【西田宗千佳連載】Apple Watchが「高血圧傾向の通知」に対応した意義

ink_pen 2026/1/6
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【西田宗千佳連載】Apple Watchが「高血圧傾向の通知」に対応した意義
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.157-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はApple Watchに新たに備わった「高血圧のパターン通知」機能。あらゆる病気の要因ともなる高血圧にアップルが注目した要因とは何か。

 

今月の注目アイテム

アップル

Apple Watch Series 11

6万4800円~(税込)

↑高血圧パターンの通知のほかに、心電図アプリやバイタルアプリも搭載し、健康状態を理解して最新の情報を受け取れる。睡眠の質を理解して回復力を高めるために毎晩の睡眠データを分析する「睡眠スコア」も利用可能だ。

高血圧の兆候を検出したデータから通知

2025年12月4日より、「Apple Watch」で「高血圧パターンの通知」機能が日本で使えるようになった。この機能は、iOS 26とwatch OS 26の新機能として同年の秋から多くの国で利用可能なものだったが、日本では、医療関連機器の有効性や安全性を確認する「薬機法」への対応準備に時間が必要となり、3か月遅れでの対応となった。

「高血圧パターンの通知」機能は、30日間にわたってデータを解析し、高血圧パターンの兆候が一貫して検出された場合、利用者に通知するもの。すでに高血圧と診断された人の状況を把握するのが目的ではなく、高血圧である可能性を把握していない人に通知し、医師への相談や生活習慣の変更を促すものだ。

実は高血圧パターンの認識に専用のセンサーが搭載されているわけではない。心拍数を把握するセンサーから得られる情報をさらに解析し、その結果から推測する。だから「高血圧の検出」ではなく「高血圧パターンの認識」と表現されるのだ。普段心拍を計るための仕組みを応用するので、バッテリー動作時間などにも大きな影響は出ない。「高血圧パターンの認識を使う」と設定を変えるだけで、誰もが使える。前出のように、高血圧だとわかっていない人が状況を把握するには適切な仕組みだ。

新しいセンサーを必要としないため、最新機種だけでなく、2023年9月発売の「Apple Watch Series 9」や「Apple Watch Ultra 2」以降の機種でも利用できる。それ以前のモデルで対応していないのは、データの処理に十分な性能のプロセッサーが必要であり、それはSeries 9以降で使われている新しいものでないといけないという事情がある。

「健康と安全」において他と差別化を図る

Apple Watchはすっかり「健康や安全」に寄り添う方向性のデバイスに変わった。初期には“iPhoneからの通知”“Apple Watch専用アプリ”にフォーカスしていた部分があるが、多くの人に本当に刺さったのは「健康や安全」のためのデバイスになったということだ。

特に現在は2つの点で大きな変化が現れている。

1つ目は、シンプルに脈拍や体温などの数値を取得して使うのではないということ。ずっと付けていてもらうことを前提に、“その人の生活のなかで健康上考慮しておくべき情報”を提示する。そのためには高度なデータ解析が必要であり、スマートウォッチ自体の高性能化とスマホ連携が必須である。

2つ目は緊急通報。スマホ連動して、いざというときに通報という仕組みもあるが、それに加え、最新機種では衛星通信と連動した。auのスターリンク・ダイレクトがApple Watchでも使えるようになり、山間部などの携帯電話網が使えない場所での緊急事態に対応できる。

これらはみな、低価格なスマートウォッチに対する差別化であり、対抗策と言える。そして、「健康と安全」は誰もが求めるものであり、お金を払うに値するものということだ。

こうした動きはアップルだけのものではないし、スマートリングもある。その辺の動きは次回解説していく。


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