本稿は、電気シェーバーの主要3メーカー(ブラウン、パナソニック、フィリップス)の高級モデルを比較する連載(全3回)の最終回。第1回では、「シェービングの速さ」「深剃り」「肌への負担」を検証し、第2回では「操作性」「メンテナンス性」「付加機能」を比較検証してきました。今回はそれらの検証結果を踏まえ、各モデルがどんなユーザーにピッタリなのかを考えていきたいと思います。
電気シェーバー6項目徹底比較 テストする機種はコチラ
エントリーその1
人工知能と多彩なカットシステムであらゆるヒゲを逃さず剃る!
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ブラウン
実売価格3万3700円
人工知能がヒゲの濃さを読み取り、自動でパワーを調整するモデル。5種類の独自のカットシステムが寝たヒゲやくせヒゲなど様々なタイプのヒゲを捕らえて剃り切ります。毎分1万回の音波振動でヒゲを外刃に取り込みやすくし、肌にやさしい深剃りが可能。お風呂剃りに対応し、使用後は水道で丸洗いもできます。
SPEC●刃の枚数:4枚刃●駆動方式:往復式●充電時間:60分●連続稼働時間:約50分●サイズ/質量(本体):約W66×H168×D44mm/約210g
エントリーその2
肌への密着度が増し、肌にやさしい深剃りができる5枚刃モデル
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パナソニック
実売価格4万5772円
肌への密着度が増したヘッドで剃り残しを防ぐ5枚刃モデル。従来型ヘッドの前後・左右・上下の動きに、ツイストと前後スライドの動きを加え、アゴ下の密着度が約10%アップしました。くし状の突起でヒゲの下に潜り込みやすいスリット刃も進化し、長い寝たヒゲの除去率が従来比約200%に向上。また、グリップを持つと自動でロック解除し、手を離すと約60秒後に自動でロックされる機能を搭載し、誤作動を防止します。
SPEC●刃の枚数:5枚刃●駆動方式:往復式(リニアモーター駆動)●充電時間:60分●連続稼働時間:約42分(1日1回約3分間の使用で約14日間使用可)●サイズ/質量(本体):W72×H167×D59mm/約215g
エントリーその3
肌にやさしい深剃りにこだわり、他機種の約5分の1の力でシェービング
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フィリップス
Shaver series 9000 ウェット&ドライ電気シェーバー S9731/33
実売価格4万5155円
一般的な電気シェーバーの最上位機種と比べ、約5分の1の力で肌にやさしい深剃りができる機種。8方向に動く輪郭検知ヘッドで顔や首のあらゆる凹凸に密着し、滑らかな深剃りを実現します。外刃のスリット形状と内刃の形状をV字型にした「ダブルVトラック刃」を採用し、より少ないストロークで最大深剃り30%アップを実現。モーター駆動のスピードは好みに合わせて3段階から選べる。
SPEC●刃の枚数:3枚刃●駆動方式:回転式●充電時間:60分●連続稼働時間:約60分(1日1回約3分間の使用で約20日間使用可)●サイズ/質量(本体):W59×H164×D70mm/約169g
電気シェーバー6項目徹底比較 検証のまとめ
電気シェーバーで誰もが第一にチェックする項目はシェービングの性能。前回までのテストではそれを「シェービングの速さ」「深剃り」「肌への負担」の3項目に分けて検証しました。今回はその結果をもとに、各モデルを選ぶべきユーザーのタイプを考えていきたいと思います。
また、切れ味維持に重要な役割を果たすシェーバーの「メンテナンス性」に関しては、どの機種も高い清浄能力を持っていた一方、ランニングコストや手洗いをする場合の快適性に差が出ました。そこでメンテナンスについても、各モデルとユーザーの相性を考えていきます。
さらに、毎日使い続けるうえで重要な要素である「操作性」と、利用シーンが広がる「付加機能」の種類も、改めて整理していきましょう。
電気シェーバー6項目徹底比較 シェービング性能編(シェービングの速さ/深剃り/肌への負担)
「シェービング」に関しては、今回テストした3機種はどれもトップクラスの性能を誇っています。それを前提としたうえで、より厳密に各モデルとユーザーの相性を考えていきます。
とにかく深剃りしたいならパナソニック
まず肌に負担をかけずに高い深剃り性能を求めるなら、パナソニックがオススメ。同機は3種5枚の外刃であらゆるタイプのヒゲを捕らえられ、毎分1万4000ストロークの高速駆動で濃いヒゲもスパッと剃り切るうえ、「5Dアクティブサスペンション」であらゆる形状の肌にピタッと密着。肌への摩擦抵抗を抑えたシェーピングができます。
