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2023/12/21 18:00

【M-1グランプリ2023特集】初決勝の舞台へ! ダンビラムーチョ、当日まで「声優推薦のミンティアで乗り切る!」

2人が到着する前の取材部屋にて、マネージャーが教えてくれた。「ゆにばーすの川瀬名人が準決勝のネタを見て『決勝の一枠、潰れたわ』と言っていたんです」。芸人仲間が自信たっぷりに推すのは、ダンビラムーチョ。昨年の敗者復活戦では野外で堂々たる歌声を響かせインパクトを与えた2人が、今年、初めてM-1グランプリの決勝の舞台に立つ。決勝直前、M-1にまつわる本音をあますことなく聞いた。

 

ダンビラムーチョ…大原優一と原田フニャオによる漫才コンビ。2011年結成。吉本興業所属。NSC東京校16期出身。Instagram(写真左)大原優一●おおはら・ゆういち…1989年11月06日生まれ。山梨県出身。X(旧Twitter)(写真右)原田フニャオ●はらだ・ふにゃお…1989年05月19日生まれ。長野県出身。Instagram

 

【ダンビラムーチョ撮り下ろし写真】

 

川瀬名人が「仕上がっている!」と絶賛

──マネージャーさんから川瀬名人が絶賛していたと聞きました。

 

原田 川瀬には2か月くらい前から、「おまえらとくらげは、今年絶対に決勝に行けるわ」と言ってくれていましたね。

 

大原 「座・高円寺」というライブハウスで、素敵じゃないか主催のライブがあって、そこで初めて川瀬が準決勝でやったネタを見て言ってくれたんです。あいつ、そういうこと言うんですよ、M-1好きすぎて。早い段階で、決勝行けるかどうの判断をすごいする。

 

──(笑)。川瀬名人さんだけじゃなく、ほかの芸人さんも絶賛されて。

 

原田 そうですね。川瀬がいろんな人に「ダンビラムーチョが仕上がってる」と広めて。ネタを知らない人たちからも「今年、決勝に行くらしいね」とすごく言われましたね。

 

──周りの反応は、ご自身も納得な反応ですか?

 

原田 全然そんな意識はなかったですけどめちゃくちゃ言われるので、自然と「決勝に行けるかもしれない」というマインドにはなっていきました。

 

──「座・高円寺」でのライブの段階で、準決勝はそのネタにすると決めていたんですか?

 

大原 いや、川瀬や周りが「絶対そうやろ」「あれやらんかったらおかしい」と言うから「あれをやるかな」と。でも実際に、今年一番ウケるネタではあったんです。

 

──今までのM-1で、周りからそんなふうに言われたことはありましたか?

 

原田 今年ほどはないですね。2018年に初めて準決勝に行けたときのネタも周りから褒めてもらいましたが、今年は異様に言ってくれていたんで。

 

──ネタができたのはいつ頃ですか?

 

大原 今年の夏くらいですね。

 

──それができたとき、「一番面白いネタができた」という実感がありましたか?

 

大原 そんなこともなかったですね。でも「どこでやってもウケるな」とは思いました。∞ホールでやったり、広島の劇場でもやったり、どこでもウケたので客層を問わないのかなと。

 

原田 周りの声もすごくよくて。マネージャーが「今年はあのネタですよ。絶対アレ! 任せてください! 僕には分かります!」ってすごい断言してきました。それが自信にもなりました。

 

──準決勝会場のお客さんの反応はいかがでしたか?

