高級炊飯器・主要5モデル徹底検証 番外編 少量炊飯の味をチェック!
近年は40代以上の独身世帯、子供が独立したシニア世帯など、1~2人世帯が増加。そんな家庭では、5.5合炊きの高級炊飯器を買うか買うまいか、悩ましいところです。多めに炊いて、小分け冷凍・解凍して食べれば電気代も節約でき、時短にもなるのですが、やはり高級炊飯器を買ったら「炊きたて」を食べたいもの。メーカーは、「少量でもおいしく炊飯できる」と言いますが、果たしていつもと同じ仕上がりになるのでしょうか? 少々マニアックですが、この機会に象印、パナソニック、三菱電機、タイガー、日立の5モデルを集め、1合で炊飯。味と食感を3合炊きと比較してみました!
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炊飯器 少量炊き選手権! 検証する機種はコチラ
エントリーその1
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を採用し大火力で炊き上げる
象印
実売価格12万9600円
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を内釜に使用した炊飯器。大きく伸びた羽根で側面ヒーターの熱を釜内に伝え、最大1450Wの大火力と1.5気圧の圧力炊飯でごはんをふっくらモチモチに炊き上げる。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、121通りのなかから好みの食感に近づける機能「わが家炊き」の炊き分け範囲を拡大。従来機種より固めに、よりモチモチに炊けるなど、幅広い食感に炊き分けられる。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:151wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.1Wh●加熱方式:プレミアム対流●内釜:南部鉄器 極め羽釜●サイズ/質量:約W305×H245×D400mm/約11.5kg
エントリーその2
「Wおどり炊き」に「加圧追い炊き」を加え、甘みとモチモチ感がアップ
パナソニック
実売価格9万7980円
IHの通電切り替えで激しい熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、釜内を加圧状態から一気に減圧し激しい対流を生み出す「可変圧力おどり炊き」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。熱と水分を米に均一に行き渡らせ、ふっくらモチモチの銀シャリに炊き上げる。炊飯工程の終盤にさらに加圧して釜内を高温にする「加圧追い炊き」機能を新たに採用し、ごはんの甘みとモチモチ感がさらにアップした。50銘柄の銘柄炊き分け機能を搭載するほか、釜内を高温洗浄できる「お手入れ機能」も新採用。
SPEC●炊飯容量:0.5〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:160wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.4Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W266×H233×D338mm/7.0kg
エントリーその3
発熱効率が高い「本炭釜」と連続沸騰技術でかまど炊きの味を再現
三菱電機
実売価格11万9760円
IHの発熱効率が高い純度99.9%の炭素材を使った「本炭釜」採用モデル。内釜全体の発熱と噴きこぼれのない連続沸騰技術により、粒感のいいふっくらとしたかまど炊きの味を再現する。沸騰力の向上と高断熱構造の強化で火力をさらにアップ。蒸気口に新搭載した密封弁が蒸らし時の蒸気の流出を抑え、潤いたっぷりのごはんに仕上げる。15通りの食感炊き分け機能「炊分け名人」に加え、35銘柄に対応する「銘柄芳潤炊き」機能も持つ。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:162wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.2Wh●加熱方式:7重全面加熱+連続沸騰●内釜:本炭釜●サイズ/質量:W285×H249×D320mm/約5.7kg
エントリーその4
高温で炊き上げて高温で蒸らし、甘みと弾力の強いごはんに仕上げる
タイガー
実売価格7万9800円
内釜に遠赤効果の高い釉薬を塗った土鍋を採用し、さらに本物の土のかまど「遠赤大土かまど」を本体内に装備。土鍋と土かまどの二重発熱構造と可変圧力によって高温で炊き上げ、200℃以上の「高温蒸らし」で、甘みと弾力の強いご飯に仕上げる。しゃっきりからモチモチまで、好みの粘り加減に調整できるほか、土鍋のおこげが味わえる3段階の火加減調節も可能。「押麦メニュー」と「もち麦メニュー」の2種類の麦めしメニューも搭載する。
SPEC●炊飯容量:1.0~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:148wh●保温1時間あたりの消費電力量:18.3Wh●加熱方式:土鍋圧力IH + 可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W265×H233×D309mm/約7.4kg
エントリーその5
内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立
日立
実売価格10万6790円
