加熱式タバコは現在、「プルーム(Ploom)」「アイコス(IQOS)」「グロー(glo)」の3ブランドがしのぎを削る、三国志的な激戦市場。各社の開発競争も激しいなか、JTが同社の「プルーム」ブランドから第4世代となる新作「Ploom AURA(プルーム・オーラ)」と、15年ぶりの新タバコスティック「EVO(エボ)」を5月27日に発表しました。それぞれの新作について、特徴を解説したうえで、筆者が旧モデルと吸い比べた実体験レビューをお届けします。
JT
プルーム「Ploom AURA(プルーム・オーラ)」
各2980円 ※条件により980円~(税込)
EVO(エボ)
各550円(税込)
この記事でわかること
グッドデザイン賞のDNAを継承するデザインと持ちやすさ
まずはデバイスの「プルーム・オーラ」から。ひと目でわかる違いが、スマートなフォルムになったことです。ひとつ前の「プルーム・エックス・アドバンスド」は、加熱式タバコ用デバイスとして史上初の「グッドデザイン賞(2024年度受賞)」に輝くなど、美しいプロダクトが話題となりましたが、「プルーム・オーラ」もエレガントなDNAを引き継ぎながら、スリムな形状に。

細くなったことで、より携帯性も増したといえます。また「プルーム・エックス・アドバンスド」ではタバコスティック挿入口のスライドカバーが外側に出ていましたが、「プルーム・オーラ」では内側に入ったことでよりなめらかになり、統一感も高まりました。

カラーバリエーションと豊富なアクセサリーで自由にカスタマイズ
「プルーム・オーラ」のカラーバリエーションは、現状4種類。そのうち、ネイビーブルーとルナシルバー(後述)は一部店舗限定となりますが、別売りのアクセサリーにフロントパネルとバックカバーが各10色用意され、十分なカスタマイズ性があります。


なお、「プルーム・エックス・アドバンスド」など旧モデルでもアクセサリーは豊富にありましたし、デバイスの限定デザインなども適宜販売されていたので、今後「プルーム・オーラ」でも多彩なデザインが展開されるであろうことが予想できます。

ひとつ前の「プルーム・エックス・アドバンスド」は、ブランドにおける第3世代。2021年に誕生した「プルーム・エックス」の後継機として2023年にデビューし、ルックスにこそ大きな変化はなかったものの、最高加熱温度が約295℃から約320℃にアップするなど機能面で飛躍的な進化を遂げました。

機能の進化点1.4つの加熱モードと使用時間の違い
では、「プルーム・エックス・アドバンスド」から「プルーム・オーラ」へのイノベーションではどういった機能が進化したのでしょうか。わかりやすいようリストにまとめてみました。
ブランド名 | プルーム・オーラ | プルーム・エックス・アドバンスド |
発売日 | 2025年5月27日 | 2023年11月21日 |
世代 | 第4世代 | 第3世代 |
税込実売価格 | 2980円(条件などにより980円~) | 1980円(条件などにより980円~) |
サイズ/幅×奥行×高さ | 24.2×29.2×109.4mm | 約44×約24×約89mm |
重量 | 75.5g | 約95g |
最高加熱温度 | 約320℃ | 約320℃ |
加熱モードの種類 | 4モード | 2モード |
加熱待ち時間 | 約25秒 | 約25秒 |
連続使用可能本数 | 約3本 | 約2本 |
最多使用可能本数 | 約27本 | 約20本 |
満充電までの時間 | 約180分 | 約90分 |
最長喫煙時間(タバコ1本あたり) | 約6分 | 約5分 |
吸える回数 | 無制限 | 無制限 |
自動加熱モード | あり | あり |
Bluetooth接続 | あり | あり |
※データの一部は筆者調べ。
ポイントは「加熱モードの種類」「最多使用可能本数」「最長喫煙時間」にあります。「プルーム・エックス・アドバンスド」は今年3月、「メビウス」と「キャメル」のリニューアルに合わせて「バランスドモード」と「デフォルトモード」から選択できるように進化していましたが、「プルーム・オーラ」では全4モードの仕様に。