 

大原 よかったですね。応援ムードというか、多分昨年の敗者復活戦があって、お客さんが僕らが歌ネタをするイメージを持っていてくれていたと思います。それで「こいつらまたなんか歌うよ」という空気はありました。

 

昨年の敗者復活戦の楽器の、意外なヒストリー

──昨年の敗者復活戦は森山直太朗さんの「生きとし生ける物へ」を歌うという、しかも楽器も取り入れて。インパクトがありました。

 

原田 順序や野外の雰囲気とかが相まって、神様が味方してくれた感じがするんですよね。

 

──楽器を取り入れるという発想は、今までにないことだったんでしょうか。

 

大原 それ、すごく言われるんですけど、まず歌しりとりをやって、一緒に歌いだすときにベース音みたいなのをやり出す、次にハモり出す……となったら、次はもうボケとして楽器を使うことしか残されていなかったという感じなんです。

 

原田 最初は、大原が吹くカズーという小さいラッパみたいな楽器だけだったんです。それを急に吹き出してもなんのことか分からないし、その楽器もめっちゃ不思議だし、見ている方が「何が起きているんだ?」となったとき、大原が楽屋で「これ!」みたいな感じでどんぐりマラカスを僕に渡してきたんです。「まずは原田がどんぐりマラカスを鳴らし出したら、次にカズーでいこう」という構成になって。

 

大原 すぐそこ(∞ホールの近所)の楽器屋さんで買いました。

 

──急遽調達してきたんですか。

 

大原 そもそもオズワルドの畠中(悠)が、歌うライブのときにカズーをくれたんです。そこから「これ、使えるな」と使い始めました。

 

原田 カズーにも歴史があって。最初はプラスチックのカズーを使っていたんですけど、それだけ見たらなんのこっちゃ分からないんですよ。今のは、それをもっと分かりやすくするためにラッパっぽい装飾の付いた、2代目カズーなんです。それで見ている人に伝わりやすくなったんですけど、初代も2代目も知っているしずるの村上(純)さんが「カズーを寄せてんじゃねえ。カズー寄せる人初めて見たわ」と言っていて。

 

──カズーを寄せる(笑)。

 

原田 一応そんなヒストリーもありますね。

 

オズワルド伊藤の涙に、もらい泣き

──準決勝後、ファイナリストとして名前が呼ばれたときにほかの芸人さんが集まってきてくれたと、M-1公式YouTubeで話していましたね。誰が来てくれたんですか?

 

大原 シシガシラ、オズワルド、くらげ、ダイタクさん。普段∞ホールに出ている仲間たちです。

 

──自分が呼ばれるか否かではなく、仲間ということで皆さんが来てくれたんですね。

 

大原 それが一番うれしかったですね。

 

原田 ダイタクさんは「やったな!」みたいに鼓舞してくれて、オズワルドの伊藤(俊介)は長年ずっと一緒にやってきたんですけど、その伊藤がめっちゃ泣いてくれて。それがヤバかったです。それでもらい泣きですね。

 

──自分が呼ばれたときに泣いたのではなく、もらい泣き(笑)。

 

原田 「こんなに喜んでくれるんだ」という嬉しさでしたね。

 

大原 それで僕は泣きすぎてコンタクトがズレちゃって、すごい茶を濁しちゃいました。

 

原田 はいつくばって泣いていると思ったら、「ここにコンタクトがあるから!」って。

 

──コンタクトを探していたと(笑)。ソフトレンズですか?

 

大原 そうです。そしたら目の端にありました。

 

──よかったです(笑)。原田さんはお母さまに電話していましたよね。

 

原田 すぐに親と、お世話になっているもう中学生さんに電話しました、まず親に電話すると「すごいじゃん、収入が増えるね」みたいなことを言ってくれて。そのあとに電話したもう中さんはめちゃくちゃ泣いて「本当によかったね」と。「本当にずっと、お茶の間にお笑いを届けてくれると思ってたんだよ。本当に良かったよ」って。それで、「いろんなものに感謝して。芸人さんとかにも感謝。あとスタッフさん、あとお花さんにも感謝して」「お花さん……お花さんってなんなんですかもう中さん!(泣)」という会話をしました。

 

──さすがもう中学生さんですね!(笑) 大原さんも電話したんですか?

