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炊飯器
2022/12/28 21:15

今度は掛け値なしにウマい! リニューアルしたバルミューダ炊飯器「BALMUDA The Gohan」は何が変わった?

今から5年前の2017年、バルミューダが初めての炊飯器「BALMUDA The Gohan」を発表しました。二重構造の内釜に水を入れ、蒸気の力で米を炊き上げる蒸気炊飯という聞き慣れない方式で話題となりましたが、蓋を開けてみれば大ヒットには遠く及ばずの結果。トースターで一世を風靡したバルミューダが作った炊飯器だけに、市場は大きな期待を抱いていたのですが、舌の肥えた日本人の評価はなかなかに厳しいものがあったのです。

 

「今度こそは」の想いを込めてリニューアル

そんな苦い思い出がある「BALMUDA The Gohan」が5年の時を経て大リニューアル。「今度こそは」という想いを込めて12月に新発売しました。価格は4万9500円(税込)と前モデル(4万1500円)からは8000円ほど値上げされています。

↑新しい「BALMUDA The Gohan」。本体寸法:幅242×奥行266×高さ219mm、本体質量:約4.6kg、定格消費電力:670W、3合炊き。カラバリはブラック(左)とホワイト(右)

 

前作がヒットしなかった理由について、マーケティング本部の半澤直子本部長は、「万人受けする味ではなかった」と振り返ります。「美味しかったとは思いますが、美味しいと感じるストライクゾーンが狭かった。美味しく炊くためには水の量をシビアに計量する必要があり、さらにはお米の銘柄にも味が左右され、ブランドによっては美味しく感じないことも。条件がぴったりハマったときには美味しく炊けますが、そうでないときには旨味や香りが足りないと感じることもありました」。

↑「前モデルは万人受けする味ではなかった」と、ヒットしなかった理由を話す半澤部長

 

「ユーザーに努力を強いたり、素材によって味にバラつきが出るのは家電製品としてはやってはいけないこと」という反省のもと、改善すべきところは改善し、バルミューダとしての美味しいごはんを再提案したいという想いから、今回のリニューアルに至ったものです。

 

同社はこの5年間、蒸気炊飯以外のさまざまな方式を試したり、5合炊きにも挑戦するなど、炊飯器づくりを一から見直してきましたが、最終的には蒸気炊飯(マイコン式)、3合炊き、保温機能なしと、基本的な機能は前モデルを踏襲することとなりました。しかし、見た目も味も、前モデルとは全くの別物に仕上がっています。

 

蒸気によって均一に熱を伝える炊飯方式を採用

まずは、基本的な構造から見ていきましょう。前モデル、新モデルともに共通の「蒸気炊飯」とは、釜が二重になっており、外釜と内釜の間に入れた少量の水を加熱して発生する蒸気の力を使って炊飯する仕組みです。

 

多くの炊飯器は高火力で内釜を直接加熱することで釜の中の米を対流させ、均一に熱を伝えることで炊きムラをなくし、ふっくらとしたごはんを炊き上げます。しかし、蒸気炊飯では上面を含めた全方向から蒸気によって均一に熱を伝えるため、釜の中の米を対流させなくても炊きムラは起こらず、むしろ米が動かないので米同士がぶつからず、傷ついたり欠けたりすることなく、粒の揃ったごはんを炊き上げることが可能。その結果、粒立ちが良く、口の中で一粒一粒がほぐれる食感を楽しめる、とバルミューダでは説明しています。

↑二重の釜の隙間に入れた水を加熱することで発生する蒸気によって、米を均一に加熱する「蒸気炊飯方式」

 

↑内釜(左)に米と水を入れ、水を入れた外釜(右)に重ねてセットする

 

↑外釜に入れる水を計量するため、升型の計量カップが付属

 

細かい改善で米にしっかりと熱を伝える

新モデルは、前モデルから大きな進化を遂げたというわけではなく、細かな調整の積み重ねによって改善を果たしたそう。改善点の1つめが、外釜の厚みを増したこと。前モデルの外釜の厚みは1.2mmでしたが新モデルでは2mmにアップ。わずか0.8mmの違いによって外釜の蓄熱性が上がり、中の米全体に均一に熱を伝えられるようになって、より炊きムラを防ぎ、ふっくらと仕上げられるようになったのです。

 

2つめが蒸気口の形状変更。炊飯時に発生する過剰な蒸気を外に逃がすために内ふたには蒸気口が設けられているのですが、前モデルに比べて小さくなっています。前モデルでは蒸気の排出量が多かったため、米に十分な熱量が伝えられていませんでした。そこで、コンマ1mm単位で調整し、過剰な蒸気を排出しながら米に伝える熱量を上げることに成功しています。

