元温泉施設に補助事業を導入してエネルギー消費を削減
郡南部の東吾妻町では、役場庁舎・コンベンションホール、町民体育館、東吾妻中学校体育館の3か所に同時に導入しました。このうち、筆者は役場庁舎を視察。同庁舎は1996年に町営の温泉施設として完成したものですが、赤字経営が続いていたことと、もとの町役場の老朽化が進んで建て替えの時期がきていたことが重なり、温泉施設を廃して町役場として2018年に改装したものです。温泉施設の名残である畳の大広間はそのまま残し、非常用電源も用意するなど、災害時の避難所としての機能を備えていました。
ここに国の補助事業を導入することで、さらに太陽光発電と蓄電池、GHP空調・発電を加え、LED照明に入れ替えました。これにより、平時での省エネ化、非常時でのエネルギー分散によるリスク軽減および、長時間の停電にも耐えられる体制を整えたのです。
↑東吾妻町では3施設を防災リニューアルした。3施設で年間合計300万円のエネルギーコスト削減、CO2排出量は年間181tのCO2の削減を目指す
嬬恋中学校では非常用コンセントを新たに装備
郡西部の嬬恋(つまごい)村では嬬恋中学校と東部こども園が避難所として機能しており、この2か所が防災対策リニューアルの対象となりました。嬬恋中学校は村で唯一の中学校で、嬬恋村の中央に位置し、国道沿いの分かりやすい立地にあるため、嬬恋村にある9300軒強の別荘利用者の避難先としても活用されます。
今回のリニューアル工事では、既存の太陽光発電システムを最新の高効率タイプに入れ替えるとともに、蓄電池の新規導入、校舎内と体育館の照明のLED化、システム天井の断熱化を実施しました。既存の太陽光発電は平常時昼間の照明用に使われており、非常時を想定したものではなかったため、非常用コンセントも装備されていませんでした。そのため、2019年の台風19号で避難指示が出された際には、スマホの充電等ができずに不便を強いられたのとのこと。今回のリニューアルにより、非常用コンセントは校舎の各フロアに1つずつ、および体育館に設置して非常時に備えています。