 

大原 電話はしなかったです。でもとにかくLINEがいっぱい来ていたんで、めちゃくちゃ返しまくっていました。200~300くらい来ましたね。

 

──すごい! 愛されていますね。

 

大原 というか、M-1の力ってほんとうにすごいなと思いましたよね。知らない人からもLINEが来るんですよ。

 

──優勝したら来るのは分かるんですが、決勝に上がった段階でも同じなんですね。

 

原田 いやあ、決勝はやっぱりすごいです。認知度がありすぎて。

 

24日までは体調管理「喉が終わったらもう0点です」

──決勝を決めたすぐ後の∞ホールでは、お客さんの反応が違ったりしますか?

 

大原 そんなことはないです。一発目の∞ホールのライブ、全然ウケなかったですね。

 

──なぜでしょう(笑)。

 

大原 新ネタだし、あんまり面白くないし、午前中でお客さんもちょっと寝ぼけてるし。全員が寝ぼけてる。

 

──そんな感じなんですね(笑)。これから24日まではどんなふうに過ごしますか?

 

大原 風邪を引かないように、それだけですね。

 

原田 とにかく丈夫な体を運ぶだけです。ネタを見直したり変える人もいるっぽいですけど、僕はそんなことできないので、とにかく元気いっぱいやる準備だけをしています。

 

──あとは喉を整える?

 

大原 喉が大事です。本当に。

 

原田 喉が終わったらもう0点ですね。

 

大原 最近、「声優推薦!」みたいに謳っているミンティアを見つけて、それから調子いいですね。

 

──商売道具ですもんね。家でずっと加湿器をつけたりも?

 

大原 全然やらないんです。だからヤバい。でも結構喉は強いほうだと思うんです。お酒も結構飲むのに大丈夫だから。

 

原田 たしかに大原はいつも強い声を出しているのに、大学時代から一緒ですけど、ダメになったことは一度も見たことないですね。

 

大原 大丈夫かなー、一気に来るんじゃないのかな、このタイミングで。

 

原田 34年分のが、地震みたいに。

 

大原 それは困りますね。

 

──怖い!(笑) そういったことも含め緊張しますが、緊張と楽しみ、どちらが強いですか?

 

原田 当日になってみないと自分がどんな感情になるのか分からないですけど、今のところはワクワクしています。CMを見て「これに出るんだ……! 僕が映ってる!」という感じなので。

 

2019年の準々決勝で、忘れられない大スベリ

──準決勝まではどんな心境でやっていましたか?

 

大原 やっぱり緊張します。準々決勝が一番緊張するかもしれないですね。

 

原田 準々決勝で何度もスベってきてるので。

 

大原 準々決勝から準決勝に上がるのが、だいぶ大変なんですよ。準決勝に上がっただけで芸人たちから「おめでとう」とめっちゃ言われますから。

 

原田 準決勝は“最初のゴール”ですね。

 

──そこを突破するには、どんな力がいるのでしょう。

 

原田 それも分からないです。とにかくウケたい! という気持ちでやっていますが、めっちゃウケたからといって絶対に突破するわけでもないし。だからといって考えたりできないから、もうとにかく教えてほしいです。

 

──突破できない壁を感じたことは?

 

原田 山ほどあります。

 

大原 でもやっぱり、ちゃんとウケたらイケる、というのは分かります。「これじゃムリだな」も全然分かりますし。

 

──舞台上で感じる手応えは、確実なんですね。

 

大原 お客さんの反応でなんとなく分かる感じはします。

 

──じゃあ今年は「行ったぞ」という手応えがあった。

 

大原 現場にABCのスタッフさんがいて、僕らのネタ終わりで、こう(サムズアップ)やってきたので「これは行ったかも?」と思いました。昔から撮ってくださっている人なので、そんな人がこう(サムズアップ)やってくれたから。

 

原田 それで落ちたら「マジで!? 落ちるんだ……」って思いますけどね。

 

──期待させておいて(笑)。今までの戦歴を見ると、2010年、NSC在籍時に初出場して、2015年と2018年、そして昨年は準決勝まで行っています。

 

大原 安定感がないのがヤバいですね。普通は、13年もやっていたら安定感が出てくると思うんですよ。

 

──安定感、ないですか? どうしてそう思うのでしょう。

 

大原 本格的にスベるときがあるんです。技術力がないので、本当にダメなときは本当にダメなことになるんです。

 

──本格的にスベったときのこと、覚えていますか?