水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg
炊飯器 少量炊き選手権! 検証内容はコチラ
これまで同様、米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。米1合を標準(ふつう)の食感設定で炊飯し、連載第1回で3合炊きしたときのごはんの味・食感との違いをチェックしました。なお、炊飯モードに「少量炊飯」モードがある機種は、それを使って炊飯しました。
【検証結果はコチラ】
象印
硬めの食感になり、しゃっきり気味の食感に
3合で炊いた前回と同様、通常の約1.5倍の時間をかけて炊飯する「熟成炊き」メニューで炊飯。炊き立ての際のごはんの香りは、1合炊きでも豊かに香っています。ただし、3合で炊いた場合と比べて、多少硬めの食感に。粘り気も控えめになり、口の中でほどけるしゃっきり感が出てきました。同じ「熟成炊き」でも、かなり食感が変わったと感じます。
味に関しては、口の中で甘みの余韻が強く残り、またお米のみずみずしさもわずかに感じられました。
エントリーその2
パナソニック
ふっくら感は減り、しゃっきり感がアップした
本機は10種炊き分け機能の中に「少量」モードを搭載。このモードは銘柄選択をした場合は使えないので、連載第1回、3合炊きのチェックと同様の「銘柄無洗米/食感:おすすめ」モードでなく、通常の「白米・無洗米/少量」モードで炊飯しました。
香りに関しては、炊き立てごはんの香りが豊か。米の持つみずみずしい香りはやや弱くなりました。食感は、3合で炊飯時に比べ、ふっくら感が後退し、口の中でほぐれる感じが強まりました。弾力も、3合を炊いたときと比較するとやや後退。ただ、少し時間が経つと食感が柔らかくなり、もちもち感も少し強まりました。
ごはんの味は、最初は3合で炊いたときより甘みが弱く感じましたが、食べるうちにどんどん甘みがアップ。また、香りの評価では「みずみずしさが後退」と書きましたが、口に入れてみると、甘みの中に米のみずみずしい風味がしっかり感じられました。
ちなみに、本機は、「銘柄無洗米/食感:おすすめ」モードでも1合炊きをしてみました。こちらのほうが食感が柔らかくてもちもち感が強く、甘みが最初から強めに感じられました。一合炊きでもちもち系が食べたいなら銘柄選択&「食感:おすすめ」モード、しゃっきり系が好みなら「少量」モードと使い分けるのがいいでしょう。
エントリーその3
三菱電機
しゃっきり感は増しながら3合で炊いた味に肉薄!
「銘柄芳潤炊き」メニューで「ひとめぼれ」を選び、食感選択で「かたさ:ふつう」「粘り:ふつう」を選んで炊飯。炊き立てのみずみずしく爽やかな香りが楽しめますが、香りの強さはやや控えめになった印象です。
全体のおいしさは、3合で炊いた場合に肉薄していました。食感はしゃっきり硬めで、3合で炊いたときよりさらにほぐれ感がアップ。口に含むとすっきりとした甘みが感じられます。唯一残念だったのは、食感にわずかにばらつきが出たこと。場所によってしゃっきりな部分と、やや粘りのある部分が出てしまっていました。
エントリーその4
タイガー
弾力少なめのごはんにモチっと食感が混じる独特の炊き上がり
「極うま白米」の仕上がり(食感)標準を選択。火加減は3段階のうちの「中」を選びました。全体に3合炊きよりかなり柔らかめ、弾力少なめに炊けており、土鍋の鍋肌と接するおこげになりかけの部分のみ、かなり粘りの強いモチっとした食感になっています。この辺りは、「食感のばらつき」とも捉えられるため、好みが分かれそう。
ごはんの甘みは3合で炊いたときよりやや控えめで、香りもほのかにおこげが香る程度と、味・香りとも抑えられていた印象です。
エントリーその5
日立
「少量」ボタンで3合炊飯とほぼ変わらないおいしさに
本機の特徴は、0.5合〜2合の炊飯に適した「少量」ボタンを搭載していること。3合を炊いたときと同じ「極上ふつう」モードで少量1合を選択して炊飯しました。
炊き立てを食べた第一印象は、「3合炊飯とほとんど味と食感が同じ」だということです。香りは他機種と比べるとやや穏やかですが、炊き立てごはんのいい香りが広がります。食感は柔らかながら、適度な粘りがあり、食べると口の中でほどよくごはんがほどけます。最初は控えめながら、食べ進むうちにどんどん甘くなっていく味わいも前回と同じでした。
炊飯器 少量炊き選手権! 今回の検証のまとめ
少量炊飯用のチューニングを緻密に行った日立が優秀
少量炊飯で、最も3合で炊いたときの味に近かったのは日立。さすがに「1合/2合」と少量炊飯に最適なチューニング機能を搭載しているだけあり、食感・食味ともほぼ同じ炊き上がりでした。また、「少量炊飯」での食感炊き分けができるのもポイント。少ない量のごはんを炊くことが多い家庭では、日立は魅力的だと思います。また三菱電機も、かなり3合炊きに近い食感と味を実現できていました。
一方、同じ「少量」モードで炊いたパナソニックは、通常と比べて食感がかなり硬めになった印象。ただ、今回は少量モードを使うために米の銘柄を選ばず、「白米・無洗米」で炊飯したため、食感が変わったとも考えられます。実際、「銘柄無洗米/食感:おすすめ」で1合炊きにしたほうが、3合で炊いたときに近いと感じました。好みに応じて使い分けるといいでしょう。
ほかの機種は、象印がやや硬めの食感で、タイガーがやや柔らかめの食感に変化。ただし、全体がベチャついたり、炊きムラができたりといった不具合はなく、安心して食べられます。食感設定で象印は柔らかめでもちもちめ寄りに、タイガーはしゃっきりめに炊くなどの調整をすれば、三合炊きの食感に近づけられるでしょう。
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