機械式時計のムーブメントには、手巻きと自動巻きの2タイプがあります。現在の市場では、その製造数も需要も圧倒的に自動巻きが主流ですが、一方で古典的かつシンプルな手巻きも根強く人気があります。そこで、全3回に分けて手巻きと自動巻きの仕組みについて、解説していきます。2回目は、手巻き時計のメカニズムについてです。
自動巻き=錘が回転する力を歯車に伝えてゼンマイを巻き上げる
人の力でリューズを回し、「ゼンマイを巻く力」へ替えている手巻きに比べ、自動巻きはローターと呼ばれる半円形の金属部品が重力によって常に地表面に落下する小さな力「重さ≒重力」をエネルギー源にしているので、その構造はやや複雑となります。
ローターが回転すると、まず切り替え車と呼ばれる2つの歯車がその動きに応じて回転。隣にある減速車とよばれる歯車へ、ギア比を変えることでパワーを増大して伝達されます。さらにその回転力を角穴駆動車で増大させて角穴車を回転、香箱真に設置されたゼンマイを巻き上げるという仕組みです。
ローターや歯車などが増えているので、手巻きに比べムーブも厚く、重くなるのが難点ですが、腕に装着していれば常にゼンマイが巻き足されていくので、装着中に止まることはまずありません。
機械式時計は現在、自動巻きが圧倒的なシェアを占めています。ちなみに、手巻きの場合はどのブランドも基本的な構造は共通していますが、自動巻きには大きく4種類の構造に分けることができます。
コストやメンテナンス性に優れた「切り替え車」が最も主流ですが、自社一貫製造を行うマニュファクチュールブランドを中心に、「ラチェット」や「マイクロローター」も展開されています。アンティークに数多く見られる「遊動車」もあるなど、バリエーションが豊富な点も魅力となっています。
【撮影&取材協力】
ヒコ・みづの ジュエリーカレッジ
東京都渋谷区神宮前5-29-2
最新の自動巻き時計おすすめモデル
タグ・ホイヤー
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ ブラックセラミック
Ref.CAR2A90.FT6071
76万1400円(税込予価) 10月発売予定
ベゼル、ラグ、ケースなどにブラックセラミックを使用した、自社製の自動巻きクロノグラフキャリバー ホイヤー 01搭載モデルの新バージョン。スケルトン加工を施した地板、日付ディスクをはじめ、緻密な構造を文字盤から楽しめます。
【SPEC】
ムーブメント:自動巻き(Cal.HEUER 01)
素材:セラミックケース、ラバーストラップ
サイズ:直径45mm
防水性:10気圧
ノモス・グラスヒュッテ
タンジェント ネオマティック
Ref.TN130011W2
42万6600円(税込予価) 7月発売予定
厚さ3.2mmという超薄型な自社製自動巻きキャリバーDUW3001を定番モデルに搭載。文字盤上部に金色で記されたneomatikの文字は、ノモス・グラスヒュッテの自信の表れ。コストパフォーマンスの非常に高い一本です。
【SPEC】
ムーブメント:自動巻き(Cal.DUW3001)
素材:SSケース、コードバンストラップ
サイズ:直径35mm、厚さ6.9mm
防水性:3気圧
【URL】
ヒコ・みづの ジュエリーカレッジ http://hikohiko.jp
タグ・ホイヤー http://www.tagheuer.com/
ノモス・グラスヒュッテ http://www.nomos-glashuette.com/