機械式時計のムーブメントには、手巻きと自動巻きの2タイプがあります。現在の市場では、その製造数も需要も圧倒的に自動巻きが主流ですが、一方で古典的かつシンプルな手巻きも根強く人気があります。そこで、全3回に分けて手巻きと自動巻きの仕組みについて、解説していきます。2回目は、手巻き時計のメカニズムについてです。
手巻き=人間の指の力を歯車を介して直接ゼンマイに伝える
手巻き時計はリューズを使ってゼンマイを巻き上げます。具体的には、リューズを回した力が巻き真を通じてツヅミ車へと伝わり、同時にその上部に噛み合うようにセットされたキチ車が回転。その回転がキチ車と垂直に噛み合う丸穴車へ伝達され、さらに角穴車から角穴車軸下にある香箱真へと到達して、ゼンマイが巻き上がる構造になっています。
人の手で巻き上げるパワーを駆動のエネルギー源にしているため、自動巻きのような回転錘はもちろん、力を増幅させる歯車類も不要。下の写真を見てもお分かりいただけるように、香箱車の上に設置される手巻き機構の構成パーツもいたってシンプルです。
手巻き時計は、構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、ムーブメントも薄く、軽量にできることが大きな特徴となります。また、手巻き時計を愛する人の意見として、「リューズを通して手に伝わるゼンマイの重さに、直に機械仕掛けに触れるような楽しさがある」そう。実際、巻き心地はメーカーや機種、年式などによってさまざま。一般的には現行高級ムーブほど軽く滑らかに、アンティークのオールドムーブは「カチカチ」とやや重めの傾向にあるようです。興味のある方はショップなどでぜひ、手巻きモデルの「巻き比べ」を試みてはいかがでしょう。
【撮影&取材協力】
ヒコ・みづの ジュエリーカレッジ
東京都渋谷区神宮前5-29-2
最新の手巻き時計おすすめモデル
モリッツ・グロスマン
テフヌート・ピュア
Ref.MG04.J-04-A000508
135万円(税込) 7月発売予定
独特の5分の3プレートなどにサンドブラスト仕上げを施した「ピュア」フィニッシュムーブメントを搭載。引き算の美学とSSケースの採用により、従来のゴールドモデルよりも手の届きやすい価格を実現。
ユンハンス
マイスター ドライバー ハンドワインド
Ref.027 3608 00
17万2800円(税込) 10月発売予定
世界に25台しかない1932年式マイバッハDS8に着想を得てデザインされた一本。ライトグレーやクリームなどの配色は、当時の車体塗装がモチーフ。ダッシュボードのスピードメーターを想起させるダイアルが個性的。
【URL】
ヒコ・みづの ジュエリーカレッジ http://hikohiko.jp/
モリッツ・グロスマン http://www.grossmann-uhren.com/
ユンハンス http://www.europassion.co.jp/junghans/