痛いくらいの夏の日差し。シミやシワが気になって、日焼け止めクリームが手放せない時期だけれど、子どもに使っても問題ないのかしら……?そういえば、はす向かいの渡邊さんは、皮膚科クリニックの院長だったじゃない! 彼女に聞けば間違いなさそうね。さっそくお招きしましょう!
参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお母さんが、なにやら困っているようです。
参田家の人々とは……
ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。
子どものデリケートな肌に、日焼け止めは使ってもいいの?
お母さん「ご近所のママ友が、子どもにも日焼け止めを塗るようにしたんですって! この日差しの強さだもの、子どもにも日焼け止めを塗ってあげたくなるけれど、子どもの肌には負担にならないのかしら。紫外線はやっぱり子どもにも悪影響があるんですよね?」
渡邉さん「お子さんにも日焼け止めを使い始めたママ友さんは、大正解! 子どもは大人以上に、紫外線の影響を受けやすいんですよ。18歳前後までの成長期は、細胞も活発に増えていく時期。成長期に強い紫外線を浴びると、DNAにまでダメージが及ぶことがあきらかになっています。将来、シミやシワができやすくなるだけでなく、紫外線によって免疫機能が低下し、皮膚がんを発症するリスクも高まるんです」
お母さん「少しでもリスクを軽減させるには、子どものうちからケアが必要というわけですね! ちなみに、我が家には幼稚園の娘、ハイハイを始めたばかりの息子もいるんです。日焼け止めクリームは、赤ちゃんにも使えるんでしょうか?」
渡邉さん「生後3カ月以上のお子さんであれば、問題ありません。ただし、赤ちゃんや子どものお肌はとってもデリケート。かぶれやかゆみといった皮膚トラブルを引き起こさないためにも、キッズ用の日焼け止めを使用するのをおすすめします。子ども用の日焼け止めを選ぶときにチェックしてほしいのが、SPF(UVB=紫外線B波から肌を守る値)の数値や、PA(UVA=紫外線A波から肌を守る値)の表示です。SPFの数値が高いほど紫外線をブロックする効果は高いのですが、肌への負担になることもあるため、高ければ良いというわけではありません」
お母さん「そうだったんですね! つい数値の高いものを選んでしまっていたけど、肌のことを気にしたらちゃんと考えたほうがよさそうですね」
渡邉さん「そうですね。日常生活では大人であればSPF20~30、PA++、お子さんはSPF10~20、PA+くらいが目安になります。屋外レジャーの場合は、SPF50、PA+++以上がおすすめです。また“ノンケミカル”という、紫外線吸収剤を含まないタイプもおすすめです」
お母さん「キッズ用の日焼け止めは、大人用との違いが気になっていたけれど、紫外線吸収剤というフレーズは初めて聞いきました。いったい、どんな成分なんですか?」
渡邉さん「確かに耳慣れない言葉ですよね。日焼け止めは、『紫外線吸収剤』と『紫外線散乱剤』の2種類に分けられます。どちらも紫外線防止の役目を担いますが、吸収剤(ケミカル)は皮膚の表面で紫外線を吸収し、化学反応によって肌内部への侵入を防ぐ成分。紫外線を防止する力は強いものの、化学反応がお肌の負担となり、成分そのものも人工的な化学物質です。散乱剤(ノンケミカル)は、肌の表面で紫外線を跳ね返すことで、紫外線が肌に当たるのを防ぐものです」
お母さん「そういう違いがあったんですね。薬局で買うときにしっかり説明書きを読まないといけませんね」
渡邉さん「刺激が強いといわれる紫外線吸収剤でも問題ない人もいれば、肌にやさしいといわれる紫外線散乱剤でも肌荒れを起こす人もいます。日焼け止めの副作用としては、接触皮膚炎や光接触皮膚炎が多いので、成分をよく確認したうえで、使用シーンや場所、そして使いやすさや使い心地を考慮しつつ、自分の肌に合ったものを選ぶことが大切です」
お母さん「それは初耳! 日焼け止めを買うときは、SPFやPAの値を見たり、成分チェックも大切なんですね! あと、日焼け止めの塗り方のコツも教えてください。私ってズボラだから、自分で使うときもざっくり塗るだけなんですよね(笑)」
