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2019/7/17 21:30

パパママ永遠のお悩みを解決!? 子どもの歯磨きのために作られた「毛先から音楽が聴こえる歯ブラシ」

小さなお子さんのいるご家庭では「嫌がる子どもに歯磨きを教えることに苦戦している」という親御さんも多いのではないでしょうか。京セラとソニー、ライオンの3社は小さな子どもが楽しみながら、おとなしく歯をみがくようになるという魔法のような歯ブラシ「Possi(ポッシ)」を商品化を発表しました。

 

↑歯に当てると音楽が聴こえてくる電動歯ブラシ「ポッシ」

 

ポッシは子ども向けに開発された電動歯ブラシです。特徴は歯ブラシの先端部分(ヘッド)に「圧電セラミック素子」と呼ばれる振動するパーツが埋め込まれていて、ブラシが子どもの歯に当たると振動が伝わって音が聴こえてくるというユニークな機能です。商品の企画を京セラが立ち上げて、ソニーが社内外のスタートアップを支援するプログラムに合流する形で企画を練り上げ、7月3日に京セラの新商品として発表されました。

↑ポッシの本体構成はとてもシンプルです

 

↑毛先のヘッドの部分に京セラが開発した圧電セラミック素子が搭載されていて、本体に内蔵するデジタルアンプでこれを駆動します

 

圧電セラミック素子は電圧をかけると細かく伸び縮みして、その振動で音声を伝えることができる電子部品です。医療機器にイヤホンやヘッドホンなどのオーディオ機器、自動車など生活に身近な機器に広く使われていますが、これを歯ブラシのヘッドに搭載して音を鳴らすことを目的とした商品は前例がないかもしれません。

 

7月3日に開催されたポッシの記者発表会には、商品のアイデアを生んだ京セラの稲垣氏が参加しました。稲垣氏は自身が3人の子どもを持つ父親であり、「同じ悩みを持つお父さん、お母さんにポッシを届けて、歯を磨く習慣を学ぶところから少しでも子育に力添えできたら嬉しい」と話しています。商品開発の途中段階で、稲垣氏は自分の子どもに何度もポッシのプロトタイプを試してもらったところ「歯磨きがとても好きになってくれた」と成果をアピールしました。

 

なお“Possi”という名称は動物の“しっぽ”にデザインを似せたことと、英語のPossible(できる)という単語に意味を重ねて名付けられたそうです。

↑ソニーのクリエイティブセンターがデザインした、しっぽのような可愛らしいデザインが特徴です

 

京セラとソニーには歯ブラシを商品化した経験がなかったため、両社のプロジェクトにオーラルケア製品のエキスパートであるライオンが加わって、3社のコラボレーションによりポッシが完成を迎えました。

↑ポッシの開発に関わった京セラの稲垣智裕氏(中央)、ライオンの萩森敬一氏(左)、ソニーの宮崎雅氏(右)

 

ライオンから記者発表会に出席した萩森氏は「ポッシのコンセプトが魅力的だったことと、ライオンとしてこのプロジェクトの中でチャレンジできることが沢山あった」と振り返りました。萩森氏は「ポッシは歯ブラシとして高い信頼性と、優れた清掃性能を両立させている」と太鼓判を押しています。

 

記者発表会にはポッシの動作が確認できるプロトタイプと、完成バージョンに近いモックアップが出展されていました。たぬきのシッポのような可愛らしいデザインの電動歯ブラシは、グリップの部分がやや太めですが、丸みのある形状が手の中に心地よく収まります。電源となる単5形アルカリ乾電池を2本入れてもあまり重くはありません。グリップの先端に振動素子を搭載するヘッドを装着する仕様となっていて、商品パッケージには3本の交換ブラシが付いてきます。

↑ポッシのプロトタイプ。本体は軽くて持ちやすかったです

 

↑コンパクトなヘッドに振動素子が内蔵されています

 

↑アタッチメントを交換して磨耗してきたブラシを変えることができます

 

ポッシで子どもの好きな音楽が手軽に鳴らすためには、ポッシのグリップに設けられた3.5mmアナログ音声入力にオーディオケーブルを装着して、有線でスマホやポータブルオーディオプレーヤーに接続します。Bluetoothなどによる無線接続に対応していないため、ブラッシングをコーチしたり歯ミガキの成果を記録する専用のスマホアプリなどもありません。京セラの稲垣氏は「様々な音楽プレーヤー機器に接続して簡単に使えることを優先したシンプルな仕様にした」と説明しています。

↑ボトムにオーディオ入力端子があります

 

歯ブラシの先端を紙コップに当てて、振動が生み出す音がどれほどのものかデモンストレーションも体験できました。筆者が感じた限りではかなり小音量のように思えましたが、子どもの骨格は小さな音でも響きやすいことを考慮して小音量に止めているという説明は納得できます。ただ出荷時までにはもう少し音量は出せるようになるそうです。

 

プロトタイプに触ったところグリップ感は安定していて、本体は想像していたよりも軽くて持ちやすく感じました。ただ洗面所など水場で使うこともあり得る製品なので、本体に防滴性能は持たせてほしかったと思います。

 

ポッシは、ソニーが運営するベンチャー企業による製品やサービスの立ち上げを支援するクラウドファンディングサイト「First Flight」で、開発のための支援を集める活動から商品化の歩みをスタートします。7月3日には京セラによる新規プロジェクトとしてポッシのページがサイトに公開されました。支援者から集まった支援金が目標金額である2000万円を越えれば、めでたくポッシの商品化が決まります。

 

ポッシを買って、使ってみたいという方はFirst Flightの“支援者”として登録して、ポッシの商品価格の支払い手続きを済ませると、商品の発売日にいち早く受け取ることができます。ポップ/アクア/ピュアの3色カラーバリエーションを用意、それぞれ実売価格は1万7500円になりますが、各色先着100台が「お買い得プラン」として1万4800円で購入できることも支援者の特典です。歯磨きが嫌いな子どもたちを笑顔に変える歯ブラシが無事に商品化を迎えられるのでしょうか? 走り出したプロジェクトに要注目です。