ユーザビリティが向上しつつ、多様化した各モードはより機能が先鋭化。例えば「ストロングモード」はタバコスティック1本あたりの使用(喫煙)時間は約3分間ですが、その分パワフルな味わいに。一方で「ロングモード」なら強さが抑えられるぶん、1本あたり約6分間も喫煙を楽しめます。

機能の進化点2.味の違いは?旧モデルとの吸い比べ結果
「プルーム・オーラ」では基幹システムも独自の加熱技術「スマート ヒート フロー」へとアップデート。緻密に設計された加熱温度コントロールにより、雑味や焦げ臭さを抑えつつ、タバコ葉の香味を引き出す最適な温度を長くキープすることで、味わいの一貫性が高まりました。
加えて、デバイスの加熱カップにミクロン単位の精度で加工する匠の技術を投入。さらに楕円状のカップ構造によりタバコスティックとの接触面積が増え、その味わいを余すことなく引き出せるようになりました。つまり定性的な側面でも、「プルーム・オーラ」は「プルーム・エックス・アドバンスド」よりもおいしく吸えるようになったのです。

新スティック「エボ」の特徴と味の違い
「プルーム・オーラ」と同時デビューとなった「エボ」は、JTが15年ぶりに発売した新タバコスティック。既存の「メビウス」と「キャメル」はともに、この世に加熱式タバコがない時代から紙巻きタバコでも存在し続けているロングセラーであり、「エボ」は系譜がない完全な新ブランドです。
裏を返すと「メビウス」と「キャメル」は、紙巻きタバコから加熱式タバコへ切り替えるユーザーのためにも存在するブランドであり、一方で「エボ」にはそういった関連性がないといっていいでしょう。だからこそ大胆なブランディングができるのであり、事実として「エボ」は味わい的にも革新性に満ちています。

端的に特徴をいえば、「エボ」はプレミアムなタバコスティックです。世界30か国以上から厳選したタバコ葉のみを使い、巧みな香味技術をもつブレンダーが10万回を超えるテイスティングを実施。そうして、1000を超える試作から生み出されたのが「エボ」なのです。3銘柄それぞれを、「プルーム・オーラ」で吸ったテイスティングコメントとともに紹介しましょう。
「エボ・ディープ・レギュラー」の芳醇な香り

個人的に「エボ」の味わいで今回最も驚かされたのは、この「エボ・ディープ・レギュラー」です。レギュラータイプはメンソールのミントやフレーバー系の果実味のような個性がないので、キック(ノドへのアタック)の強さやウッド調なスモークの濃さが焦点かと想像していましたが、それ以上に印象的だったのは香りです。

例えるなら、クレームブリュレの表面を炙ったときのような、芳醇なメイラード反応(還元糖とアミノ化合物が加熱によって化学反応を起こし、メラノイジンと呼ばれる褐色物質を生み出す反応のこと)を思わせる、キャラメルやバタースコッチ的な香り。それは高級葉巻とも形容できる、きわめてセレブリティなおいしさです。
「エボ・コールド・メンソール」の爽快感

「エボ・コールド・メンソール」にも、ワンランク上の吸い心地を感じました。ファーストインプレッションは、鮮烈なミントの爽快感。そこからすぐに豊かなタバコ葉のうまみが寄り添い、それぞれが一体となって優雅なフィールに包まれます。

これは、タバコ葉とミントがともに高品質かつ、優れた技術でブレンドされていることがわかるおいしさ。メンソールは力強くもトゲトゲしさは一切なく、タバコらしいまろやかな余韻も感じられます。
「エボ・ベリー・クリスタル」の甘味と酸味

フレーバー系は、加熱式タバコスティックでは特に人気が高いジャンルで、レギュラーが人気の紙巻きタバコとは違うことが特徴。事実、「プルーム」の「メビウス」と「キャメル」ではフレーバー系のラインナップが最も充実しており、「エボ」でも今後優先的に拡充するのはフレーバー系だと予想できます。

