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2022/8/17 20:45

7項目で徹底チェック! アイリスオーヤマ「電気圧力鍋ヘルシープラス」は少人数世帯やビギナーにかなりオススメ

自動調理鍋(電気鍋)は、材料を入れて放っておくだけで料理が仕上がる便利なアイテム。昨今はおうち時間の増加による内食ニーズも手伝って、自動調理鍋の存在感がさらに増してきています。編集部ではそんな自動調理鍋の人気モデルを集め、その実力を徹底的に調査。今回は2万円台とリーズナブルな価格が魅力でデザインも評価が高く、新たにヘルシーな機能を追加したアイリスオーヤマ「電気圧力鍋ヘルシープラス KPC-MA3」を徹底的にチェックします!

※本稿は5~6月に掲載した自動調理鍋を検証する連載企画を再編集したものです

 

アイリスオーヤマ

「電気圧力鍋ヘルシープラス KPC-MA3」

実売価格2万1780円(税込)

圧力調理や無水調理などの6種類の調理方法が可能な電気圧力鍋。「低糖質」「塩分控えめ」「高たんぱく質」「食物繊維」「低カロリー」「発酵」「糖質カット」などのヘルシーメニュー52種類を搭載し、カロリー別にレシピを逆検索できるのが特徴。

 

【調査その1】カレーの味と食感をチェック!

自動メニューから選んで最後にルーをとかす

本機のカレーは、登録されているメニューから専用レシピを選ぶだけ。最後にルーをとかす工程はあるものの、操作は比較的カンタンです。

↑具材はカレー用の豚肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんという一般的な内容。この時点でルーは入れません。レシピ記載の肉は牛ではなく豚。そのため今回5機種のうち4つはビーフカレーですが、本機のみポークカレーとなります

 

調理手順は、あらかじめ登録された「自動メニュー」から「レシピ番号で選ぶ」をセレクトし、レシピ番号「40」のカレーに合わせて「決定」を押します。選択をする際はボタンを何度も押すのではなく、ダイヤル式で回せる点がスピーディで扱いやすいと思いました。

↑まずはルーなしで55分間、具材を煮込んでいきます

 

55分煮込んだら、圧力表示ピンが下がっていることを確認して「保温 / 取消」ボタンを押します。そしてフタを開け、「手動メニュー」→「なべモード」→「火力3」と選びルーを投入。全体にとろみがついたら完成です。なお、レシピには「ルーは細かく砕いておく」という指定がありましたが、煩わしいと思う人は砕かないでもいいでしょうし、顆粒やペーストタイプのルーを使ってもいいでしょう。

↑完成まではトータルで約65分。あとからルーを入れる工程を推奨しているのは、ルーを入れて圧力調理をすると香りなどが飛んでしまうから、ということでしょう。手間はかかるものの、味へのこだわりを感じます

 

玉ねぎの甘みが生きたサラッとマイルドなカレーに

↑圧力調理によるものか、玉ねぎが柔らかく煮込まれてルーにとけ込んでいる印象。一方でじゃがいもはそこまで煮崩れしていないのが好印象

 

カレーのとろみは少なく、ややサラッとしています。これは、水蒸気が逃げずに煮詰まらないためかもしれません。一方で、野菜などの仕上がりに関しては編集部員から「圧力調理の力はさすが!」という意見が多く出ました。玉ねぎが柔らかく煮込まれてルーにとけ込み、全体的には甘みが豊かでやさしい味わいになっていました

「野菜のやわらかさは十分すぎるほど。にんじんは甘みが十分に引き出されていて、おいしいです!」(小山)

「肉はちょっと硬め。豚肉の赤身が多い部位を使っているからかも」(山田)

ほかの4機種がビーフカレーというのもあり、このポークカレーの味わいは比較的マイルドな印象。肉を牛にしたり、豚でも脂が多めなバラ肉を使うとワイルドな味わいになるでしょう。

↑じゃがいもはルーにとけ過ぎていないものの、しっかり熱が入っていて口どけ良好

 

【調査その2】豚の角煮の味と食感をチェック!