渡邉さん「子どもにも大人にも共通して言えることですが、日焼け前後の保湿ケアを忘れないことが大切です。そして、夏場などは汗で流れやすいので、2〜3時間間隔で塗り直しや重ねづけが必要になります。塗るときには少しベタつきを感じるくらい、やや多めに塗ってあげてくださいね。実は大人も含め、ちょっと塗り足らない程度で済ませている人が多いのです」
お母さん「あと、塗りムラができてしまうのも悩み……。どうすればいいんでしょう?」
渡邉さん「塗りムラを避けるため、一度に塗るよりも少ない量を重ねたほうがムラになりません。皮膚のシワの流れに沿って塗るのもポイントですよ。腕や脚の場合は、あらかじめ適量を皮膚におき、筒状に伸ばすようにすると、皮膚のキメにまでしっかり浸透します。また、耳や首の後ろも忘れずに塗りましょう」
お母さん「振り返っても、見直すべきポイントがたくさんありそうです(苦笑)。ちなみに、日焼け止めを塗るとき私のような30〜40代の女性が気をつけるべきことって、何かあるんでしょうか?」
渡邉さん「そのくらいの年齢ですと、頭皮の日焼けにも注意が必要です。日焼けをすると頭皮が硬くなり、薄毛や抜け毛が増え、髪の毛も痛み、発毛環境を悪化させる傾向にあるんです。これは男女問わず言えることです。スプレータイプの日焼け止めは、髪や頭皮にも使いやすいので、旦那さまと一緒に使われることをおすすめします」
お母さん「薄毛にも紫外線が影響していたなんて、これは聞き捨てなりませんね! お父さんにも教えてあげなくちゃ(笑)」
渡邉さん「ぜひ、一緒に使ってみてください。そして家族の食卓を支えるお母さんにお伝えしたいのが、柑橘類を摂取するタイミングです。オレンジやグレープフルーツといった柑橘類には、紫外線の感受性を高める『ソラレン』という成分が豊富なため、外出前の朝食に摂取すると、紫外線の影響を受けやすくなってしまいます。その反面、柑橘類に多く含まれるビタミンCやビタミンEは抗酸化作用が高く、紫外線によるシミ防止に効果的! 紫外線が強くなる夏には、朝食ではなく、夜のデザートに柑橘類を出してあげてください」
お母さん「さっぱりとした味が朝食にピッタリな柑橘類も、紫外線の影響を考えると、夜に食べたほうが効果的なんですね! 渡邊さんのおかげで、たくさんの知識を得ることができました。本当にありがとう! 」
焼け止めは用途に合わせて使い分ける
早速、娘と息子の健康を守るため“ノンケミカル”の日焼け止めを探していたら、「桃肌まもり」を発見。まるで“お守り”みたいな、子どもたちも喜びそうなデザインね。毎日持ち歩きたくなるかわいいデザイン! さっそく渡邊さんのお話で初めて知った、適切な塗り方を実践してみるわ。
さらに紫外線ダメージを軽減できる、フルーツ摂取のタイミングまで知ることができて、とてもためになったわ! 今度からは、日焼け止めの成分をしっかり見て、自分や子どもたちの目的にあった日焼け止めを選ぶことが大切ね! そして今日のお買い物では、夕飯のデザートに出す柑橘フルーツを買って帰りましょう!
【商品情報】
京都柳小路 kyo・miori×DIDYCO「桃肌まもり」
価格:各2800円(税別)
左:うさぎ 恋愛運・縁結び
……ツキを呼ぶうさぎ柄。背景には仲の良い男女に例えられる妹背の桜をあしらい、縁を繋ぐ文様の束ね製斗のモチーフをプリント。
中:もも 魔除け・厄除け
……昔から魔除けの力があるとされている桃の花、葉、菱型のパターンを使用。ひな祭りにこの花を飾るの は子供が元気に育つよう願うため。
右:扇子 芸能上達・仕事運
……末広がりで縁起がいいされる扇子。望みが満ちる望月、大願成就で春を願って梅鶴、芸能上達の象徴お琴などがあしらわれている。
【プロフィール】
千春皮フ科クリニック 院長 / 渡邊千春
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。幼少時にアトピー性皮膚炎に悩まされた自身の経験から、皮膚科医になることを志す。大学病院やクリニックで皮膚科医、美容皮膚科医として勤務した後、2012年に埼玉県さいたま市に「千春皮フ科クリニック」を開業。皮膚科の専門医として豊富な美容医療の経験により肌の悩みに対して、医療と美容医療、双方の観点から治療を行う。4人のお子さんのママでもある。
http://chiharu-hifuka.com/