「エボ・ベリー・クリスタル」がモチーフとしている香りは、ラズベリーやカシスといったフルーツ。しっかりした甘さにフレッシュな酸味が寄り添いつつ、そこにメンソールの清々しい爽快感とタバコ葉の絶妙なコクが調和。トータルで、ジューシーかつエレガントな味わいに仕上がっていると感じました。
各モードやデバイスごとの味の違いなどをチェック
続いてチェックしたのは、「プルーム・オーラ」の大きな特徴である加熱モードの違い。先ほど軽く触れましたが、具体的には「ヒート セレクト システム」という機能によるもので、これはBluetooth接続でデバイスとスマホをつなぎ、アプリから設定変更できます。

加熱モードの違いは、実感値でもわかるレベル。「ストロングモード」は、レギュラーならキックやスモークの濃さが強く、メンソールでは爽快感が鮮烈に。フレーバー系では果実味をよりジューシーに感じられます。
そして逆に「ロングモード」では、それぞれの吸い心地がおだやかに。なお、「スタンダードモード」と「エコモード」の強さは同じですが、前者は1本当たりの喫煙時間に、後者は使用可能本数に対する優位性が高いモードです。

「エボ」「メビウス」「キャメル」を新旧モデルで吸い比べ
「プルーム・オーラ」に搭載された「スマート・ヒート・フロー」によって、「プルーム・エックス・アドバンスド」より雑味のない吸い味になったことは前述しましたが、今回発売された新スティック「エボ」を新旧モデルで比較してみたらどうか、吸い比べてみました。前者は「スタンダードモード」、後者は「デフォルトモード」でチェックします。

「エボ」は、飛躍的といえるほど大きな違いは感じませんでしたが、なんとなく「プルーム・オーラ」のほうが味の解像度は高い気がしました。ちなみにJTによると、特に「エボ」は「プルーム・オーラ」との組み合わせで最もポテンシャルが発揮されるよう設計されているとのこと。
続いて、「メビウス」と「キャメル」を「プルーム・オーラ」でテイスティング。まずは「スタンダードモード」で吸ってみると、「プルーム・エックス・アドバンスド」との差はなんとなく感じられる程度。具体的にはタバコ葉本来のうまみの伸びやかさ、メンソールや果実味のフレーバーが比較的引き出されている印象がありました。
より違いを感じられるのは、やはり「ストロングモード」。再び「メビウス」と「キャメル」吸ってみると、ひと口目から「おっ!」と思わされるほど、明らかにパワフルなテイストを楽しめます。
ふだんから「メビウス」と「キャメル」を愛用しているユーザーであれば、ポテンシャルがより引き出された味わいに、感動できるかも。いずれにせよ、「プルーム・オーラ」で新たに実装された加熱モードにより、さらに豊かなスモーキングライフを楽しめることは間違いありません。
「プルーム・オーラ」のお得な購入方法
タバコスティックの進化に関しても、「エボ」は「メビウス」と「キャメル」より明らかに高級感のあるおいしさであり、「プルーム・オーラ」のデビューによって、スモーカーの選択肢は確実に広まりました。コンビニなどでは7月1日から発売となりますが、公式のECや店舗ではすでに購入できます。「フリートライアル」なども用意されていますから、ぜひこの機会に試してみては?

よくある質問(FAQ)
Q.「プルーム・オーラ」と旧モデルの違いは?
A.主な違いは、加熱モードの種類、サイズのスリム化、味の解像度の高さです。特に「ストロングモード」や「ロングモード」の追加により、使用感が大幅に進化しています。
Q.「エボ」タバコスティックの味は?
A.「エボ」には3つの味(レギュラー・メンソール・フレーバー)があり、それぞれ香りや濃さの点でプレミアムな体験ができます。
撮影/鈴木謙介