実際のところ、他機種でシェービングしたあとに本機を使うと、「チリチリ」とヒゲが剃れる音がしました。本機の使用後に他機種を使った場合も、音がする箇所はありましたが、本機を後に使ったときの方が「チリチリ」と音がする頻度が高かったです。
また、同機はシェービングの速さも秀逸。3機種の中でも最もバランスの取れた機種だと言えます。ただし、お風呂剃りには非対応。その意味では、シェービングフォームなどは使わず、ヒゲ剃りをさっさと済ませたい人に最適です。
肌にやさしい速剃りを求めるならフィリップス
一方、深剃りはある程度のレベルでいいのでとにかく手早くシェービングを済ませたい人はフィリップスが最適。可動域が広い3つの丸型ヘッドが独立して動くことで、顔のあらゆる部分で肌の広い面積に接触。ヘッドを円を描くように動かしてシェービングすることで、外刃の「くの字」スリットにあらゆる角度からヒゲを導きカットします。
また、敏感肌の人など、最も肌にやさしいシェーバーを探している人もフィリップスがオススメとなります。お風呂剃りやフォーム、ジェルを使ったシェービングにも対応し、「深剃り」以外はどれもトップクラスの性能を示しています。
深剃り&お風呂剃りならブラウンがオススメ
深剃りでなおかつお風呂剃りやシェービングフォームを使ったヒゲ剃りを希望するならブラウンがオススメ。様々なヒゲに特化した5種類のカットシステムを搭載。毎分1万回の音波振動で普段皮膚の下に隠れたヒゲまで引き出してカットします。また、クッション性の高い4個の外刃がそれぞれ独立して可動し、顔の曲面に追随。また、本機は運転中の振動(運転音)は3機種中最も大きかったですが、振動によって網刃がよりヒゲを捕らえやすくなっている印象がありました。肌への負担はパナソニックと同レベルというイメージです。
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電気シェーバー6項目徹底比較 メンテナンス編
メンテナンスの手間に関しては、洗浄充電器を使う場合は、各モデルともシェーバーをセットして洗浄ボタンを押せば終了。ほかに必要なのは定期的な洗浄液(カートリッジ)の交換だけです。洗浄機能についても3機種とも遜色ない性能を見せました。違いが出てくるのがランニングコストです。
「週1でいい」なら洗浄コストが最も安いのはフィリップス
まず、最もコストが安く、かつ洗浄液カートリッジの交換も少なくて済むのはフィリップス。週に1度洗浄した場合のコストは年間3000円で、カートリッジの交換も3か月に1回で済みます。ただし、この数字はメーカーが推奨する「週に1度の使用」という前提があってのもの。これを他機種の洗浄充電器と同じ1日1回の使用で計算し直すと、年間ランニングコストが約7倍=約2万1000円となり、交換頻度が約13日に1回になります。メーカーも推奨しない毎日の洗浄は必要ないかもしれませんが、「週に1度」という洗浄頻度は、毎日清潔な状態でシェービングしたい人には物足りないかもしれません。
コストを抑えて毎日洗浄したいならパナソニック
シェーバーを毎日洗浄したい人で、洗浄のランニングコストを安く抑えたいなら、パナソニック・ラムダッシュES-LV9CXがオススメです。年間ランニングコストは約3200円。同機はカートリッジ交換式でなく、専用カップに水道水と洗浄剤を混ぜ入れて使うタイプで、洗浄液の交換目安は1か月に1回です。
高い除菌率にこだわるならアルコール洗浄採用のブラウン
毎日洗浄して、除菌にもこだわりたい人は、アルコール洗浄システムを採用し、除菌率99.9%のブラウンが最適。毎日使った場合、洗浄液カートリッジは3週間に1度の交換が目安で、ランニングコストは年間8660円程度になります。ちなみに、2日に1度の洗浄なら年間4330円になり、パナソニックにだいぶ近づきます(洗浄液のアルコールが気化する関係で、2か月以上の使用は推奨されていません)。
ヘッドを駆動させる手軽な洗浄を望むならパナソニックかブラウン
一方、洗浄のランニングコストを限りなくゼロに近づけるならヘッドを水洗いするという選択になります。この場合のオススメはパナソニック。「音波洗浄モード」を搭載し、市販のハンドソープを使って汚れを落とせます。また、同機の洗浄充電器には「乾燥+充電コース」が搭載されているので、洗浄のみ自分で行い、乾燥と充電は機械任せ、という使い方もできます。またブラウンも、ヘッドに液体洗剤やハンドソープをつけてスイッチを入れながら洗浄&水洗いが可能です。
一方フィリップスは、シェーバーを駆動させながらヘッドの水洗いはできません。同機の洗浄充電器はジェルやフォームの洗浄力が高いので、特にシェービングフォームやシェービングジェルを使う人は、通常は水洗いでケアし、週に1〜2回は洗浄充電器でしっかり汚れ除去するのがオススメです。
替刃のコストが最も安いのはフィリップス
