靴の履き心地を向上させるため、別売りのインソール(中敷き)を利用する方も多いでしょう。しかし、実は歩行時の靴の機能と履き心地の70%はミッドソールに依拠すると言われているんです。靴の心臓部ともいえるミッドソールですが、それを店頭でカスタマイズするという革新的なテクノロジーが2月下旬、日本に初上陸します。
コンフォートシューズやレザーグッズを作るデンマークのブランド「ECCO(エコー)」は、2019年2月20日(水)から3月26日(火)まで期間限定で、東京・新宿の伊勢丹メンズ館、地下1階紳士靴売場にて、異次元の革新的なシューズ「QUANT-U(クアントゥー)カスタマイゼーション・プロジェクト」を日本で初めて展開します(※)。それに先駆けて1月30日に関係者を対象にデモンストレーションを行いました。
※松坂屋名古屋店では、3月28日(木)~4月24日(水)の予定で同様のポップアップストアを展開。伊勢丹新宿店ではリニューアルオープン予定の8月26日(月)から婦人靴コーナーにおいて常設が予定されている。
ミッドソールの特徴について、エコー・イノベーション・ラボ(ILE)の代表を務めるパトリッツィオ・カルッチ氏は「靴によって自分の姿勢や歩き方を補正するためには、インソール(中敷き)を変えるだけではだめです。靴の機能における中心的役割を担うミッドソール自体を変えていかなくては実現できません」と言います。
ECCOのQUANT-Uポップアップストアでは、店頭で顧客の足を立体的に計測し、その膨大な足に関するデータをもとに、店内の3Dプリンターを使ってカスタマイズしたシリコン製ミッドソールを製造。カスタマイズされたミッドソールを「SOFT 8 QUANT-U EDITION」という専用シューズに装着して販売するんです。ミッドソールは計測から約1時間で完成します。
カスタマイズ・ミッドソールが完成するまでの3ステップ
①足の動きや形状をリアルタイム分析・計測
3D足型計測器で足を隅々まで立体的にスキャンし、専用シューズを着用してトレッドミルのうえを45秒間歩行。シューズに搭載された内蔵型ウェアラブルセンサーとAIで個人の歩行パターンを解析します。センサーは、靴内の温度や湿度をはじめ、膨大なデータを計測。圧力センサーと加速度計を用いて特徴をデータ化します。
②計測データに基づいたミッドソールデザインを開発
計測した解剖学的データに基づきカスタマイズされたミッドソールをデザイン。形状の数値化が行われた後は、さまざまな構造シミュレーションのパターンから着用者に最もフィットするミッドソールをデザインします。
③店内3Dプリンターでシリコン素材のミッドソールを出力
計測データに基づきデザインされたミッドソールは店内の3Dプリンターで製造。約1時間で形成されます(店頭では2台のプリンターで片足ずつ製造)。