↑内ふたの蒸気口の比較。右が新モデル。写真では分かりづらいが蒸気口を前モデルより小さくしているとのこと

 

3つめが、蒸気発生のための水の量を変えたこと。前モデルでは外釜に入れる水の量は200ccでしたが、新モデルは180ccに減らしています。内釜の厚みが増し、蒸気口を小さくすることで全体的に熱量が上がったため、蒸気を発生させる水の量自体を減らすことができたとのこと。

↑右が新モデルの外釜。前モデルより厚みが0.8mmアップして若干重くなり、蒸気用に入れる水の量が180ccに減っている

 

このほか、炊飯工程全般で温度制御を細かく見直したことで、新製品では「炊き上げの熱量をアップすることでお米にしっかりと熱を伝え、甘み、旨味を引き出しながら、ふっくらと炊き上げられるようになりました」(プロダクトマーケティング部の片山ゆかりさん)といいます。

↑消費電力は前モデルと同じ670Wと変わらないが、炊飯工程における温度制御を細かく見直すことで、“炊きが甘い”問題を克服。100℃近い高温でしっかり米に火を通し、旨味を引き出す

 

なお、最も大きく変化したのは炊飯器の形状です。これはあくまでデザインであり、性能には影響していないとのこと。前モデルは羽釜をイメージしていましたが、今回は竈に羽釜を組み合わせたイメージとなっています。

↑左が前モデル、右が新モデル。形状とサイズが大きく変わっている

 

粒立ちが良く香り高いごはんは、掛け値なしにウマい!

では、いよいよ実食です。もう5年前のことなので記憶が定かではありませんが、前モデルは粒立ちは良かったものの、味が薄く、ごはんの甘みがあまり感じられなかった印象があります。不味くはないけど、取り立ててウマいというわけではない……そんな個性の少ない味でした。

 

対して新モデルは……掛け値なしに美味しい! まず、香りが高い。さらにごはんの香りがしっかりと立っており、ごはん粒は大きく、形が揃っています。欠けや割れが見受けられないのは蒸気炊飯ならでは。

 

口に含むと、舌触りはサラッとしており、粘り気は弱め。口の中でごはん粒一つ一つが簡単に解けていき、口いっぱいにごはんの香りが広がります。食感は硬めではありますが、決して芯のある硬さではなく、ごはんを“噛む”という動作が楽しくなる硬さ。噛んだ瞬間から甘みを感じ、その甘みが口いっぱいに広がっていくイメージです。

↑ふたを開けた瞬間に立ち上るごはんの甘い香り。粒立ちのよい、ふっくらとした大粒のごはんに仕上がっている

 

↑割れや欠けがなく、一粒一粒の形が揃っている。噛みごたえがあり、噛むほどに甘み・旨味が湧き出してくる

 

玄米も毎日食べられる美味しさだった

興味深かったのが、米のブランドに応じた炊き分けメニューがないのにも関わらず、ブランド米それぞれの特徴を際立たせていること。今回、山形県産つや姫と北海道産ゆめぴりかを試食しましたが、つや姫は粒がしっかりしてシャッキリとした食感に、ゆめぴりかはもちもちした食感にと、それぞれの特徴を上手に引き出し、ともに美味しく炊き上げていました。炊飯器が余計な味付けをせず、米本来の味と食感を上手に引き出しているという印象です。

 

さらに特筆すべきが玄米。水っぽさも芯残りもない、ちょうどよい柔らかさで、ぬかの臭いが一切ありません。ツヤツヤして舌触りがよく甘みも出ており、玄米好きや健康志向の人にオススメです。筆者は玄米のモキュモキュした食感とぬか臭さが好きではないのですが、BALMUDA The Gohanで炊いた玄米はそれが一切なく、毎日食べられる美味しさでした。

↑今回の試食で、初めて玄米が美味しいと思った。これなら毎日食べられる!

 

新製品は、明らかに前モデルとは別物でした。ごはんだけで何杯もお代わりしたくなる美味しさを持ちながら、卵かけごはんで食べたい、ふりかけで食べたい。納豆も、カレーも……と、いろいろな味を試したくなる味と食感を兼ね備えていました。これに出会ってしまったら、炭水化物抜きダイエットは当分無理そうです(笑)。

↑卵かけごはんにしても、口の中で米一粒一粒の形がはっきりとわかり、卵の黄身の甘さとごはんの甘さが調和して絶品だった

 

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