ダイソンは、革新的なプロダクトと、それを支える技術にこだわる「テクノロジーカンパニー」を標榜している。ここでは様々な数字を通してそのこだわりに迫ろう。
※こちらは「GetNavi」2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。
【5127個】
世界初のサイクロン掃除機の完成に要したプロトタイプの数
ジェームズ・ダイソン氏は1983年に初のサイクロン掃除機を発明するまでに、約4年で5127個のプロトタイプを試作。毎回、変更部分は1か所だけにして、その変更で何が変わるか見極めた。成功までの5126回の“失敗”はまさに正解に至るまでの重要なプロセスだった。
【6000人】
全社員数の3分の1以上がエンジニアと科学者
ダイソンは家族経営企業でありながら世界全体で1万4000人を超える従業員を雇用。そのうち約6000人がエンジニアや科学者である。エンジニア・科学者が社員の3分の1以上を占める企業は異例で、「テクノロジーカンパニー」を標榜するダイソンの姿勢が顕著に現れている。
【4372億円】
テクノロジーの研究開発に投資した額
ダイソンは昨年、テクノロジーの研究開発に27億5000万ポンド(約4372億円/※)を投資する5か年計画を発表。エンジニア、科学者、ソフトウェア開発者からなるグローバルチームを持ち、個体電池セル、デジタルモーター、ロボット工学、AIなどの開発に取り組んでいる。
【200回】
超過酷な耐久性テスト1セットの回数
ダイソンには「拷問コース」と呼ばれる試験コースがあり、機械的テスト装置を大量に導入するだけでなく、粗暴な家庭よりさらに過酷な条件で試験を実施。数百人が製品を壊すべく最大限に乱暴に扱う。そして200回使用するごとに写真撮影して記録を残している。
【3万6000エーカー】
ダイソン家が運営する農地の総面積
ダイソン家は2012年に「ダイソンファーミング」を設立。19年からカーボンニュートラルを実現し、いまや3万6000エーカーの農地を所有する英国最大の単一生産者に。隣接する嫌気性消化装置で暖めた15エーカーの最新鋭ガラスハウスでは甘み満点の英国産イチゴを栽培している。
【390件】
「ジェームズ ダイソンアワード」の若者支援件数
ジェームズ ダイソン財団が主催する国際エンジニアリングアワード「ジェームズ ダイソン アワード」は、2005年の初開催以来、世界中の若者の発明を計390件支援。受賞をきっかけに作品の製品化や起業を果たした若者も多い。2023年の同アワードは初めてポルトガルで開催される。
【2400万台】
自社工場で1年に作る小型高速モーターの台数
ダイソンは世界最小の高速モーターを自社開発。組み立て工程をロボット化した工場で年間2400万台のモーターが製造される。シンガポールとフィリピンでは完全自動化された工場が24時間稼働。なお、モーターの他社への供給は行わない。