 

大原 2019年の準々決勝が本当にヤバかったです。「どっちがスポーツに詳しいんだ」というネタで、最初、僕が急に苦しみ出すんです。「うわ! なにかが入ってくる! やめろ……! ……スポーツ……!」「どうした!?」「私は、スポーツのクイズを出題する魔界の王スポイツだ。貴様がスポーツに詳しいというからこいつの体に憑依したんだ」と、別人格が憑依するんです。この「スポーツ!」のときにシーーンッ! となって、そこからゼロ笑い。

 

「笑わないお客さんの静止画が脳裏にこびりついていた」

──ゼロ!?

 

大原 ずっとでした。そもそも会場の雰囲気が重かったというのはあったんですが、ヤバかったです、アレは。僕しか笑ってなかったです。

 

──あはははは!

 

原田 僕もスベりすぎてお客さんをあまり見たくないので、大原の後ろに立ったんですよ。なるべく「僕は関係ない」と。見たくないし、見られたくないし。結構芸人が袖で見学しているんですけど、捌けて、大原が芸人の前で「スベった~!」と言ったら、「それ言ってくれるんだ……!」という雰囲気になって、そこで初めてドーンとウケました。

 

大原 気を使ってくれてね。

 

原田 みんなうつむいていたんですけど、大原が「スベった」と言ったから「あ、いいんだ」と、共感笑いをしてくれて。

 

──会場が重い、というのは原因があったんですか。

 

大原 長丁場でお客さんもすごい疲れているし、ちょっとやそっとじゃ笑わないし、その上知らないヤツが出てきたらウケないじゃないですか。前の出番のウエストランドさんやロングコートダディさんとかも全然ウケていなくて。「僕たちがそれを変えてやると」と思ったら、それ以上にですね……。

 

原田 超えちゃいました、僕ら。

 

──もう見られたくない! くらいの心境になっても、ずっとやり続けなきゃならない。

 

大原 本当にやりたくなかったですよ。ウケないのを分かっているのに、最後までやるのかと。

 

原田 お客さんが止まっている映像が、すごい脳裏にこびりついているんです。だからあの舞台に立つとそれが思い浮かぶ。ただ、今年はその静止画が動画になって。「笑ってくれている!」というのがうれしかったですね。

 

大原 スベったことをほかの舞台で笑い話にできることも助かっていますね。

 

原田 「スベってるのがめっちゃ面白い」って言われるんですよ。僕らはすごいイヤなんですけど。フルスイングで頑張っているのに全くウケないことが。それはそれで1つの武器、とまではいかないですが、ヘコみはしないですね。

 

大原 テンポがいい漫才をする人たちがスベっていると見ていられないところがあるけど、僕らはテンポが悪いので、ギリギリ見ていられるんじゃないかなって。

 

結果発表直前、ダイタクからエゴサ禁止令

──今回、伊藤さんやもう中学生さんのほかに、周りの方から印象的な言葉をかけてくれた人はいますか? 逆に、嫉妬されることはないんですか?

 

大原 ないですね。周りのみんなは本当にいい人が多くて。人の気持ちが分かるから、落ちる人の気持ちも分かる。本当に優しく包み込んでくれました。

 

原田 ダイタクさんはすごく喜んでくれました。「東京吉本のみんなで頑張って売れていこうな」みたいな。仲間意識が強いから、くらげが決勝にいくこともめっちゃうれしいし。「敗者復活戦で上がるから、待っとけよ!」みたいな。ダイタクさんはずっと漫才を教えてくれていたので、すごくうれしかったです。「これつまらないよ」「あのツッコミ、普通は言わないよ」とか、厳しく教えてくれるから、だいぶ成長させてもらいました。一生そういう感じでいてほしいなと思います。

 

