電源コードをコンセントに挿す必要がなく、すぐに掃除が始められるコードレススティック掃除機が、掃除機全体でシェアを伸ばしています。特に大手メーカーのハイエンドモデルは、高い集じん性能に加え最新機能も搭載。メディアの注目度も高くなっています。
一方で、そうしたハイエンド機に負けずに好調な売り上げを見せているのが、家電準大手メーカーが発売しているコードレススティックです。購入しやすい価格帯ながら、集じん性能は十分実用レベル。過剰な機能を削り、必要十分なものだけを残すことでコスト削減を実現し、コスパの良さでユーザーの支持を集めています。今回は、そんな高コスパなスティック掃除機のひとつ、アイリスオーヤマの「超軽量コードレススティッククリーナー IC-SLDC1」(実売価格1万5984円)をチェックしました。
その1
掃除の能力は?
フローリングは問題ないがカーペットがやや苦手
IC-SLDC1は、ハイエンドタイプの多くが採用する自走式ヘッドはもちろん、ヘッドブラシそのものをバッサリ省略。これがコスト削減の要因のひとつになっています。吸引力は「標準」「ターボ」の2段階で切り替えられ、ゴミの有無で吸引力を切り替える自動モードも搭載しています。
このヘッドは「サイクロンストリームヘッド」と名付けられ、吸引した空気を縦方向に回転。微細なホコリを強力に巻き上げて集じんするとのこと。
フローリングを自動モードで掃除してみましたが、ホコリは問題なく吸引。砂はヘッドを急いで動かすと取り残しが出ますが、ゆっくり2~3度前後に動かしているうちに問題なく取れました。ブラシがないため、カーペットにくっついたホコリは除去しにくい印象です。
カーペットの掃除は「標準」モードのほうが快適でした。というのも、ヘッドにブラシがないぶん、「ターボ」だとカーペットが吸い付いてしまい、ヘッドが動かしにくいのです。また、パイル地に絡み付いたホコリや毛ゴミは「ターボ」でも取りづらい印象でした。その点で、カーペットはやはり自走ブラシの付いた掃除機のほうが有利かなと感じました。
その2 掃除機の操作はしやすいか?
あらゆる動きがいちいち軽いのに感動!
掃除機をかける際に、吸引力と並んで重要なのが操作性です。なかでも掃除機の重さ、ヘッドの重さがその操作性を大きく左右します。IC-SLDC1は本体質量約1.3kg。さらにヘッドに関しては、ブラシを回転させるモーターも付いていないため、わずか約220gという軽さです。圧倒的な軽さゆえ、その操作性の良さは軽いショックを受けるほど。
まず、ヘッドを床上で転がしながらの方向転換はとても優秀。グリップを持つ手を軽くひねるだけで、ヘッドが左右にそれぞれ90°以上曲がるため、「あ、こっちにホコリが落ちてる」と思った瞬間、スムーズにヘッドの方向を変えられます。また、掃除場所を大きく変えるときや障害物を避けて掃除するとき、しばしばヘッドを持ち上げますが、この動作が極めて軽くできるのも、思った以上の快適さにつながっていました。
さらに、本体とヘッドの厚みが少ないので、ソファやシステムラック、ベッドの下などをスムーズに掃除できるのも評価できます。うちのシステムラックは底板から床までの高さが10cmでしたが、その隙間にもスイスイ入って集じんすることができました。ちなみにハンディ掃除機として使うときは、延長パイプを外し、本体とヘッドを直接つなげたり、本体吸込み口下部のブラシを使ったり、付属のすきまブラシを装着したりして使えます。
こうしたハンディでの操作性を含め、掃除中のあらゆる動きがいちいち軽いのに感動。この軽さは改めて大きなメリットだと感じました。
その3 設置性は良いか?
