数々の伝説のコントをはじめ、エッジの効いたクリエイター物真似「クリエイターズ・ファイル」などで、独創的なネタやキャラクターを次々と生み出してきたお笑いトリオ・ロバートの秋山竜次。
そんな秋山がDJを務め「やりたい放題すぎる!(笑)」と一部界隈で話題の冠ラジオが、bayfm『俺のメモ帳!on Tuesday(以下、俺のメモ帳!)』だ。この番組は、秋山が若手のころから綴ってきたという膨大な「メモ」をもとにした、モノマネ、歌、即興のジングルなどが披露され、とにかく秋山カラー全開な30分となっている。今回は、本人が「毎回、やり逃げしている(笑)」と話す番組の全貌や今後やりたい企画について、じっくり語ってもらった。
(構成・撮影:丸山剛史/執筆:kitsune)
秋山の脳内がそのまま番組に
「自分はラジオにめちゃくちゃ向いているなって」
——『俺のメモ帳!』は、最初どのように企画や番組の内容が決まったんでしょうか?
秋山 初めはbayfmさんからオファーをもらったんですけど、「やりたいことを好きにやってほしい」というオーダーだったんです。だったら、僕が普段やっているようなことをそのままやろうかな、と思ってスタートしました。
——実際に、秋山さんらしさ全開の番組になっていますよね。
秋山 ありがたいです。僕の「脳内をそのまま表現できれば」って提案もしてもらったんで、遠慮なくやらせてもらってますね(笑)。脳内で考えたことを書き留めているネタ帳は山ほどあるから、それをもとにしながら番組を進めるという方向性になったわけです。
——それで“俺のメモ帳”ということですね。
秋山 はい。若手の1年目の時から基本的にずっとメモを取っているんでね。最近はスマホに打ち込んだり、音声メモを残したりいろいろですが。
ちなみに、時々、昔のメモで良いネタが眠ってないかって見返すんですけど、結局駄目なもんは何年経っても駄目で。良いのはもう消化しちゃっているんですよね。残っている同じやつを見つけては「またお前か~」っていうのを繰り返してますよ。
——表には出ていないネタが、いろいろあるわけですね。
秋山 でも、そういった成仏できなかったアイディアが、ラジオだと意外と上手くハマッたりするんですよ。映像やコントにするにはちょっと弱いけど、逆に声だけだと想像が広がって成立するという。
——なるほど。ラジオという環境だと披露できるネタというか。
秋山 ですね。そういったネタの数々含めて、自分のネタは案外ラジオに向いてるネタが多いんだなって気づきましたね。情報を伝えるっていうのは無理ですけど、夜中に電波をお借りして、30分好き勝手やっていいっていう内容であれば得意なジャンルなんだなと。
——なんなら、30分だと物足りないリスナーさんもいそうです。
秋山 もちろん、やろうとすれば1時間延々とやり続けることもできますけど、30分くらいでいいんですよ。これ以上やったら、リスナーも疲れるんじゃないかなあ。30分でやり逃げするくらいがちょうど良いんですよ(笑)。
FMラジオあるある。やたらかっこいい英語ジングル事情
OPジングルを「真似しつつ、引き延ばしてます」
——秋山さんは、普段からラジオはお聞きになるんですか?
秋山 じつは僕、昔からbayfmさんをよく聞いていて。車の中でずっと流して、朝から晩まで聞いていたんですよ。そんな中『シン・ラジオ』で友近さんにゲストで呼んでもらったときに、いつか番組をやりたいですねってスタッフさんと話していたんですよね。
——bayfmはもともと聞き馴染みがあったんですね。
秋山 はい。『シン・ラジオ』にゲスト出演したときも、道路交通情報『bayfm TRAFFIC UPDATES』のBGMを友近さんと一緒にハモッたり、歌詞をつけたりして盛り上がりましたねえ。トゥットゥルートゥ~トゥトゥ♪(BGM再現)みたいな、アレね!
——あははは。たしかに道路交通情報のBGMは耳に残りますよね。
秋山 僕、そういうラジオならではのBGMとかジングルが大好きなんですよ。
——番組でも、オープニングジングルを秋山さんが即興で伸ばすのが、お決まりになっています。
秋山 ジングルという存在ってテレビとかにはなくて、ラジオだけにあるものじゃないですか。それで(FMの)オープニングジングルでいうと、英語風にカッコよくタイトルコールしつつ、単語をやたらと繰り返す感じのものが多い。ベイベイベイベイッFM、オレノオレノ俺のメモチョ~ウみたいな感じで。
——(笑)。すごくわかります。
秋山 あれが昔から気になっていたんですよ。それで、特にbayfmさんは、そういったジングルがよく使われていて、強めな傾向があったんですよね。この番組でも、外国の方が『俺のメモ帳!』をいかにもな雰囲気でコールしてくれているので、それを真似しつつ引き延ばすことをやらせてもらっていますね。
——毎回、即興ジングルの時間が長くなっているのも面白いです。
秋山 いま、じわじわ伸ばしているところなんですよねえ。ちょっとずつなら気づかないかなと思って。そのうち、最初から最後までジングルになる可能性もなくはないですから。お付き合い頂ければと思いますね。
歌やモノマネ、バイブ(○○のおもちゃ)DJまで……ラジオにハマるネタ多数「勝手に自分の変な音楽や歌を流せて最高です」
——秋山さんが、よく聞くラジオ番組やジャンルは何かありますか??
