2025年8月28日、Nothing Japanはフラッグシップモデルのスマホ「Nothing Phone (3)」を発売しました。価格は12GB+256GBが12万4800円、16GB+512GBが13万9800円(いずれも税込)。Nothing公式サイト、楽天モバイルにて取扱中です。
Nothingのスマホといえば、透明素材とLEDライトを組み合わせた独特なデザインが特徴。なおかつ価格も抑えめで、ミドルレンジの買いやすさと他メーカーでは味わえない所有欲が個性でした。サブブランドのCMFからも、お手頃価格のスマホがリリースされています。
しかし、Nothing Phone (3)ではついにミドルレンジを脱却。性能はハイエンドと呼べるまでに向上し、それに伴いデザインも悪目立ちしない方向に舵を切りました。
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背面デザインは以前よりおとなしい印象に

ディスプレイは美しく、最大輝度も4500nitsで夏場の日中でも視認性ヨシ。リフレッシュレートは30〜120Hzの可変式、タッチサンプリングレートは1000Hz。また、バッテリー容量は5150mAhで、ワイヤレス充電にも対応します。

歴代のNothing Phoneは、背面に大胆なLEDライトがあしらってありました。が、本機ではそれがなくなり光りモノが減少。レンズの配置や幾何学的なパターンなどで、デザインに遊びを加えています。透明の外装も美しいですね。

本体右側面、電源ボタンの下にはNothing Phone (3a)から導入された「Essential Key」を搭載。ここだけボタンの仕上げも光沢感があり、デザイン的なアクセントにもなっています。Essential Keyを押すと呼び出せるAI情報整理機能の「Essential Space」について、詳細は後述します。
ドットLEDが情報を表示、遊び心も追加
さきほど背面の光りモノは少なくなったと述べましたが、かといってなくなったわけではありません。それがこの「Glyphマトリックス」。

背面右上の黒い丸部分、ここにはマイクロLEDが埋め込まれていて、ドット絵のように情報を表示してくれます。Nothingはブランドビジュアルにもドット表現をよく用いているので、デザイン要素としても親和性がありますね。

背面右側の黒丸(上写真だと指の位置)をグっと押すとGlyphマトリックスが起動。ここはハプティクスでフィードバックがあり、振動で押した感が伝わります。時計、バッテリー残量などの実用的な情報のほか、ルーレットのようなゲーム的な要素も。
このゲーム要素は「Glyph Toy」と呼ばれるミニアプリで、ソフトウェア開発者向けのキットであるSDKを使ってユーザーやコミュニティがアプリを追加することができます。ゆくゆくは新しいゲームが追加されるかも?

また、背面カメラ撮影時に被写体をミラー的に表示することも。このドット絵表示はなかなかおもしろく、背面セルフィー時の位置合わせといった実用面はもちろん、撮影時に相手をクスっとさせる小技としても使えそうです。初めて見る人は驚くでしょうね。
デザインについてまとめると、従来の背面デザインよりも奇抜さが抑えられ、Glyphマトリックスによるアクセント的な表現に生まれ変わりました。Glyphマトリックスは光らない限り、目立つことはありません。光りモノがなくとも、ユニークなカメラ配置や背面パターンのおかげで、充分に個性は表現できているでしょう。
ゲーミングスマホに匹敵する高スペック
Nothing Phone (3)のSoCは、2025年4月にQualcommが発表したSnapdragon 8s Gen 4。日本で取り扱いがあるスマホの中では、本機のほかにXiaomiのゲーミングスマホ「POCO F7」が採用しているのみです。

スマホの総合的な性能をスコア化するAnTuTuベンチマークの結果は200万点を超えており、ハイエンドモデルと呼ぶにふさわしい結果でした。
アクションRPG『ゼンレスゾーンゼロ』の最高画質もサクサク動作でしたが、持っていられないほどスマホが熱くなったので、排熱性はそこまで。ゲーミングスマホではないですし、ここは仕方がないかと。
平時のブラウジングや動画鑑賞、アプリ操作などもサクサク。「使っていてストレスを感じる場面がない」というのは、フラッグシップモデルに求める要件といえるでしょう。

ちなみに、ゲームモードOFFでAnTuTuベンチを実行してみましたが、そこまで結果に差は出ませんでした。レビュー中は毎日スマホゲームをプレイしていましたが、ゲームモードはOFFでも充分に快適そうです。
画像と音声のスクラップブック「Essential Space」に期待
Essential SpaceはNothing Phone (3a)と「Nothing Phone (3)」で使える独自機能。AI解析を利用し、スクショや音声、テキストなどを網羅的に記録・整理するものです。 いわゆるNothing独自のスマホAI要素なのですが、現時点ではまだベータ版。活用できる場面もやや限定的ですが、筆者的には可能性を感じています。

使い方は、Essential Keyを押すと画面をスクショし、Essential Spaceアプリに集約。Essential Spaceに移動するとスクショの内容が要約されており、どんなページのどんな情報なのかがまとめられています。上記の写真の例では、ダイソンの新製品について情報を要約してくれていますね。
また、Essential Keyを長押しすると録音が可能。「来週の水曜日にメール」などと録音すると、話した内容が文字起こしされ、ToDo化されます。日付なども認識し、直近のアップデートでGoogleカレンダーとも連携できるようになりました(これはうれしい!)。
スクショについては、SNSやネットを彷徨っている際に「あとで見返したいな」と思った情報を留めておけるのは便利です。ただ、URLが残らないので該当ページに戻れないのがやや不便。
録音は素早くリマインダーを作成できるので便利ですね。活用法がピンポイントではあるものの、個人的にはこれからの伸びしろに期待したい機能です。頑張れ、AI!
物足りないとは言わせない! 充実のカメラ性能

最後はカメラについて見ていきましょう。背面とインカメラ、すべてのセンサーが50MPという贅沢な仕上がりで、いかにもフラッグシップなスペックになっています。
「デザインはおもしろいけどカメラは平凡」というのが、これまでのNothingスマホにありがちな評価でした。価格やスペックを考えれば致し方ないといったところですが、本機ではそこがガツンとアップデートしています。

パッと適当に撮影してもこの通り、コントラストもディテールも良好。撮影時のディスプレイではハイキー気味に見えていましたが、撮影してみると露出のバランスも問題ありませんでした。

露出をアンダーに寄せると、なんとも本格的な印象に。光学3倍で50MPというのは、かなり頼もしいですね。

ホワイトバランスはやや青寄りな印象。色温度とシャッタースピードはマニュアルで変更できます。

四隅はやや流れ気味ですが、超広角も良い感じです。

「これはおもしろい!」と思ったのが、望遠レンズを使ったマクロ撮影。かなり寄れるので、花や料理の質感などをダイナミックに表現できます。

望遠撮影はデジタルズームを使って最大60倍までズームできますが、20倍以降はAI補正機能がはたらきます。上記の作例のようにノイズや画質荒れをきれいにしてくれますが、被写体によっては絵画的なタッチなることも。
申し分のないスペックと、ワクワクさせるデザイン

カメラやスペックなど、スマホに求める基礎性能については文句なし。一方でデザインにはNothingらしい要素が宿っており、まさに機能とデザインを両立させたフラッグシップに仕上がっています。GlyphマトリックスやEssential Spaceなど、これからのアップデートでおもしろくなりそうな要素にも期待したいですね。
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