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2021/9/16 18:15

肉が舌でほぐれるとは…! 1万円台で「電気圧力鍋の3要素」を満たすシロカ「おうちシェフPRO」試食会

二年もの歳月をかけて減圧の制御機能を開発

減圧のコントロールは時間の短縮だけでなく、吹きこぼれの防止や具材の煮崩れ防止にも役立っています。加圧が終わった段階で圧力弁を一気に開放すると、気圧差が大きくなるため、炭酸水が噴き出すような勢いで蒸気が抜けてしまうので、とても危険です。鍋の中も圧力の急激な変化で具材がべちゃっと潰れて煮崩れしてしまいます。

 

このため、本機は少しだけ圧力を抜いてしばらく休止、また圧力を抜いて休止と、一定の圧力になるまで吹きこぼれないタイミングでゆっくりと抜いていきます。やがて、具材が煮崩れを起こさない圧力まできたら、一気に減圧していきます。

↑自動減圧により、野菜が煮崩れしにくくなります。左は減圧に失敗して煮崩れしてしまった例。右は減圧をコントロールしてキレイに仕上がった例

 

この減圧の制御は開発段階でとても苦労したポイントだそう。何度も繰り返し検証し、完成段階まで作り込むのに、およそ二年かかったとか。この機能が完成したからこそ、おうちシェフPROは製品化できたといえるのです。

↑おうちシェフPROの初期試作品。初期の段階から圧力調整弁を覆う蒸気ふたの左右には、まだ圧力表示ピンや手動排気ボタンがありません。取っ手などは後から変更が加えられたこともわかります

 

↑試作機の蒸気ふたを外したところ。この段階の圧力調整弁のデザインは従来モデルのもの

 

↑おうちシェフPROの圧力調整弁。弁のデザインが少し変化しているのが分かります。弁の左の白いボタンが圧力表示ピン、右のブラウンのボタンが手動排気ボタンです。現在は圧力表示ピンが下がっていて減圧(無加圧)の状態です。加圧中はピンがせり上がります

 

↑完成品の蒸気ふた(内側)。圧力調整弁から内部の蒸気が排出され、蒸気はこの蒸気ふたに当たって勢いが抑えられる仕組みです

 

↑蒸気ふたを分解したところ。蒸気ふたも改良が重ねられ、付け外しやパーツごとの分解がしやすくなっています。もちろん、すべて水洗いでき、お手入れもカンタン

 

食べたい時間においしく仕上げる予約調理が便利

おうちシェフPROの魅力は、スマートプレッシャー技術だけではありません。特に注目したいのが、出来上がり時間を設定して食材を入れておけば、食べたい時間に調理をおいしく仕上げる「予約調理」機能です。

 

こちらも予約プログラムの調整には試行錯誤を重ねたそうです。単にできあがりから逆算してタイマーで調理をスタートするだけでなく、仕上がりがおいしくなるよう下準備を自動で行います。具体的には、予約すると直後に食材に火を通し、細菌が繁殖しづらい温度帯で適温をキープします。

 

食材によってもっとも傷みにくい温度になるようレシピごとにプログラムされており、たとえば鶏肉を使うレシピでは保存時の温度が少し高めにするといった微調整を施します。予約調理を使えば、食材を入れてできあがり時間を指定するだけで、あとは「ほったらかし」で料理ができあがるわけですね。

↑予約プログラムは調理前の食材の保存だけでなく、調理が終わったあとの保温も、細菌の繁殖しやすい温度帯を避けるようになっています

 

このほか、おうちシェフPROは、マニュアルで温度調整も可能。低温調理の温度をレシピより低い温度で作ってみたり、煮物やスープを熱々の仕上がりにしてみたり、あるいはお肉の厚みやお魚の大きさに応じて加熱時間を加減したり、調味料の量を変えてみたり……と、いろいろと研究する楽しみもありそうです。

 

電気圧力鍋で作る「おいしい」とは何か? から始まった

新モデルは安全面も強化を図っています。圧力調理を行うときは、圧力調整弁のロックがきちんと密封状態になっていないと、スタートできない仕様になっています。

↑この状態では圧力調理はスタートできません。ロックはふたを閉じた後、ふたを反時計回りに回して、カチッと音がして鍵のマークと合わさればOK

 

こうして見てみると、おうちシェフPROには、多くの技術が注ぎ込まれた印象を受けますね。シロカでは既に発売中の人気トースター「すばやき」にも共通する「おいしさを科学的に引き出そう」という思想が、開発の根底にあります。

 

新モデルを開発するに当たり、そもそも「電気圧力鍋で作る『おいしい』って何だろう」という自問からスタートし、「食材の柔らかさ」「味の染み込み」「豊富な栄養素」の3つの要素を満たすことだと結論を出しました。電気圧力鍋でこれらを引き出すにはどんな工夫ができるか考えるうちに、高圧力と自動減圧に行き着いたのだそうです。「●●とは何か」から突き詰めて考えていくあたり、まるで哲学者のようですね。

↑おいしさを科学的に引き出す開発に取り組んだ、企画担当の峯村さん(左)と開発担当の佐藤さん(右)

 

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