ちなみに、替刃のコストがもっとも安いのは、交換目安が約2年で替刃の実売価格が5770円のフィリップス。次いで、網刃と内刃の交換目安が約18か月で、替刃の実売価格9980円のブラウン(2年に換算した場合は1万3306円)。最も高いのは、外刃(交換目安は約1年)の実売価格6804円、内刃(交換目安約2年)の実売価格は2916円パナソニックとなります(2年換算で1万6524円)。
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電気シェーバー6項目徹底比較 操作性編
操作性に関しては、毎日の使用感にも関わる重要項目。使い始めて「こんなはずでは……」とならないよう、ぜひチェックしておきたいところです。
ホールド感の高さで選ぶならパナかフィリップス
ブラウンは、他の2機種、特にフィリップスと比べると手に持ったときの重量感があり、デザインも無骨で、どちらかというと手が大きな欧米の人向けのサイズ感かなと感じました。ただ、シェービングしながら親指操作でヘッドの固定/解除ができるのは便利です。
パナソニックは、重さはブラウンと同等で、サイズ感はブラウンよりやや細め。ただ、手に持つとホールド感の高いデザインで、ヘッドに重心があることもあり、ブラウンより操作感が軽く感じられました。親指が当たる部分にラバー素材を使うなど、きめ細かなデザインの配慮も伺えます。
フィリップスは3機種の中で最も軽く、グリップも細身。手で持ったときにホールド感のあるデザインで、手が小さめな筆者は、最もスムーズにシェービングが行えました。このモデルのみ、ヘッドを固定する機能が付いていなかったので、鼻の下などを剃りにくく感じる人もいるかもしれません。
いずれにしても、手に持ったときの感触は個人差が大きいので、機会があれば、購入前に量販店などで1度手に取ってみることをオススメします。
バッテリー重視なら長持ち&表示が細かいフィリップス
充電に関しては、3機種とも1時間で充電が終了。万一バッテリーがなくなっていても数分で1回シェービングできるのも助かります。洗浄充電器を使った充電はどれも充電器にセットするだけと手間いらず。バッテリーの持ちは、1日3分の使用でフィリップスが約20日、ブラウンが約17日、パナソニックが約14日持ちます。シェービング後毎回洗浄・乾燥・充電する人にはあまり関係ないスペックですが、長期出張が多い人は、覚えておいてもいいかもしれません。
またバッテリー残高表示は、ブラウンが5段階表示、パナソニックは0〜100%を10%単位で表示、フィリップスが0~100%を1%単位で表示します。これも常に洗浄充電器を使う人にはあまり問題にならない差ですが、手洗い派で、使用中にバッテリーがなくなってしまわないか気になる人は、表示が細かく変わるモデルのほうが安心できるでしょう。
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電気シェーバー6項目徹底比較 付加機能編
ブラウンはキワ剃りしやすく、フィリップスは洗顔用アタッチメントが付属
追加機能も購入条件としての優先順位は低いとはいえ、知っておいて損はない情報です。付加機能で差が出たのはキワ剃り刃とお風呂剃り対応。ブラウンとパナソニックがキワ剃り刃を内蔵しています。使いやすさでは、キワ剃りしながら刃の先端が見やすいブラウンのほうが優秀でした。
フィリップスは、キワ剃り刃は内蔵していませんが、アタッチメントでヒゲスタイラー(ヒゲトリマー)と洗顔ブラシヘッドが付いています。ヒゲスタイラーはヒゲの長さを5段階で揃えられ、洗顔ブラシヘッドは極細毛で毛穴に詰まった皮脂や角質をやさしく除去できます。シェービングだけでなく、フェイスケア全体への興味を喚起するフィリップスの独自の戦略が伺えます。
一方お風呂剃りについては、「シェービング性能」の項でも触れましたが、ブラウンとフィリップスが対応し、パナソニックが非対応。パナソニックはお風呂剃り対応の3枚刃ラムダッシュも発売していますが、残念ながら、極上の剃り味が味わえる5枚刃はお風呂剃りモデルは発売されていません。朝シャワーを浴びるときにヒゲも剃りたいという人も多い昨今、お風呂剃り対応の5枚刃ラムダッシュの登場が待たれるところです。
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高級電気シェーバー3モデルの検証企画は以上で終了。どの機種もシェーバーとしての実力は折り紙つきながら、細かく見ていくと様々な“違い”があることがわかりました。本稿を参考に、自分の肌質やシェービングの好み、お手入れスタイルに合った1台を選んでください!
【関連リンク】
3モデルの剃り味を比較した第1回はコチラ
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