ヘルスケア
睡眠
2018/8/26 16:00

肉より味噌! 女医に教わる夏バテ・冷えバテの原因と解消法

最近、なんだか体がだるいし、食欲もない……。夏バテしている気がするけれど、冷房の効いた室内で過ごす時間が多いし、原因がわからないんだよなぁ……。そういえば、近所に引っ越してきた石原さんは、テレビにも出演しているお医者さんだっけ! 石原さんに聞けば、夏バテの原因も解消法も、分かりやすく教えてもらえそう。さっそく我が家にお招きして、相談しよう!

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお父さんが、なにやら困っているようです。

参田家の人々とは……
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ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。

 

夏バテの症状や原因、解消法も教えて!

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お父さん「最近、なんだか体調が良くないんです。だるさを感じるし、食欲もわかなくて。これってもしかして、夏バテでしょうか?」

 


石原さん「その症状、夏バテの可能性が大いにありますね。全身のだるさや疲労感、食欲不振は、夏バテの代表的な症状です。なかなか寝付けず、寝不足になることも少なくありません」

 

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お父さん「確かに最近、寝付きも悪い気がする……。そもそも夏バテって、何が原因で起こるんですか? 夏の暑さによって、体が悲鳴を上げている状態とか……?」

 


石原さん「現代人の夏バテは、外気の暑さと冷房の効いた屋内の気温差による、自律神経の乱れが原因のことが多いんです。夏バテというより、もはや“冷えバテ”と言ってもいいくらい! 冷房が効いた室内で冷たい飲み物ばかり飲み、体は冷え冷え。それが一歩、外に出れば、汗が噴き出すほどの暑さです。この気温差に体温調節がうまくできなくなり、自律神経が乱れてしまうんですよ」

 

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お父さん「“自律神経の乱れ”だなんて、なんだか怖いフレーズですね……。体の中では、いったい何が起こっているんですか?」

 


石原さん「自律神経とは、自分の意思とは無関係に働き、体のあらゆる器官を司る神経の総称です。この自律神経、興奮状態のときに優位に働く交感神経と、リラックス状態のときに優位に働く副交感神経の2つがあり、置かれた状況に応じて、どちらかが活発に働きます。それがあまりに激しい気温差により、2つのバランスが乱れてしまうんですね。お話ししたように、自律神経は、体のあらゆる器官を司っています。この自律神経が乱れてしまうため、内臓の不調からだるさや食欲不振といった症状が現れるんですよ」

 

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お父さん「冷房の効いた屋内と、とっても暑い屋外の気温差に、体がパニックを起こしてしまっているということですね! とは言っても、冷房なしに真夏を過ごすのは難しいですよ……。この夏バテ、どうしたら治るのでしょうか?」

 


石原さん「もちろん、冷房は使ってください! この暑さです、冷房なしでは熱中症になりかねません。冷房を適切に使いながら、体を冷やさない工夫が大切です。まず、暑いからといってシャワーだけで済まさず、バスタイムには、しっかり湯船に浸かるようにしましょう。湯船は38度程度のぬるま湯に設定し、ゆっくり浸かることが大切です。すると体が温まるのと同時に、乱れていた自律神経もリラックスできるんですよ」

 

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お父さん「確かに最近、シャワーで済ませることが多かった気がする。きちんと湯船で温まり、心も体もリラックスすることが大事なんですね! 」

 


石原さん「自律神経の乱れを解消するには、良質な睡眠をとることも大切です。冷房なしでは眠れない熱帯夜には、タイマーを設定しないのも、ひとつの手。冷房が自動停止した後、暑さから目を覚ましてしまっては、体の疲れが取れません。そのため、長袖長ズボンのパジャマを着用し、きちんとお布団を掛け、冷房をつけたまま寝る! 体のことを思えば、私は、この方法をオススメします」

 

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お父さん「タイマーを設定して眠りについたものの、途中で起きて、また冷房を付ける……。それも思い当たります(苦笑)。今夜からは温かい格好をして、冷房をつけたまま寝るようにしてみます!」

 


石原さん「ぜひ、試してみてください。さらに夏バテのときは、胃腸も疲弊しています。『夏バテにはスタミナ! お肉を食べなきゃ!』と思う方もいますが、肉類はエネルギーの源であるタンパク質が豊富な一方、消化の悪い食品でもあるので、夏バテのときには控えましょう。反対にオススメなのは、お味噌ですね!」

 

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お父さん「お味噌なら、我が家にもあります! でも最近、暑さを理由に、お味噌汁なしで食事を済ませていたかも……」

 


石原さん「お味噌汁は面倒だとしても、野菜のディップとしてお味噌を添えるくらいなら、簡単ですよ。お味噌は発酵食品ですから、消化を助ける酵素が豊富。さらに疲労回復に効果のあるアミノ酸も多く含まれ、たくさん汗をかいた後に取りたい、塩分も摂取できます。そして、薬味を上手に使うこともポイント。薬味として使いやすい大根も、ショウガも梅干しも、消化を助けてくれる食品です! このように食事、睡眠、バスタイムに、こういったポイントをおさえておけば、夏バテが癒えるだけでなく、夏バテしにくい体が作れますよ」

 

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お父さん「なるほど! ディップや薬味として添えるくらいなら、僕でもできそうです! 石原さんに教えてもらったことを毎日の生活に取り入れ、夏バテが解消した後も、日常的に続けるようにします。今日はありがとうございました。まだまだ暑い日が続くけれど、お互い、元気に過ごしましょう!」

 

【まとめ】

現代人の夏バテは、むしろ“冷えバテ”!

夏バテの原因が、単に暑さではなく、屋外の暑さと冷房の効いた室内の温度差にあると知り、目からウロコ! 特に「現代人の夏バテは、もはや“冷えバテ”」という言葉は、肝に銘じなきゃいけないなぁ。石原さんに教えてもらった、湯船にゆっくり浸かること、良質な睡眠を取ること、消化を助ける食材を取り入れることを心掛けて、この夏を元気に乗り越えよう!

 

教えてくれたのは……

イシハラクリニック副院長/ヒポクラティック・サナトリウム副施設長・石原新菜さん

漢方医学、自然療法、食事療法をベースに、種々の病気の治療にあたり、プライベートでは二児の母。クリニックでの診察のほか、分かりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演・テレビ・ラジオ・執筆活動と幅広く活躍。13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム)をはじめとした著書も多数。
https://www.ninaishihara.com/