秋山 僕は、FMから何気なく流れてくるような音楽や歌謡曲を聞くのが好きだったりするので、そういった音楽チャンネルは聞きますね。それでいうと、じつは僕、自宅に有線を引いていているんですよ。
——え、個人で引いてるんですか? すごい……!
秋山 それで音楽チャンネル以外にも、いろいろ聞くんですが、たまに、ハワイとかアメリカのラジオにチャンネルを合わせて、聞いたりするんですよね。すると、そこで流れているCMとかが面白くて。めちゃくちゃ早口で、いろんなキャラクターが喋ったりしてね。
——番組でも真似されていましたね。再現度が高くて面白かったです。
秋山 米軍のラジオもチャンネルを合わせられるやつがひとつあるんですよ、横田基地かどこかは分からないですが。そういうのを聞いて、再現するのは楽しいですね。
——秋山さんのネタは、歌やモノマネ、リズムネタなどが多いイメージなので、ラジオにハマりやすいのではないかと思います。
秋山 そうなんですよね。今まで気づかなかったんですが、ハマるものが多いですね。勝手に自分の変な音楽や歌を流せるのは最高ですね。
——先日も、○○のおもちゃでクラブミュージックを奏でる『バイブDJ』をやっていましたね(笑)。
秋山 さすがにラジオで伝わるのかこれ……? って不安はありましたけどねえ……。やっちゃいましたねえ。
——ちゃんと伝わっていましたよ。爆笑しました。
秋山 バイブって、あれ以外にもいろんなリズムで振動するものがあって、例えば3・3・7拍子のやつとか。それでリスナーを応援するっていうのをやりたいっすね……“バイブ応援団“みたいな。
——あはははは!
秋山 受験シーズンにやってあげようかなと。冬になったら始めるかもしれないです。
——楽しみにしてます(笑)。
前代未聞!ノリでコーナー作りすぎ問題が発生
「応募が来すぎて、もう送らないで!って言い出した」
——『俺のメモ帳!』は、リスナーのみなさんもパワーがあるなと感じます。
秋山 そうなんですよ。「逆カラオケ」のコーナーとか特に。もともと僕が、ボーカルじゃなくて、メロディの方を口で奏でたくて、そういうカラオケがあったらいいな、ということでリスナーにアカペラで歌った音源を募集し始めたコーナーなんですが、最初1、2通しか来ないだろうと思ってたんです。でも蓋を開けてみたら、わざわざみんな家で録音して送ってくれて。
——アカペラを録音して応募するって、なかなか大変そうですが……。
秋山 でも、みんなどんどん送ってくれるんですよ。ちょっと僕もびっくりしたくらいで。ただの大喜利の答えよりも、数倍カロリーがかかるものを要求しているにもかかわらず、思った以上に応募があって。しかも、自分の声が晒されるわけですから。
——けっこう勇気が入りますよね。
秋山 この前は、CHAGE and ASKAの『YAH YAH YAH』を募集してみたんですけど、さすがにチャゲアスを家でマジで歌ってくるのは無理だろう、と思ってたんですが、けっこう応募が来てさばききれないレベルになっちゃって……!
