アパレル業界の異端児・石川 涼とAV男優・しみけん。業界のトップを走り続ける2人のスペシャル対談が実現。初対面ながら意気投合する2人に、「仕事論」について語り合っていただくことにした。その内容はさすが一流の男たち、「なるほど!」と思わせるもの。なのだが、後半になると意外な共通点が浮かび上がってきた!
石川 涼 1975年生まれ。神奈川出身。20歳のときに上京。アパレル業界に入り、24歳でアパレルブランドを立ち上げ起業。10代~20代の男性に圧倒的な人気を誇るファッションブランド“VANQUISH”の創設者。衣料品および雑貨の卸売・販売(ネット通販事業、直営店事業)、店舗開発事業、メディア開発事業、ライセンス事業など多岐にわたるビジネスを展開する株式会社せーの代表取締役。
しみけん 1979年生まれ。千葉県出身。男優歴19年、出演作品8500本以上、年間500本の作品に出演する日本AV界のトップ男優。2005年東京オープンボディビル選手権大会60kg級6位。多くの雑誌で連載を持ち、「地下クイズ王決定戦!!」(BSスカパー「BAZOOKA!!!」)では2連覇を達成するなどマルチに活躍。著書に「AV男優しみけん 光輝くクズでありたい」(扶桑社)などがある。
アプローチはまったく違うがグローバル戦略を取る両者
編集部 おふたりは今日が初対面なんですよね。
しみけん でも僕は石川さんが以前やっていたMTRL(マテリアル)の連載の記事を、よく読ませていただいてたんですよね。
石川 僕もしみけんさんはよく観ていてます。
しみけん えっ! AV観るんですか?
石川 観てます、観てます(笑)。
しみけん あっ、自己紹介していいですか。男優歴19年、出演作品8500本。経験人数9千人。AV男優、しみけんです!
石川 あはは、最高っすね! 僕も24歳で独立して。だからいま、18年目。しみけんさんと一緒ぐらいですね。「ヴァンキッシュ(VANQUISH)」が始まったのが29歳のころですね。
しみけん ずっとアパレルなんですか?
石川 そうですね。僕らの時代はそれしかなかったから。洋服か、バイクか、クルマか、みたいな。そういう時代だったんでね。
しみけん 今日、石川さんに会って、まず聞きたかったことがあって。
石川 なんですか(笑)。
しみけん なんのクルマに乗ってるのかを教えてもらいたくて。僕、乗ってるクルマを見ると、その人のセックス観がわかるんですよ。
石川 マジっすか(笑)。昔は外車に乗ってたんですけど、いまは古いランクル(ランドクルーザー)です。
しみけん 行き着いた先がランクル。しかもレトロな。四駆、デカいクルマに乗るのは、野性的な女性、おしりの大きいコが好きなんですよね。
石川 たしかにそうかも。
しみけん で、フェラーリとか、ぺったんこのクルマを乗ってる人っていうのは、派手な女のコが好きなんですよ。モデルやってるコだったりね。
石川 あはは。僕がランクルに乗るようになったのは理由があって、会社がグローバル化に向かっているからで、いま、作ってるものも渋谷に寄せて作ってるんですよね。渋谷のスカジャンとかね。
しみけん 横須賀でスカジャンだから、渋ジャンですね。ほんとだ、援交してるギャルのイラストが描かれてる。
石川 海外の人たちが好きな日本のものを紹介する形に、会社自体を寄せていってるんです。日本で人気かどうかじゃなくて、僕らの店でお土産的に買っていくというか。日本人がニューヨークのTシャツを着てるのと一緒で、そういう感覚で対象をグローバルに向けてるんです。
しみけん だからクルマも。
石川 そういう部分でも日本人として誇りを持ってやっていこうと思って。クルマも国産で、外国人に人気のあるモデルを探して乗ってます。
しみけん 理由があったんですね。でも外国人が興味を引く方法を取り入れていくって、ものすごい面白いですね。僕も以前、ツイッターで突然バズったことがあって、「AV男優の数は日本全国で70人ぐらいと、ベンガル虎よりも少ないんだ」って書いたんですね。いままで男優の少なさっていろんな人が提唱してきたんですけども、どれも「ふーん」で終わってたのが、それをベンガル虎に置き換えただけで、世界がバズり初めた。そこから、インディペンデントとか、ニューヨークタイムズ、AFPとかいろんなところから話が来たんですね。こんなにも海外にウケるんだってことが衝撃的でした。で、海外でウケると日本でも話題になるし。
