の愛を感じられる作品でもあります。

 

私が好きなシーンに、チカが豪太に代わり原稿をタイピングする場面が出てくるのですが、これも足立夫妻のエピソードに基づいたもの。タイピングが苦手な足立監督に変わって、晃子さんが原稿を打ち込んでいるのだとか。これまで足立監督が手がけてきた数多くの脚本はもちろん、現在GetNavi webで連載している足立 紳 後ろ向きで進むも、晃子さんがタイピングしているもの。

 

「時間がたっぷりあるんだから、タイピングくらい練習しなさいよ!」なんてチカに怒られてしまいそうですが、きっと二人で過ごすこの時間こそ夫婦にとって大切なものなのかもしれないなぁ〜としみじみしました。

 

そこの旦那さん、最近奥さん求めてますか?

そこの奥さん、旦那さんに言いたいこと言えてますか?

 

夫婦の愛を確認するためにも、映画『喜劇 愛妻物語』ぜひ劇場でご覧ください!

 

<作品情報>

「喜劇 愛妻物語」

2020年9月11日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

出演:濱田岳 水川あさみ 新津ちせ
大久保佳代子 坂田聡 宇野祥平 黒田大輔 冨手麻妙 河合優実
夏帆 ふせえり 光石研

脚本・監督:足立紳
原作:足立紳「喜劇 愛妻物語」(幻冬舎文庫)

配給:キュー・テック/バンダイナムコアーツ

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