ワンタッチで着脱できるが収納場所は限られる
コードレススティック掃除機は、すぐに掃除が始められるのがメリット。そのため、多くの人が押入れに収納せず、部屋置きにすることを望みます。そこで重要になってくるのが、部屋置きでも邪魔にならない設置性の高さと、着脱のしやすさです。
IC-SLDC1は専用の壁置きパーツを接着テープで壁に固定。本体上部のマグネットが金属製壁置きパーツと接着することで、手軽に壁面収納が可能です。粘着跡が残りにくい接着テープを使っているのは、賃貸の部屋に住む人や、壁にネジ穴を開けたくない人には便利。ちなみに、壁置きパーツはネジで固定することも可能です。
磁力で固定しているだけなので、子どもが不意に倒れ込むなどの過重には耐えられませんが、ワンタッチで着脱できるのは便利です。ただし、充電時には専用アダプタのプラグを本体に挿すため、収納場所はコンセントの近くに限定されてしまうのが惜しい。ちなみに、電源コードをまとめるためのパーツが付属しているものの、そのパーツはネジ止め式なので、ちょっと使い勝手が悪いと感じました。
その4 ゴミ捨てとメンテナンスはしやすいか?
紙パック式なのでゴミ捨てもメンテもラク
コードレススティック掃除機は集じん容量が少ないため、ゴミ捨てはこまめに行う必要があります。そのため、ゴミ捨てのしやすさが使い勝手に大きく関わってきます。
IC-SLDC1は紙パック式の掃除機なので、ゴミ捨てもメンテナンスも極めてラク。紙パックの集じん容積は0.35L。ゴミが溜まったら紙パックごと捨てて新しいものと取り替えるだけで、ゴミに直接触らず捨てられます。ダストカップの掃除も必要ありません。その代わり、紙パック購入のランニングコストはかかります。量販店で25枚入りが500円前後で購入可能です。
また、ヘッドはノズルブラシがないぶん、毛ゴミが絡まることもなく掃除が簡単です。ただし、走行車輪には毛や糸くずが絡まりやすいので、ここは他の掃除機と同様、こまめな手入れが必要です。
その5 独自機能はどうか?
ゴミの有無がわかる「ほこり感知センサー」が便利
機能を絞ったお手ごろ価格のスティックだけに、どのモデルも機能は同じかというと、そんなことはありません。実は機種ごとにプラスαの機能を搭載していて、それが各モデルの特徴にもなっています。
IC-SLDC1でプラスαの魅力となっているのは、「ほこり感知センサー」です。センサーがホコリを検知するとランプが緑から赤に変わり、吸引力を自動的にアップ。これはゴミをランプの色で確認して取り逃がさないのと同時に、ホコリがない場所やヘッドを動かさないときに自動的に吸引力を落としてくれるので、バッテリー消費の節約にも大いに役立ちます。
まとめ
とにかく軽いから「掃除が面倒」というハードルがなくなる
IC-SLDC1はブラシ非搭載ということもあり、大手メーカーのハイエンド機と比べると集じん性能はやや劣ります。ただ、ホコリやペットの毛などの集じんにはまったく問題がないと言っていいでしょう。さらに、何といっても一番の魅力がその軽さ。「軽い」というだけで、「掃除するの面倒だな」というハードルが一個なくなるのが素晴らしい。「ほこり検知センサー」付きで、パワーの切り替えを気にせず、消費電力を抑えて長時間の掃除ができるのも、実用性をより高めています(充電時間は約3時間。フル充電時での連続稼働時間は、「ターボ」が12分、「標準」が20分、「自動モード」では30分となっています)。
最後に、本機はどんな人にオススメか考えてみました。まずオススメなのは、すでにメインの掃除機を持っていて、サブで使う機種を探している人。毎日の掃除がこちらで、週に一度吸引力の強い掃除機でしっかり掃除すると住まいの快適性がより高まりそう。紙パック式なので、掃除機の手入れが面倒な人にも最適です。また、一人暮らしのワンルームや1DK、2DKくらいの部屋で、なおかつフローリングや畳がメインの部屋なら、これ1台でも問題なく掃除できそうです。
【SPEC】
使用時間の目安:自動モード運転時約30分(満充電・電池初期 / 20℃時)、標準モード運転時約20分、ターボモード運転時約12分
充電時間:約3時間
集じん容積:0.35L
コード長:2.5m
サイズ/質量:W約101mm×D459mm×H107mm/約1.3kg(本体、延長パイプ、フロアヘッド組み立て時)約0.98kg(本体のみ)