家電
2018/6/14 20:30

W杯のトロフィー…じゃないよ! デロンギより「日本リスペクト」な1台3役「空気清浄機能付きファン」

これ、何だと思いますか? 開発・販売元は、エスプレッソマシンやオイルヒーターで知られるイタリアの家電ブランド、デロンギ。グリップの効いたトロフィーのようにも、オシャレなBluetoothスピーカーのようにも、ビールサーバーのようにも見えますね。正解は「空気清浄機能付きファン」。いわゆるタワー型のファンで、温風・涼風・空気清浄機能を搭載した1台3役のアイテムです。実売価格は6万4670円。

 

身体を包み込むような風を心地よく感じる点に着目

この空気清浄機能付きファン HFX85W14Cの面白いところは、正面から見ると中央よりやや下の方でくびれているのに、横から見ると、背面・前面がストンと一直線状の円筒形になっていること。この不思議なデザインにこそ、HFX85W14Cの秘密が隠されているのです。

↑HFX85W14Cを横から見ると、くびれがありません

 

自然の風は気持ち良いのに、エアコンや扇風機の風が直接肌に当たると、不快に感じるという人は少なくありません。それは一体なぜなのか、同社による調査と研究の結果、送風機の前から一方的にやってくる直線的な風ほど人を不快にし、身体全体を包み込むようにそよいでくる風は心地よく感じることがわかりました。これを踏まえて、日本とイタリアのチームが共同開発を行い、風が前面から広がりながら出てくる独自の機構「3Dコンフォート・エア テクノロジー」を開発。コンフォート(comfort)とはもちろん、快適という意味です。

 

風を滑らかな曲線に沿わせて立体的な風を生む

その仕組みですが、まず、上部の吸気口から吸いこんだ空気をフィルターでキレイにし、本体内で前面から後方に向けて送風。背面にぶつけることでファンによって生じる風の渦を取ります。背面パネルに当たった風は、左右のスリットから本体の丸みに沿って前面に押し出されます。

↑新開発した送風のメカニズムを解説する同社 マーケティング部 PMグループの西岡祐子さん

 

風は滑らかな曲面があると、その曲面に沿って流れていく性質を持っています。これをコアンダ効果といい、この性質を利用することで、本機は広い範囲にふわっと拡散する柔らかい風を実現しています。正面から見たときだけ本体がくびれているデザインは、風をこの曲線に沿わせて、より立体的な風を生むためのもの。つまり、風の通り道となるフォルムなのです。なお、本機は1400Wの高出力ヒーターも搭載し、寒い冬には温風を心地よく届けられるのもメリット。温風は10~28℃の範囲で1℃刻みで設定可能です。

↑従来の直線的な風(左)で身体の一部にばかり風が当たると、そこだけ体感温度が下がることで身体に温度ムラが発生し、不快感につながります

 

吸気部には有害物質を除去できるフィルターを搭載

風が清潔であることも、風を快適に感じるうえで重要なポイントです。HFX85W14Cには、上部の吸気部に0.1μmまでの微細な物質まで捕らえるフィルターを搭載。PM2.5や花粉、カビ、バクテリア、アレル物質、排気ガスなど、人体の呼吸器系や循環器系に入り込む有害物質を99%除去できるとしています。本機の空気清浄能力は、9畳を30分で浄化というのが目安。その能力からすると、リビングで部屋全体に風を行き渡らせるというよりは、ソファなどの近くに設置して、「人のいる場所だけ快適にできれば良い」という発想で作られているといえます。

↑フィルターは上部のフタを開けて取っ手を引っ張ると取り出せます

 

↑フィルターを取り出したところ。フィルターは税抜4980円前後で販売します

 

本体には電源ボタンのみで、操作は付属のリモコンがメイン

本体には電源ボタンしか装備されておらず、操作は基本的に付属のリモコンから行います。電源のON/OFFはもちろん、設定時間後にON、もしくはOFFできるタイマーや、首振り、節電モードなども操作できます。節電モードは温風運転のとき、設定温度より少しだけ低い温度で長時間効率よく運転するもので、15~20%の省電力になります。

↑付属のリモコンは本体上部にセットできます

 

↑リモコンを手に持ったところ。タイマーや首振り、節電モードなどが操作可能

 

世界に先駆けて日本で発売した理由とは?

HFX85W14Cは全世界で日本が最初の販売地域になります。これは、春の風を200通りもの表現で呼び分ける日本人の風に対する繊細さに着目し、その日本人に評価されることで、ワールドワイドでも高い評価を得る商品になるとの考えからです。

↑デロンギ・ジャパン 代表取締役社長の杉本敦男氏。背後には、日本人が使う風の呼称を表示

 

日本とイタリアで共同開発するに当たって、イタリア人のエンジニアに日本人の感性を理解してもらうのに大変苦労したそうです。時には「なんでそんなことを気にするんだ!」と議論が紛糾したこともあったそう。また、コアンダ効果を取り入れた本体デザインを実現するうえでは、「一枚の板から成型することにこだわった」とのこと。試行錯誤を繰り返し、プロトタイプは10種類以上作ったそうです。

 

こうして完成にこぎつけた本機は、心地よい送風、空気清浄能力、ヒーターという一台3役の機能性に加え、訪問客が必ず目を留めるであろうスタイリッシュなデザインを実現しました。外見はイタリアンながら、中身には日本人の繊細な感性が生きたこの一台。夏ボーナスを投入するターゲットのひとつとして、ぜひ注目してみてください。

デロンギ

空気清浄機能付きファン HFX85W14C

●発売日:6月8日●実売価格:6万4670円●外形寸法/質量:W270×D270×H850mm/約7.2kg●風量調節/涼風1(弱)~10(強)/温風1(弱)~6(強)●運転音/涼風19.5(風量1)~49(風量10)dB/温風34.5(風量1)~38.8(風量6)dB●空気清浄能力/9畳(30分)●フィルター交換目安/9カ月(1日8時間使用)●モーター/DCブラシレスモーター●コード長/1.75m●転倒時自動電源遮断装置/搭載