永遠の命に一歩近づく! 独の科学者が「老化を遅らせる」ことに大成功

ink_pen 2023/4/28
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永遠の命に一歩近づく! 独の科学者が「老化を遅らせる」ことに大成功
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

どんなに科学や医学が発展しても、そう簡単にかなわないのが人間の老化を遅らせること。しかし最近、ドイツの科学者が、動物や人間の血液サンプルを使った実験で、老化のスピードを遅らせることに成功したのです。

↑老化をストップ!

 

独・ケルン大学の研究チームは、10年前に始めた老化に関する研究の中で、遺伝子の転写と呼ばれる工程が、年齢とともに速くなっていくことを突き止めました。たんぱく質は、DNAに書かれた情報がメッセンジャーRNA(mRNA)というものに写し取られ、mRNAの情報を基に作られます。このとき、DNAの情報をmRNAに写し取る工程を「転写」と言い、転写のスピードが年齢を重ねると速くなるだけでなく、エラーも起こりやすくなり、これが人間の「老化」につながっていると論じているのです。

 

また、転写の工程に関わっているのが「RNAポリメラーゼII」と呼ばれる酵素で、どうやらこれが転写のスピードやエラーに関連するようなのです。

 

そこで、RNAポリメラーゼIIの速度を遅くさせるように変異させたミバエとミミズを用意したところ、これらの寿命は、変異しないものに比べて10~20%も長くなったとのこと。さらに、ミミズについては変異を元に戻すと、寿命が短くなり、RNAポリメラーゼIIの変異が寿命に関連することが確認されました。

 

これと同じことを、人間の若い人と高齢者の血液サンプルを使って行ったところ、まったく同じ結果となったのです。つまり、遺伝子の転写の工程が老化に関わっていて、それは人間だけでなく他の生き物にも当てはまると考えられるのです。

 

また、低カロリーの食事を与えたミミズ、マウス、ミバエでは、RNAポリメラーゼIIの速度が遅くなり、転写のエラーが少なることも同チームの研究で明らかになっており、健康的な食事やカロリーを抑えた食事によって転写のクオリティを上げることが可能とされています。これは長期的に老化を抑えることにつながるのかもしれません。

 

「大発見」とされる今回の研究。老化を乗り越えたい人間の飽くなき挑戦は続きます。

 

【主な参考記事】

Euronews Next. German scientists make a ‘major discovery’ that could slow down the ageing process. April 24 2023

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