石川 僕らがやってる海外戦略もまさにそう。外国人が買うと日本人も買ってくれるんです。日本ってタクシーに外国人が乗ってきても、英語をしゃべれなかったり、レストランのメニューも日本語しか書いてなかったり、対象がすごく内向きなんですね。そこにチャンスがあると思ったんです。これからは日本人だけじゃなくて、世界中の人に向けてビジネスしていかないと。日本人自体が少なくなっていってるんでね。
しみけん エロもそうなのかな。
石川 エロは万国共通だし、そもそもエロのほうが最強です(笑)。これ、僕が手がけてるライン「FXXKING RABBITS」のロゴステッカーなんですけど、うさぎのオスだけを取っていろんなものとファックできるんですよね。
↑「FXXKING RABBITS」のロゴステッカーhttp://vanquish.jp
しみけん こういうところまでひねられてる。なんか上から目線な言い方になっちゃうんですけど、石川さんはやっぱり人の興味を引くことに長けてるっていうか。
石川 こうすることで海外の人にもアグレッシブなブランドイメージが伝わるんですよね。
「仕事論って言われても……好きなことをしているだけですから ね」(しみけん)
しみけん セックスっていう大好きなことを仕事にしてるから、仕事論について話せって言われても、語ることが見つからないっていうか。
編集部 しみけんさんのストイックな体調管理は、仕事への向き合い方のひとつともとれますよね。
しみけん 僕、普段まったく遊ばないんですよ。酒もたばこもやらないし、みんなと騒ぐこともないし。いちばんやりたいことは仕事であって、好きなことは仕事、イコールセックスだったりするんでね。食事も手作りの弁当を持ち歩いてて、自分で「勃起弁当」と呼んでるんですけど。
石川 自分で作ってるんですか?
しみけん 作ってるし、別にゆでてるだけっていうか。ブロッコリーとか、トマトとか、オクラとか。こんなんなんですけど。
石川 もうアスリートじゃないですか。毎日これを食べてるんですか?
しみけん 毎日、10年以上続けてますね。でもこれをすると勃ちはよくなる。
石川 朝昼晩、食べてるんですか?
しみけん 朝昼晩晩晩、5食ぐらい食べてますね。これが主食っていうか。でもこれを食べつつ、ラーメン、焼き肉バンバン食べますけどね。
石川 すごいっすね。
しみけん 僕の1日を見てみると、腰振ってる時間と野菜を茹でてる時間がいちばん長いと思いますけどね(笑)。あと、よく「しみけんさんって、サプリメントなに飲んでるんですか?」って聞かれるんですよ。でも、最初に基本的な生活があってのサプリメントだと思うんですけどね。でもあんまり聞かれるから、チョリチョリロンロンってサプリを作ったんですよね。
↑チョリチョリロンロン。https://choriron.com
石川 あっ、あれね。僕も飲んでますよ。
しみけん えっ、普段飲んでいただいてるんですか! って、なんかちょっと通販番組みたいな話の流れになっちゃってますけど(笑)。石川さんのお店で扱ってもらえることになったんですよね。
石川 しみけんさんのマネージャ-さんがたまたま知り合いの友人で、会社に遊びに来たときにお土産に持ってきてくれたんですよね。めちゃくちゃ面白いなって。即決でやろうって決めて、「これ、卸しできないですか?」って話になって。うちのお客さんは若い男のコがメインだし、これをお店で売ってること自体が面白い。
しみけん 知らない男がいきなり謎の錠剤を持ってきたのに、よくはねのけませんでしたね。僕だったら即刻追い返しますよ(笑)。もちろんこのサプリにも効果があるんですけど、さっきの勃起弁当も大事なんですよね。
石川 日々の体調管理が重要ってことですか?
しみけん そうですね。あと股間により効果が出るのが屈伸運動。石川さんは運動ってやられてますか?
