ストレス解消に役立つ「グルグルする料理」
ーー特にリモートワークや巣ごもりですと、ストレスへの対処の仕方も限界があるような気がします。外にも出られない、自宅には家族もいる環境ですので……。
古賀 おっしゃる通りですが、こういったリモートワークや巣ごもりでもストレスを和らげる方法はあります。一瞬忘れられるようなこと、楽しく没頭できることをすることをすれば良いんです。お金や手間がかからず、気軽に楽しめて没頭できるものが良いです。そこで私が良いなと考えているのが、まず料理です。それもこだわりを持ったものでなく、お金をかけるものでなく、冷蔵庫の中にあるちょっとした余りものを上手に組み合わせて作るようなものが良いですね。
余っているいくつかの食材で、どんな料理ができるかを考えてみる。そうすると、「あ、こんなものができそうだ」みたいなひらめきがありますよね。こういうときは、さっきまで感じていたストレスを一瞬忘れているはずです。これは良いコーピングだと思います。
また、ここで言う料理は必ずしも立派なお皿に乗る、シェフが作るようなものでなくても良くて、「えーい! 混ぜちゃえ!」といった料理で十分です。納豆を混ぜていく、メレンゲを混ぜていくことでも良いですが、より良いのは「混ぜる」「グルグルする」ことで変化が起きる、違うものになっていくものです。最初は具材がバラバラだけど、混ぜることで一つの料理になる混ぜご飯なんかも良いと思います。「魚を焼く」「肉を焼く」という単品の料理よりも「混ぜる」ものは没頭できると思います。
自分の「混ぜる」というちょっとした努力によって、別のものができあがったときは嬉しいものだと思います。リモートワークで外出できない状況だったとしても、食事だけは毎日変わらず摂りますから。このようにリモートワークでストレスを感じている方は、混ぜる料理をやってみると良いと思います。
料理が面倒な人はお菓子でのグルグルでも良い
ーー「混ぜる」「グルグルする」ことに特化したお菓子なども出ていますが、こういった商品を楽しむのもストレス解消になりますか?
古賀 なると思います。従来のものが「混ぜる」「グルグルする」したことで別ものに変化するのであれば、十分な効果を得られるはずです。プロセスも楽しいじゃないですか。より簡単にできるでしょうし、こういった「混ぜる」お菓子を使ってストレスを解消するのも良いと思います。
ストレスを溜めないための一歩は「早寝・早起き・三度の飯」
ーー一番怖いなと思うのは、自分で気づかないうちにストレスを溜め込んでいってしまうことです。特にリモートワークは、仕事と仕事外の境目が曖昧で、自然とストレスを溜め込んでいくケースもあるように思います。
古賀 自覚しないままストレスを溜め込んで現れることの一つは気力、意欲、モチベーションが落ちていくということです。それから、体に症状として異変が起こること。「なんとなく頭が痛い」「目が回る」「耳鳴りがする」「肩がこる」「おなかの具合が悪い」「胃が痛い」など。うんと重い症状ではないけど、ちょっとした体の不調が起き始めたら、自分の生活をいったん見直したほうが良いです。
これまでの「何時に起きて、何時の電車に乗って、何時に会社に行く」といったことが決まっていると、人の生活にはメリハリがつくのですが、リモートワークだと、たしかに生活のリズムがなくなりがちです。
でも、だからこそ「早寝・早起き・三度の飯」を意識するのが良いと思います。
そして「午前中の日に当たる」ほうが良いですね。この背景には脳の生理学として理屈はありますが、そんなことは難しいから「ともかく朝か午前中に日に当たるよう」に心がける。そうすると、ちゃんと昼間は働く体調になって、夜は休むという体になっていきます。これはストレスに対処する意味でも、リモートワークでは意識的に取り入れて欲しいリズムです。
これに加え、先ほど話にあった料理などでの「混ぜる」「グルグル」する楽しみを加えると良いと思います。ストレスの元を断つことはできないかもしれないですけど、良いコーピングになると思いますよ。
撮影/我妻慶一
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