調理工程はいたってシンプル。約1時間で完成

「電気圧力鍋ヘルシープラス」の角煮は、シンプルな工程でほったらかしで調理できます。具材を鍋に入れたら、真ん中に1cmの穴をあけたアルミホイルで落としぶたをしてセット完了。フタをして、「自動メニュー」→「レシピ番号で選ぶ」→「1」(豚の角煮のプログラム)を選択すればOK。

↑具材は豚バラブロック、長ねぎ、しょうが。酒、みりん、しょうゆ、砂糖、水で煮込んでいきます

 

↑トータルの調理時間は約1時間で完成。煮汁に濁りはあまりなく、比較的ライトなルックスです

 

圧力調理でしっかり加熱され、脂身のコクが際立つ味

↑盛り付けた様子。肉の色は薄めで、煮汁に染み出た脂はきめが細かいです

肉に対する野菜や調味料の分量にもよるのか、肉自体の味は比較的あっさり。ただ、圧力調理と落しぶたの効果で肉にしっかり熱が入っており、肉汁があってうまみも豊かに感じました。

「赤身の部分は少し硬いかな。味のしみこみはそれほどありませんが、甘みが強く、脂のコクを感じる味わいです」(小林)

「“ほろほろ”とまではいかないものの、脂身はやわらかくてジューシーでした」(松永)

↑肉はしっかり加熱されており、圧力調理の実力の高さを感じました

 

【調査その3】ごはんの味と食感をチェック!

弾力と粘りがちょうど良いオールマイティなごはん

↑炊飯は「自動メニュー」→「レシピ番号で選ぶ」→レシピ番号「32」と選び、「決定」で調理開始。70分で炊き上がります

「電気圧力鍋ヘルシープラス」には「白米」「低糖質米」「玄米」「赤飯」「炊き込みご飯」と数種の炊飯モードがあり、そのなかの「白米」で炊飯。炊きあがったごはんの食感はやわらかめで、粘りも強め。甘みも感じられ、オールマイティなごはんが炊けるという印象です。

「弾力と粘りがちょうど良くてバランスが取れています。満足感もありますね」(山田)

↑粒立ち良好。ふっくらとした、やわらかそうなルックスです

 

なお、本機はフタが丸ごと取れる構造なので、開ける際に内側に付いた蒸気の水滴がこぼれないよう注意が必要。内鍋が軽く本体に固定されていないため、しゃもじでごはんを混ぜるとき、内鍋が回ってしまうことがありました。

 

【調査その4】操作性をチェック!

多様な機能を本体だけでスムーズに操作できる

専用のアプリはナシ。メニュー検索などの操作は、前面の液晶パネルを見ながら木目調のダイヤルと「決定」「戻る」など4つのボタンで行います。ダイヤルなのでサクサクと選択ができ、その動きもスムーズ。パネルの大きさも十分です。

↑基本的なレシピは「自動メニュ―」に登録されており、全108種(ヘルシーメニュー52種+通常メニュー56種)の料理が選べます。このほか「手動メニュー」、よく使うレシピを登録できる「お気に入り」、内鍋の汚れやにおいを落とす「お手入れ」、代表的なメニューだけを表示する「かんたんモード」、レシピサイトのQRコードを表示する「レシピサイト」を用意

 

また、メニューは「カテゴリーで選ぶ」「五十音順で選ぶ」「食材で選ぶ」「レシピ番号で選ぶ」(番号は付属のレシピブック参照)など様々な方法で検索できるのが便利。なかでも、「カロリーで選ぶ」は“ヘルシープラス”というモデル名にも通じる、本機の独自性といえるでしょう。

↑自動メニューを「カロリーで選ぶ」機能がユニーク

 

詳細な作り方はレシピブックと公式サイトに掲載。分量も工程の順番も本体の操作に沿ってわかりやすく書かれているので、迷わず調理できます。

「専用アプリやメニュー提案機能などはないですが、本体だけでシンプルに使いたい人にはうれしいですね」(小山)

「ダイヤルが使いやすく、検索もスムーズ。説明書を見なくても多様な機能を選べる、親切な設計だと思います」(山田)

 

【調査その5】独自機能をチェック!

ナイスな着眼点!「カロリー選択機能」

本機の代表的な独自機能は、レシピをカロリーで選べる「カロリー選択機能」です。これが商品名「ヘルシープラス」の由来ともいえるでしょう。あると便利そうな機能ですが、編集部では「確かに珍しいけど使うかな?」という意見も。

 

実際に使ってみれば、その利便性を体感できるはず。ということで、今回は「カロリー選択機能」を介してセレクト。1人前100kcal以下のメニューから、92kcalの「りんごコンポート」にトライしました。

↑自動調理の中に「カロリーで選ぶ」があり、さらに100kcalごとに分類。その中のリストからメニューを決めていきます

 

「りんごコンポート」以外の100kcal以下メニューには、「ふろふき大根」「ひじきの煮物」「とりハム」「玉こんにゃく煮」などがありました。「このリスト眺めるだけでも勉強になりますね。意外に低カロリーな料理があったりして、面白い」という声も。

↑内鍋に、カットして砂糖をまぶしたりんごとレモン、水を入れて準備完了。47分で調理は終了し、冷蔵庫で冷やして完成です

 

↑夜食やダイエット中にもうれしいデザート、92kcalの「りんごコンポート」完成!

