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2022/8/10 19:30

アイリスの「ポータブルクーラー」を使い倒して判明! 持ち運び可能なエアコンはこう使うべし

猛暑、酷暑と言われるようになって久しい、日本の夏。陽が落ちると涼しくなっていた昭和中頃と違い、エアコンが生活、もっと言えば生きることに必要不可欠になった。しかし、部屋や場所によっては設置できない場合がある。筆者が原稿を書いている仕事部屋もそのひとつ。賃貸マンションのため、共有スペースの通路には室外機を置けないのだ。なので、猛暑な近頃はエアコンがある他の部屋に移動してコソコソと原稿書きに勤しむのが恒例になっている。

 

そんな筆者が気になっていたのがポータブルクーラー。アイリスオーヤマが今年4月に発売したばかりの「ポータブルクーラーIPA-2203G」のレビューを任せられることになったので、使い倒してみた様子をお届けしたい。

↑アイリスオーヤマ「ポータブルクーラーIPA-2203G」●実売価格7万3180円(税込)●サイズ:高さ700×幅286×奥行き320mm ●質量:22kg ●冷風適用畳数:4.5〜7畳 ●消費電力:755/870W

 

8時間の使用でも電気代は約176円

さっそく届いた製品を開梱すると、大型の空気清浄機を思わせる佇まいで、白を基調としたデザインはどんな部屋にもマッチするシンプルなもの。消費電力は755/870Wとコーヒーメーカーや電気ストーブ、ハロゲンヒーター、乾燥機付き洗濯機と同等のもので、電気代は現在のレート(27円/kWh)で換算すると1時間の使用で約22円となる。部屋で仕事をする時間を8時間と考えれば176円の計算となり、セブン・イレブンのコーヒー(L)を買うのと同じくらいの出費になる計算だ。

 

本機を簡単に説明すると、本体前面の吹き出し口から涼しい空気を送り出し、後部の排出口から熱を含んだ空気を逃す仕組みだ。エアコンの室内機と室外機を一つのボディにまとめた、オールインワンスタイルと言える。熱の排出には、付属の143mmの蛇腹式排気ダクトに接続。付属する専用の窓パネルセットを使って窓にダクトを取り付けられる。

 

設置自体は簡単で、窓パネルを窓枠に設置して、排気ダクトを接続すれば完了。今回、筆者の家では家具配置の関係で窓枠パネルを設置することはできなかったが、アイリスオーヤマの公式動画を見ながら作業すればラクに作業ができるだろう。

筆者と同様に窓枠に設置しない場合でも、ポータブル式なので排出される熱気を逃がすことができれば、部屋間を移動して使用することができる。ただし、後述するが排熱する場所には注意が必要だ。

 

熱気がこもりやすいホームジムに置いてみた

手始めに、コロナ禍での体力不足を解消するためにホームジム化をしたリビングで、本機を試してみた。リモコンが同梱されているので、ダンベル運動の最中に本体に近寄る面倒がなく、手元で操作できるのはありがたい。

↑リビングの一角に作ったホームジムがヒンヤリ

 

↑排気ダクトを隣の部屋に伸ばし排熱した

 

↑操作パネルには電源、温度調整、風量調整(弱/中/強/自動)、モード切り替え(冷風/除湿/送風)、おやすみ運転の各ボタン、温度設定とタイマーの表示窓が設けられている。操作は簡単で直感的に扱える親切な設計

 

本体と電源を接続し、設定温度を25℃にしてスイッチをON。本体前面にある吹き出し口から、タイムラグなく涼しい風が吹き出して来る。風の温度を図ってみると設定温度通りとなり、部屋の温度がグングンと下がってくるのが分かる。

↑設定温度ぴったりの冷風が出ている

 

↑普通のエアコンとは違い、トレーニングをするベンチの真横に置けるため、ダイレクトに涼しさが味わえるのが大きな利点だ

 

風向きはルーバーを装備した送風口で調整。ルーバーの向きは水平方向から上に向けて調整でき、熱が溜まりやすい上部に対して効率的に送風するように設計されている。

 

元の室温や部屋の大きさ、熱の溜まり具合によって異なるとは思うが、スイッチを入れてから1時間ほどで6畳の室温を25℃へと下げることができた。気になるのは、排熱をしている部屋の具合だ。隣の部屋へと伸ばした排気ダクトの排気温度を計ってみると、ダクト周辺では40℃を記録。排気の熱が溜まった部屋は猛烈な暑さとなり、説明書の通りダクトを使って熱せられた空気を外に放出しなければならないことを実感させられた。

↑狭い室内への排熱はオススメしない

 

ポータブル製品は野外で使ってこそ真価を発揮する!

今回、家の中以外でもポータブルの機動性を活かした実験を行ってみた。それは、ガレージでの使用である。

 

筆者は若い頃、自動車の板金塗装工場で働いていたことがあり、そこには「スポットクーラー」と呼ばれる、ポータブルクーラーに似た冷却機器が置いてあった。このスポットクーラーはダクトホースで冷気をスポット(狭い範囲)で当てるクーラーで、IPA-2203Gも同じように使用できるのではないかと考えたのだ。

 

友人のガレージに本機を持ち込み試してみた結果、業務用スポットクーラーほどの冷却能力はないものの、背中に当たる風は十分に涼しく快適であった。冷風適用畳数が4.5畳〜7畳なので、一般家庭のガレージであればガレージ全体を冷やしてくれるクーラーとして大活躍することは間違いない。また、同製品には除湿機能が搭載されているので、クラシックカーや年式を経たクルマのコンディション維持も快適にできそうだ。

 

本機は質量が22㎏なので長時間の持ち運びには労力が必要だが、脚部にキャスターが付いているので短い距離の移動なら問題ない。基本的には室内での使用を想定されたモデルだが、電源を使用できるキャンプサイト、または大容量のポータブル電源が用意できればアウトドアシーンでも活用できるだろう。また、キャンピングカーでの車中泊用クーラーとしても利用することができる。

 

その場合、窓やハッチに手を加えて排気ダクトを外へと出す手間が必要になるが、車中泊での寝苦しさを一掃してくれるはずだ。お手軽で涼しいアウトドア気分を楽しむのなら、人気のベランピングや庭キャンでの使用もオススメできる。夏休みの思い出作りとして子どもたちとエアコンの効いたテントでキャンプ気分を楽しむのも悪くない。