大原 準決勝が終わって、発表までの間に、僕らとシシガシラさん、ダイタクさん、エバースの町田(和樹)でご飯を食べに行ったんです。正気じゃいられないから。そのときみんなから「おまえらのネタって、漫才の部分が少ないよね」「ほとんどがおまえの特技披露だよね」と言われて、マジでそうだと思って。

 

原田 歌の部分が多くて。「ただ特技を披露して、合間の数十秒でちょこっとだけしか漫才をやってねえんだよ」と。そのとおりだと思いました。

 

──でも漫才だからこそ決勝に進んだんですよね(笑)。

 

大原 ほかに特技披露している人がいないからかも。

 

原田 特技枠ですね。

 

──(笑)。そこでは、ほかにどんな話をしましたか?

 

大原 ダイタクさんが「エゴサ禁止な!」と言って、エゴサしたいけどいつもどおりの会話をして、「みんなで決勝に行けたらいいな」という話をしていました。

 

原田 僕はトイレに行ったときにやっぱり我慢できなくなって、自動的に指がエゴサーチしているんです。はっと気づいて、「やばいやばい! 違う違う!」となっていました。

 

──ご飯を食べ終え、結果発表までの間、どんなことを考えていましたか?

 

大原 急に結果発表が始まるから、あまり覚えていなんですよ。

 

原田 全コンビにカメラが向けられて、ちょっと異様な空気で、僕は「来い! 来い」という気持ちではいました。

 

──その後で密着カメラが近づいてくるんですね。

 

大原 そうですね。準決勝が終わって、夜中まで決勝で使うVTRを撮ったりインタビューとかがあって。次の日、僕らは山梨で子どもたちにキャッチボールを教える仕事がありましたが、早速そこについてきてくれました。その後日、劇場でのライブ終わりで立ち飲み屋さんで飲んでいるところも密着されましたね。

 

──山梨では、子どもたちが祝福してくれましたか?

 

大原 幼稚園児とかなので誰も知らないから、先生が促して「ダンビラムーチョさん、おめでとうございまあす!」と声をそろえてくれました。

 

原田 よく分からずに言わされてね。

 

巨人の岡本選手が笑神籤プレゼンターで「夢が叶った」

──野球関連の仕事があるのは、YouTubeの「高校野球あるある」の再生回数が多いことが要因ですよね。

 

大原 YouTubeは月に一度集まって撮っていて、メインでやっている感じは全然しないんです。

 

原田 バズってくれて再生数が多くなって、野球の人みたいになっていますが、僕ら的には月1回グラウンドに行ってヘラヘラ動画を撮ってラッキー、という感じです。コロナ禍のときは本当に助かりました。

 

──だからでしょうか、お2人は豊かな感じがします。

 

原田 もうずっと楽しんでやっているからですかね。

 

大原 たしかに、バイトは2018年の終わりくらいからやらなくてすんでいて、一応は芸人の稼ぎだけでやれてはいます。

 

原田 YouTubeやライブ配信をやる人も増えて、若手も結構稼げるようになってきたイメージですが、くらげはまあ増えていなくて。だから、くらげが一番M-1ドリームをつかんだ感はありますね。僕らはずっと楽しんでやっているから、ストイックさがないというか。

 

──いや、そんなネガティブな意味ではないんです。

 

原田 いやいや、全然ポジティブに言っています。僕らからしんどさが出たら、多分ウケないと思うんですよ。

 

──笑神籤で出番順が決まりますが、何番目がいいですか?

 

大原 そもそも、笑神籤を引くのは栗山英樹さんと巨人の岡本和真選手じゃないですか。僕は巨人の大ファンで、岡本選手のユニフォームを持っていますし、そのニュースを見たときにそれだけで泣きそうになりました。「こんなにすぐに夢が叶うのか」と。絶対に写真撮ってもらう! と思いました。もうXのアイコンにする未来が僕には見えているんですよ。岡本選手とツーショットのアイコンが。

 

原田 めっちゃ冷たかったらどうする?