——すごいですね。
秋山 驚きましたねえ。そもそも今、番組が始まって3か月くらいなんですけど、現時点でいろんなコーナーを作りすぎちゃってるんですよ。毎週ノリで作っちゃってるんで……。その結果、みんながとてつもない量を送ってくれてるんです。それで今度は、応募がいっぱいあると「終わりです! やめて! もう送らないで!」って言い出すという……(笑)。
——秋山さんのファンは、クリエイティブな方が多い印象があったので、そういった皆さんがたくさん投稿されていそうです。
秋山 そうかもしれないですね。今まで、僕がラジオ番組を担当してリスナーに自由に投稿してもらう機会がなかった分、それが集結している可能性がありますから。しかも、クリエイターズ・ファイルやテレビのネタなど、僕がやることの下地ができすぎちゃっている中、それをラジオでやり始めたもんだから、全部こっちでいけるぞ! と。
——そう考えると、ファンの方も待ち望んでいた番組かと思います。
秋山 番組が30分しかないので全部を紹介できないんですが、懲りずに投稿してきてほしいですね。
沼津劇場の転換BGMで意気投合した、佐久間一行
「同じ温度感を持ったゲストなら成立するかなと」
——この番組では“フリー音源”のBGMやSEに注目していますよね。
秋山 はい、僕はフリー音源系も大好きなんでね。昔からですけど、例えばスーパーで流れているような音楽やローカルCMのチープなBGMが、どうしても気になってしまうんですよねえ。それで、番組内でもフリー音源を使わせてもらったり、リスナーから募集もしています。
——秋山さんはフリー音源のイベントも開催されていますよね。
秋山 先輩芸人の佐久間一行さんと定期的にやっているんですが、あまりに盛り上がりすぎて、昨年末には『紅白フリー音源合戦』まで開催したくらいで。二人とも気にするポイントが似ていて、実をいうと、佐久間さんのほうが、僕より細かいところまで見ているんです。着眼点がすごいんですよ。
——お互いにフリー音源が好きだと、気づいたきっかけはあったんですか?
秋山 吉本の劇場で、芸人たちが次々登場するような寄席公演があるんですが、そのネタとネタの間に“転換”の時間があるんです。舞台が暗転して、お客さんもただ次を待つ状態。そこでフリー音源のBGMがかかるんですが、それが、やたらと独特で引っかかっていたんですよね。
それで、沼津の劇場に行ったときに、佐久間さんも一緒だったんですけど、あそこの転換音楽がすごく特徴的で、ちょっとノッていたんです。その時に、袖をパッてみたら、佐久間さんも口ずさんでいた。お互いに顔を見合わせて「これいいよね」って言って、一緒にトゥトゥトゥトゥ~♪ってハモり始めちゃって……!
——あははは。まさかの転換BGMで意気投合したんですね。
秋山 すごい、僕以外にも、こんなこと気にしている人いるんだ!って衝撃でしたね。
——ぜひ番組のゲストで登場して頂きたいです。
秋山 音源を持ってきてもらって、喋ってほしいですよね。30分番組なので、普通のゲストさんだと紹介だけで終わっちゃいそうなんですが、佐久間さんや他にも友近さんのような、同じ温度感を持ったゲストなら成立するかなと思っています。実現させたいっすね。
Spotifyランキング1位でリスナーも増加。今後の目標は?
「ヒーリングミュージックをかけて、パワーを送りたい」
——先日、配信サービスSpotifyのポッドキャストランキングで見事1位を獲得されたそうですね。おめでとうございます。
秋山 ありがたいですよね~。なんでなのか理由はよく分からないですけど……30分という長さが聞きやすいんですかね。移動中とかに、何も考えずに聞ける感じの番組なんで。
——今後もどんどんリスナーが増えて行きそうですが、これから何かやりたいコーナーや企画はありますか?
秋山 一番は、ヒーリングミュージックをかけて、お客さんにパワーを送りたいですね~。
—— あははは!それは気になります。
秋山 突然チャンネル合わせた人が驚いて「え? どこかの変な団体がやってるの?」ってざわつく雰囲気の、ギリギリのやつやりたいですね~(笑)。不思議な音を流して、パワーを送る時間ですって言って。この番組のリスナーさんなら理解してくれると思うので。
——ちなみに、今後リスナーさんとのイベントや公開収録などには興味はないですか?
秋山 何かリスナーと変なことができたらいいですけどね~。ただ、ラジオ番組って公開収録イベントをやりがちじゃないですか……そこを逆にイジれたら面白いっすよね。
——たしかに(笑)。 定番化していますから。
秋山 公開生放送“風”にやってみようかな。よく「先日のイベントの模様をお届けします」って公開生放送のライブ感ある様子を流したりしますけど、今後、イベントやってないのにやった風な偽レポートごっことかチャレンジしたいです。
——楽しみにしています……! 最後に、リスナーさんにメッセージをお願いします。
秋山 情報ゼロ、押し付けゼロの番組です。 こっちも、ほんとにやり逃げしているだけなので、皆さんも聞き逃げしてください。30分だけ聞いてみたら、1回逃げてみてはいかがでしょうか。もし気に入ればもう1回ということで、そのくらいのスタンスで聞いてください。
——ありがとうございました!
ロバート秋山の 俺のメモ帳!on tuesday
毎週火曜日・深夜1:00~1:27にbayfmで放送中!
HP:https://www.bayfm.co.jp/program/akiyama/
Twitter:@akiyama78MHz
mail:akiyama@bayfm.co.jp