 

味は、りんごとレモンの酸味が調和したあっさり系の甘酸っぱさ。やわらかさと、サクッとした歯触りが共存し、上品さを演出します。改めて、編集部に「カロリー選択機能」の感想を聞きました。

「レシピの出合い方としては新しくて着眼点がナイスですね。ただ、ダイエットとなるとカロリーだけじゃなく糖質も気になるご時世なので、糖質で検索できるともっとうれしいと思います」(山田)

「『野菜シュウマイ』は1個39kcalで100kcal以下のメニューなんですけど、1人で4個食べたら116kcalですよね。食べる量でも変わってくるので、そのへんもカバーできたらいいなと思いました」(小山)

 

グリル鍋を持っていない人に特に便利な2WAY仕様

「電気圧力鍋ヘルシープラス」の独自機能には、グリル鍋として活用できる「2WAY仕様」があります。これは、ふだんの食卓やホームパーティーなどで重宝する機能。フタが一体型ではなく、取り外せるのもそのためです。また、卓上で使用する際、椅子に座った状態でも中身が確認できるよう、高さが低めに設計されているのもポイント。

↑フタを外せばグリル鍋に。卓上で取り分けしやすい高さ設計になっているのもポイントです

本体の設定にも「グリル鍋メニュー」があり、一般的なグリル鍋のようにダイヤルを回して火力を調節可能。これには「一石二鳥の素晴らしさ。グリル鍋を持っているけどあまり使わない家庭であれば、これに買い替えて旧モデルは処分するというのも手かもしれないですね」と、高評価の声が上がりました。一台で調理だけでなく卓上鍋など多様に使えるモデルを探している人にオススメです。

 

【調査その6】設置性をチェック!

コンパクトかつ落ち着きのあるデザイン

↑一部に木目調のパーツを配したカジュアルなデザイン。そこまで重厚感はありません

 

本機のサイズは幅300×高さ224×奥行き301mmで、重さが約3.9kg。今回の5製品のなかでは比較的小さく、重さは最軽量です(調理容量は2.0Lで大差なし)。卓上でグリル鍋としても使用することを想定し背が低く設計されており、コンパクトさは秀逸といえるでしょう。また、マグネットプラグ式の電源コードは約2.0mと、今回のなかでは最長でした。

 

↑キッチンにもなじみ、極端な生活感は出ない印象

 

カラーはブラック、グレー、グリーンの3色(使用モデルはグリーン)。欧米のキャセロール鍋を思わせるデザインや、マットやパステル系を用いた落ち着きのある配色で、インテリアにもマッチしそうです。

 

実寸、存在感ともに圧迫する要素がなく、キッチンやインテリアに溶け込むデザイン性は優秀。比較的コンパクトなのでしまう際にもかさばらず、しまわずに棚などに置いてあっても馴染むでしょう。

「かわいらしいデザイン。コンパクトかつ軽めで出し入れしやすく、女性に刺さる魅力が多いですね」(松永)

「全体的に軽やかで重厚な高級感はないですけど、チープさはない洗練されたデザイン。収納性もよく、家が広くないという人にもオススメな一台」(小山)

 

【調査その7】お手入れをチェック!

パーツが細かく洗いづらいという宿命があり

「電気圧力鍋ヘルシープラス」は圧力調理鍋のため、フタ内部の設計が緻密です。パーツも多くて洗浄にやや手間がかかりますが、これは圧力鍋ならではの宿命。洗う際にはなくさないよう注意が必要で、細かいパーツは食洗機(食器洗い乾燥機)で洗わないほうがベタ―です。なお、本機はグリル鍋としても活用できるようにフタが丸ごと外れるのもポイント。

↑パーツが細かく、パッキンが洗いづらい、水はけも悪いなどは圧力鍋の宿命。ただし本機の内鍋は持ち手がないうえに軽く、コーティングも優秀。扱いやすさでは好評でした

 

↑小さいパーツは洗浄もしづらいため、特に注意を

 

【検証のまとめ】

初心者や少人数世帯にオススメしたいオールマイティなモデル

専用アプリはありませんが、豊富な検索手法とダイヤルで使い勝手は良好。内蔵メニューは十分な数を網羅しており、料理はどれもクセのない味わいに仕上がる印象です。ただし、圧力鍋なので洗うパーツが多く、お手入れの際は少々手間がかかります。ボディはコンパクトで設置性は上々。炊飯器やグリル鍋としても使えるため、家電を置くスペースが限られた世帯にはうれしいところ。約2万円とリーズナブルな点も含め、新生活を始める一人暮らしや少人数世帯、電気圧力鍋を初めて使う人にオススメできるモデルです。