 

大原 いや、そんなことはない。「ラビット!」(TBS系)も出てたし。もうずっと巨人ファンで。今年はくらげの渡辺(翔太)と5、6回東京ドームに行ったんです。その東京ドームで見ていた人が、笑神籤を引くって……めっちゃ夢……みたいな。

 

──認知もされますもんね。

 

大原 岡本選手に認知されるってヤバいですよね!

 

──(笑)。それで、何番目がいいですか?

 

大原 トップバッターでもいいかなと思いました。めっちゃウケた人の後だけはイヤですね。昨年7番目だったダイヤモンドさんは、ずっと「来るか来るか……! 来ない……!」という時間を過ごさなければならず、「あれが辛すぎる」と言っていましたね。

 

原田 ダイヤモンドの野澤(輸出)さんから聞いたのは、ダイヤモンドさんは最下位だったんですけど、せり上がりのときに小野(竜輔)さんがカメラに向けて「いくぞ!」みたいなしぐさをしたんですよね。「ああいうのは最下位になるからやめとけ」と。だから絶対にやらないようにしないとと思いました。

 

大原 そういうところでふざけない方がいいということですね。

 

M1への意気込みは「井上咲楽ちゃん振り向かせる!」

──今日(※12月17日)、審査員7人が正式発表されました。新たに海原ともこさんが加わりましたね。

 

大原 お会いしたことも生でネタを見たこともなくて、どんなふうになるのか全く分かりません。僕は同じ巨人ファンのナイツの塙(宣之)さんがめっちゃ好きです。あと、松本(人志)さんがいますからね……。

 

原田 笑ってくれたらうれしいです。審査員席って近いんですよね?

 

大原 おまえの方から見えるよね。

 

原田 松本さんに見てもらえるのか、すごいな。とんでもないことですね。僕ら、「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)の前説をやっていたことがあるんです。

 

大原 「ダウンタウンさんの登場です!」と言うと出てきて、軽くしゃべるんですけど、そのときにちょっとイジってくれたこともあります。

 

原田 「前説のアンデス山脈が頑張ってくれたから」「いや、ダンビラムーチョです!」なんてやりとりをしたときは、すごい幸せでしたね。「松本さんが僕らに向かってしゃべってくれているぞ!」と。今回、松本さんネタが見てくれるのが本当にうれしいです。

 

──M-1は、お2人にとってどんな存在ですか?

 

大原 小・中学生の頃から見ていた憧れの存在です。アンタッチャブルさん、チュートリアルさん、ブラックマヨネーズさん……すごく面白いなと思って見ていた場所に出られるのが、本当に光栄です。

 

原田 子どもの頃から、出番になったら出て、ただただ笑かして仕事を終えて、「ありがとうございました」と言ってバーっと帰って行く姿を観て「漫才師ってかっこいいな!」と思っていて、ずっとそういう人になりたいと思っていました。M-1の決勝で跳ねたら、自分のその存在になれるのかな、という自信が持てそうな気がします。「漫才師になれるかもしれない」という気持ちですね。

 

──最後に、決勝への意気込みを教えてください。

 

大原 井上咲楽ちゃんを振り向かせるぞ!

 

原田 そんなに「好き」みたいなこと言ってなかったのに。急に。

 

大原 畠中がさ。悔しいじゃんやっぱり。

 

──畠中さんが井上咲楽さんとフライデーに熱愛を撮られていましたもんね(笑)。

 

大原 まさかあいつがタレントと付き合うとは……。

 

原田 M-1ドリーム。めっちゃいいカップルですよね。1回飲みにいかせてもらいましたが、井上咲楽ちゃん、とにかくステキな子で、いいカップルだなって。

 

大原 ああ見えてエレファントカシマシを歌うんですよ。渋いんです。それに足も速いし。だから、そんな井上咲楽ちゃんを振り向かせる気でいきます!

 

原田 僕は畠中は振り向かせる! 井上咲楽ちゃんに取られちゃった畠中を振り向かせるぞ!

 

──(笑)。ありがとうございました!

 

 

構成・撮影/丸山剛史 取材・文/有山千春