日本におけるコードレススティッククリーナー(以下、コードレス)のパイオニアでもあるダイソン。2011年にDC35を日本に投入すると、その画期的な掃除スタイルと吸引力はたちまち話題となり、いまや国内メーカーがこぞって開発する一大ジャンルとなっています。そんな業界を牽引するダイソンが、新たに「ダイソンV7」シリーズを5月25日に発売すると発表。新モデルの狙いや既存モデルとの違いなど、気になる点を発表会で聞いてきました。
5割強のシェアをさらに拡大させるための戦略モデル
そもそもダイソンのコードレスはどれだけ売れているのかご存知でしょうか? マーケティングリサーチ会社のGfK Japanによると、国内家電量販店におけるタテ型コードレスの販売数のうち、ダイソン製品が占める割合は2017年4月時点で5割強、金額では60%を超えています。これについて同社日本法人代表取締役の麻野信弘氏は、「コードレススティッククリーナーの市場を創造したのはダイソンである、といっても過言ではありません」と胸を張ります。
現在、日本では約320万世帯がダイソンのコードレスを使っている計算になりますが、「日本の家屋はコードレスが向いているため、いずれクリーナーはすべてコードレスになるのでは」と麻野氏。加えて、「日本の世帯数は約4000万世帯なので、まだまだユーザーが増える余地はあります。今後、7割以上のシェア獲得を目指します」とビジョンを語りました。
しかし、さらなるユーザーを獲得するためには、高い掃除性能だけでなく、購入しやすい価格であることが求められます。そこで今回市場に投入したのが、最上位モデルV8クラスの吸引力や機構を継承しつつ、価格を抑えたV7シリーズです。
最上位モデルV8の機能性を継承しつつ、価格は1万円以上ダウン
ちなみにV8は2016年に登場以来、ダイソン史上もっとも売れ行きがよく、日本をはじめ世界中から高く評価されているハイスペックモデルです。コードレスの手軽さを備えつつ吸引力も抜群、しかも1回の充電で40分(通常モード)も運転可能とまさに至れり尽くせりなV8ですが、それだけに価格は8万2944円~とやや高めなのがネックでした。
今回新たに登場したV7は、V8の高い機能性を備えつつ、価格を7万1064円に抑えたスタンダードモデルという位置づけ。フローリングの大きなゴミや微細なほこりを同時に取り除く「ソフトローラークリーナーヘッド」を採用する「Dyson V7 Fluffy(フラフィ)」と、カーペットに入り込んだゴミやペットの毛をかき出して取り除く「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」を採用する「Dyson V7 Animalpro(アニマルプロ)」の2モデルが用意されています。
V6から運転時間が10分伸び、音は50%カット
V7では、2015年発売のエントリーモデル・V6のモーターをベースにエネルギー効率を改良した「ダイソンデジタルモーターV7」を搭載したことで、メイン機として使える高いゴミ集じん性能を備えつつ、V6では20分だった運転時間がV7では30分まで延長しました。さらに気になる運転音も、V6に比べて約50%低減されています。
さらに、最上位モデルV8の高い機能性も継承。例えば、0.3μmという微細な粒子を本体内に99.97%捕えるという高い空気清浄性が挙げられます。これにより、アレルギーの原因になる微細なホコリやカビ、ダニの死骸などをパワフルに吸い込んだあと、もとの部屋の空気よりもキレイな空気を排出します。
ワンタッチで捨てられるゴミ捨て機構を採用
また、ゴミ捨て機構もV8に搭載しているタイプが採用されています。ダイソンは吸引力が高いため、サイクロン機構下部の網目部分(シュラウド)にゴミが付着してしまうという問題がありましたが、ゴミ捨て機構にゴム製スクレイパーを搭載することでこれに対応。クリアビンを空にする際、スクレイパーがシュラウドのゴミをこそぎ落としてくれるため、付着したゴミやほこりに直接触れることなくワンタッチで捨てることができます。
価格以外のV8との大きな違いとしては、V7の運転時間が30分と10分短い点ですが、一般家庭なら30分あればたいてい掃除を終えることが可能。それで1万円安くなるというのなら、検討の価値は大アリです。いずれにせよ、高い吸引力はそのままに価格が少し下がった本機の登場により、日本のダイソン保有世帯がさらにアップすることは間違いなさそうです。