石川 ストレッチぐらいですかね。
しみけん ストレッチをやってるなら大丈夫です。自信がある人って、結構、股間の自信と比例してる人が多い気がするんですよ。英雄色を好むじゃないですけど。だから自信がある人は、決まって股間まわりの血流をよくするっていうのをやってる。戦国武将が厠でものごとを考えるって話がよくありますけど、和式トイレってこう、ヤンキー座りじゃないですか。
石川 たしかにスクワットと同じですもんね。自然と股間まわりの血流がよくなる。
しみけん 現代人の生活って、股関節が鋭角になるような動きがないんですよ。読者の人も、スクワットをやるべき。だけどそう言ってもなかなか続けるのが難しいですから、毎日、ヤンキー座りを1回でいいからやったらいい。じゃあ、いまからこの対談もヤンキー座りでやりましょうか。
石川 いいですよ(笑)
2人の共通点は「う●●味のカレー」と「ハチ公の●んこ」
石川 最近、お店のお客さんが50%以上外国人になってきたんです。そうすると渋谷に寄せたものや、日本酒なんかの和風っぽいものを置くと売れるんですよね。逆に洋服はネットショップに勝てない。わざわざ買い物に行って持って帰るのがめんどくさいからね。この先、近い将来、ショッピングに出かけるという概念がなくなると思うんですよ。
だから今後は、そこに行かないと食べれないとか、そこに行かないと体験できないみたいなものしか残れない。イメージ的にはお土産屋さん。最近はそういう感覚の店を目指してるんですよね。いま、伝統工芸を渋谷版に替えるっていうのをやってて。ちょっとギャグっぽいものを考えてます。「SHIBUYA」というオリジナルの香りを開発して、ボディクリームを作ったりね。
しみけん 石川さんが渋谷に固執する理由ってなんですか?
石川 自分の会社が渋谷で大きくなったから、そのストーリーが大事っていうか。渋谷で大きくなったのに浅草のものを作るのってヘンじゃないですか。
しみけん だからこそ渋谷に還元する。なるほど。ちゃんと何かに基づいて行動できるっていうのがすごいですね。僕もついこないだまで、う○こ味のカレーを出す店をやってたんです。食べたことある人が料理研究家を呼んで再現する。
ほぼすべての人が「う○こ味のカレーとカレー味のう○こ、どっち食べる?」って聞かれて曖昧な答えしか出せずにいたと思うんです。だからとりあえずう○こ味のカレーだけ作っちゃえば、答えが見えてくるんじゃないかって。
石川 なるほどね。
しみけん 料理研究家もよく付き合ってくれたなって思うんですけど。やってみると意外に一般の人に響きましたね。話のネタに食べに来てくれる。結構流行ってたんですけど、元々期間限定でやってたのと、まわりの店舗から臭いって苦情もあって閉店しました(笑)。
石川 ぼくも子会社の「晩喜酒」が渋谷109MEN’Sに期間限定で出店してるクレープ店で、ハチ公のう○こっていうメニューを出してる。ミートボールなんですけど。
しみけん あはは。そいういうわかりやすいのって外国の人にウケますよね。
石川 109の入り口でやってるんですよ。これ、4月までだったんですけど、好評で5月のゴールデンウィーク明けまでやることになりました。
しみけん やっぱり目の付け所が違いますよね。
“素直に”“とりあえず”やってみればいい
編集部 では、最後におふたりに質問なんですが、読者のなかには、なにかをやろうと思っても、枠を飛び越えられない人が多いと思うんですよね。そういった枠にとらわれないで生きていくにはどうしたらいいのでしょう。
石川 素直に生きるだけですね。やりたいと思ったことをやる。自分が興味を持ったらやるっていうか。よく学生さんとかで、なにしたらいいかわかんないとか言ってる人がいるけど、そんな人は、ほっといたらいいと思うんですよ。
すくい上げてやる必要はないし、手を差し伸べてやる必要もない。僕らの業界も若者のデザイナーを支援するプロジェクトがよくあるんですけど、そんなことで成功してる人はいないんですよね。やるやつは勝手に自分でやって頭角を現すんでね。だから目標がないとか夢がないとか言っても知らねえし! やったやつが掴むんだよっていうね。
しみけん とりあえずやってみるってことは大事ですよね。いまはSNSがすごく発達してるから、全員に成功のチャンスがめちゃくちゃ広がってると思うんですよ。なにやっていいか迷ってる人は、自分がなにやってるときが楽しいのかってことを考えてみる。たとえばオナニーが楽しいなら、無料のブログにオナニーのこと毎日アップしてみたらいい。そこで「いいね!」がひとつ付いたときの喜びって半端ないと思うんですよ。そんなふうに、なんでも行動は起こせると思うんですよね。まずは趣味に関する無料ブログとツイッターアカウントを作るところから初めてもいいんじゃないかなって思いますね。
石川 しみけんさん、やっぱ面白いですね! 今後、一緒になにかやっていきたいです。
しみけん 嬉しいです。ぜひ、やりましょう!