国内の蛍光灯でシェア60%を誇るパナソニックが、2027年9月までに、すべての蛍光灯の生産を終了すると発表しました。水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)での取り決めに従った措置で、現在蛍光灯を使用している家庭や企業などでは、LED照明への置き換えが必要になります。
蛍光灯→LEDの置き換えで50%以上の節電効果。早めの交換を!
2023年にスイスで開催されたCOP5では、水銀による汚染を食い止めるため、2027年末までに蛍光灯の生産・輸出入を禁止することが定められました。これを受けて、メーカー各社は、蛍光灯の生産終了を発表しています。
国内のシェア60%を占めるパナソニックも、取り決めの期限より3か月早い、2027年9月末までに生産を終了することを発表しました。なお2027年9月末まで生産が続けられるのは、直管形と丸形の蛍光灯で、コンパクト形については、それに先立つ2026年9月に生産が終了します。同社は1950年から蛍光灯を作り続けてきました。その80年近い歴史の幕が、まもなく閉じることになります。
いま蛍光灯を使用している家庭や企業などでは、LEDに置き換えることが必要になります。2000年ごろから登場したLEDはすでに広く普及していますが、パナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部長の島岡国康さんによると、国内の照明のうち、LEDが占める割合は約60%。つまり、約40%は蛍光灯が残っていることになります。
LEDの省エネ効果は高く、蛍光灯に比べて50〜60%の節電が可能ですが、それでもなぜ蛍光灯が広く使われているのでしょうか。その根底には、照明器具特有の文化があると、島岡さんは語ります。その文化とは「故障するまで取り替えない」というもの。たしかに、故障していない照明器具を交換したことがあるという方は少ないでしょう。
また蛍光灯からLEDに取り替える場合、基本的には、ランプだけでなく照明器具自体を交換することになります。そう考えると「業者を呼ばないといけない…」「お金がかかる…」と思われる方もいるでしょう。しかし、家庭用照明器具には、自分の手で交換が可能なものが多数あります。
その代表格がシーリングライトです。実はこれ、天井についている配線器具にアダプタをつけるだけで、簡単に取り付けできます。つまり、現在使っている照明器具を取り外すことさえできれば、取り付けは容易なのです。
また蛍光灯照明器具の耐用年数は10年とされています。それを過ぎたものは内部劣化により故障が起きやすくなるため、同じ照明器具を長く使っている場合は、早めの交換がおすすめです。
パナソニックは今回の発表に伴って、蛍光灯からLEDへの交換を促すポータルサイトを立ち上げました。また、LEDシーリングライトの取り付け方を解説するページも公開されています。
新潟工場で、CO2排出量実質ゼロを達成
パナソニックは、LEDを生産する工場の脱炭素化も進めています。オフィスなどで広く用いられている一体型LEDベースライト「iDシリーズ」を製造する新潟工場では、2024年度からCO2の排出量実質ゼロを達成しました。
同工場では、2020年から年間20〜30件の省エネプロジェクトを推進。また、工場の屋根などに大型の太陽光発電パネルを設置し、省エネ・創エネの両面で脱炭素化を進めてきました。2025年には、純水素型燃料電池による自家発電施設も導入するそうです。
再生鉄・再生樹脂を使用し、環境によりやさしくなった、iDシリーズの新商品も2025年1月から発売予定。島岡さんは「作る側でも、製品でも、環境への配慮を進めていきたい」としています。