フィリップス ライティング ジャパンは12月6日に新製品発表会を開催し、スマートLED照明「Philips Hue(フィリップス ヒュー)」シリーズから、「ホワイトグラデーションモデル」を12月中旬より発売すると発表しました。Hueシリーズといえば、1600万色以上の光を演出できると話題のLEDランプ。スマートLEDの多色化の流れを生み出した張本人なのですが、今度の新モデルは、その流れに反し、白色に特化したのだそう。わざわざ色数を省いた狙いとは何なのか、発表会で取材してきました!
シーンに合わせて4種類のライトレシピを用意
今回、同社が着目したのは、光が生活リズムに与える影響です。その背景には近年、光と睡眠の関係について「朝から日中はじゅうぶんな光を浴び、夜は光をあまり浴びないほうがいい」ということがわかってきたことが挙げられます。
そこで同社は、生活リズムを整えるべく、照明の色温度を変更できる白色に特化した製品を開発。日中に集中したいときや、夜リラックスしたいときなど、状況に適した色味や明るさに変えられる機能を搭載しました。さらに照明が人体に与える生物学的影響を研究したうえで、日常シーンに応じた温かみのある白からスッキリした白まで、プリセットされた4つのライトレシピを用意しています。
ブリッジを介さずに色温度設定が可能
今回発売するホワイトグラデーションモデルは、「シングルランプ」(実売予想価格3400円)と「Dimmerスイッチ」(実売予想価格2800円)が簡単にペアリングして操作できるのが特徴。Dimmerスイッチは電池式のため配線工事を必要とせず、好きな場所に設置できます。(※)
※初出の記事では、“ホワイトグラデーションモデルは、「シングルランプ」(実売予想価格3400円)と「Dimmerスイッチ」(実売予想価格2800円)があれば、ブリッジを介することなく、簡単にペアリングして操作できるのが特徴。ランプは電池式のため配線工事を必要とせず、好きな場所に設置できます。”とありましたが、Dimmerスイッチにはブリッジが必要で、ここでいう「ランプは電池式のため」は「Dimmerスイッチは電池式のため」の誤りでした。お詫びして訂正致します。
↑Dimmerスイッチ。サイズ/質量:L115×W75×H14㎜/重量:130g
Dimmerスイッチは、1つで最大10個のランプのオン/オフ操作と4つのレシピの選択、調光が可能。スイッチ設置用のプレートも付属していて、マグネットか両面テープ、ねじのいずれかで設置できます。
またホワイトグラデーションは単品のほか、ランプ2つとDimmerスイッチ、スマートフォンと連携するために必要なブリッジが同梱されたスターターセット(実売予想価格1万4800円)もあります。こちらのランプとDimmerスイッチはすでに同期されているため、上記のようなペアリングは不要で、ソケットにランプを差し込めばすぐに操作できますので、設定が苦手な人も安心して使えますね。
またブリッジと接続し、Apple社のスマートホーム規格「Apple HomeKit」を利用すれば、「Siri」による音声コントロールが可能になるほか、専用アプリでより細かな設定が可能になります。たとえば自分好みの色を作ったり、外出先から家の照明をコントロールしたり、朝起きる時間に合わせて徐々に明るく照らす、といった使い方もできるというわけです。
光ひとつで眠りのリズムが変えられる!
発表会では、同社も参画している世界睡眠会議の事務局長・和田啓二さんが登壇し、睡眠の大切さについて語られました。特に「いい睡眠は、一日のいろいろな生活行動のなかで作れる」といい、さらに「光ひとつで眠りのリズムが変えられる」とのこと。そして、ホワイトグラデーションモデルは、そんないい眠りのために貢献してくれそうです。
続いて、コラムニストの山田五郎氏さん、NPO法人睡眠文化研究会の事務局長・鍛冶恵さんも登壇し、「睡眠と照明のいい関係」と題したトークセッションも行われました。冒頭、「文明とは眠らないこと」と山田さんらしい視点で文明について解説。文明が発達し照明が生まれたことで、現代人は夜遅くまで活動するようになり、睡眠に問題を抱えている人が増えている一方で、「文明が起こした問題を、また文明で解決しようというのが面白い」と、新モデルへの期待を独特の観点で表現していました。
なるほど、たしかに今回のHueは、照明が生んだ睡眠障害を、照明で解決しようとしたもの。また、こうした技術が行きつく先は、「人は太陽が昇ったら起きる=光で目覚める」という原始のルールだった、というのが興味深いですよね。そして、「生活リズムを整える」というコンセプトを際立たせ、太陽をより忠実に再現するには、白色に特化する必要があったということでしょう。さて、そんなヒトの根源的な欲求に即した今回のHue。シンプルな操作と手ごろな価格を実現したことで、より幅広い人たちが手に取ることでしょう。今後は「光で生活を整える」というスタイルが当たり前になるかもしれませんね。