ロボット掃除機は、「床に落とし物があっても避けるだけで、小さなゴミしか吸い取ってくれないんでしょう?」。筆者もそんなイメージを持っていましたが、Roborock(ロボロック)が5月27日に開催した記者発表会「Rock A New ERA」で、折りたたみ式ロボットアーム搭載の「Roborock Saros Z70」を見てからというもの、ロボット掃除機の印象がガラりと変わりました。薄型のロボット掃除機からニョキッとロボットアームが生える光景、なんともロマンがあります。

「Rock A New ERA」では、6月6日発売の新フラッグシップモデル「Saros 10」をはじめ、新たに日本で発売する7製品が紹介され、全11種の最新機種が展示されました。体験ブースで行われた一部製品のデモの様子など、模様をレポートします。
この記事でわかること
「掃除」だけじゃなく「片付け」までお任せ
Saros Z70は、CES 2025でお目見えした製品で「世界初のロボットアームが搭載された量産型ロボット掃除機」です。今回の体験ブースでは、床に落ちているおしぼりタオルを5軸のロボットアーム「OmniGrip」を駆使してなめらかに拾い、少し離れた場所にあるカゴに入れるという動作を披露していました。


ロボット掃除機本来の掃除機能を備えているだけでなく、300g未満の靴下や、小さなタオル、ティッシュペーパー、300g未満のサンダルなどであれば、このように片付けることができます。見ていて危なっかしい雰囲気はなく、終始なめらかな動きでした。日本国内での発売日などはまだわかりませんが、今後の動向が気になる一台です。
「Roborock Saros 10」はRoborock史上最も薄型、なのにパワフル
発表会で最も手厚く紹介されたのが、「Roborock Saros 10(ロボロック サロス イチゼロ)」。特徴をまとめると、「ぶつからない」「隅々までしっかり掃除できる」「お手入れがラク」です。
新製品の説明に立った日本PRマネージャーのアンダーソン勇介氏曰く、「Roborock史上最も薄型のモデルであり、本体の高さがわずか7.98cmの薄型設計に関わらず、あらゆる掃除に対応できるスマートかつパワフルなロボット掃除機」とのこと。ロボット掃除機といえば、「家具にぶつかる危険性がある」「段差を超えられず、限定的な範囲しかキレイにしてくれない」といったイメージを持つ人も少なくないはず。それらの点を、Saros 10はさまざまな技術でクリアしています。

本体が薄いことはもちろんですが、新開発の格納式LDSセンサーと、上方向のToFセンサーの組み合わせによって空間の高さを測定し、狭い場所にも無理なく入り込めるようになっているそう。傾斜した空間もリアルタイムで検知できます。

リビングを模した体験ブースでは、ソファと壁の隙間が狭くなっている部分がありましたが、ボディがぶつかることもなく、すんなりと行き来していました。三重構造の物体を検知するストラクチャードライトとRGBカメラを搭載しており、物体検知の視野が大幅に改善されているとのこと。自動的に本体の前輪を持ち上げることで、最大4cmまでの二層の段差(一層の段差は最大3cmまで)を乗り越えることもできます。

壁際のゴミもかきだすブラシ
ブラシにも特徴があり、「毛の絡まり0%」を謳っています。らせん状で二つに分かれたメインブラシと、弧状デザインの非対称なサイドブラシの「デュアル毛がらみ防止ブラシ」が、髪の毛やペットの毛をスムーズに取り除きます。
サイドブラシは四隅を検知して自動で伸びるので、届きにくい隅のゴミもかき出してくれるのが魅力です。さらに、壁際0.51mm(使用状況などによって異なる場合があります)まで近づいて水拭きを行う「壁キワ用モップ」も搭載しています。

モップの振動エリアは「S8 MaxV Ultra」との比較で26%拡大。最大毎分4000回という高速振動と高加重による水拭きで、液状の汚れから乾いてこびり付いた頑固な汚れまでキレイに磨き上げてくれるといいます。
Roborockアプリを使えば、出先から部屋をキレイにしておいてもらえます。部屋のマッピングデータと掃除の履歴に基づき、ルート、吸引力、水量を自動で調整してくれるのがありがたいですね。リアルタイムのビデオ通話や見守り機能もついているので、外出先からペットの様子を見守ったり、話しかけたりと、ロボット掃除機の枠を超えた使い方もできます。
全自動ドックは充実の「8way」
ゴミ収集、モップの洗浄や乾燥、給水、洗剤の投入、高速充電などをドックが自動で行ってくれるのも魅力。モップの取り外し機能も備わっています。吸引のみのモードで掃除を行う場合、ドックがモップを自動で取り外すので、カーペットなどを濡らすことなく掃除できます。
汚れたモップのお手入れもラクラクです。ドックが、デンプン質や油汚れなどモップについた汚れを判別し、最適な水温で洗浄してくれます。

Roborock Technology
Roborock Saros 10
希望小売価格:28万5780円(税込)
日本市場シェア、2倍に成長。「信頼」に応える製品づくりを
「saros 10」のほか、ワンランク上の先進機能が一台に備わっているミドルモデル「Qrevo C」、日本の住環境に最適化されたコンパクトなエントリーモデル2機種「Q7T+」、「Q7T」も発表されました。

Qrevo C
価格:16万4780円(税込)

同社は今後も、日本市場での製品展開に注力をしていく姿勢を示しています。発表会に登壇した、APACマーケティング責任者のDan Cham(ダン・チャム)氏は、2024年の世界ロボット掃除機市場で出荷台数・売上金額の双方でNo.1を記録したことに触れ、同社が堅調に成長路線を描いていると話しました。

そのうえで、2025年第一四半期の同社の日本市場シェアが2倍に成長した(2024年第一四半期との比較)と説明し、日本の家庭から寄せられた「信頼の証」だと強調しました。複数のシリーズを進化させ、「よりスマートでエレガントな暮らしを支える製品を提供していく」としています。
同社のモデルはエントリーモデルであっても気の利いた機能が搭載され、かなり導入ハードルが下がってきた印象があります。今後メーカー側が、ますます日本の住環境や生活様式に寄り添った製品を投入してくると「一家に一台、ロボット掃除機が当たり前」、なんて時代が来るかもしれないですね。