インターネットが世論を動かす。先週、このような趣旨を含むレポートをトレンドマイクロが発表しました。実際、フェイクニュースや過激なコンテンツは、真実よりも強く、人の感情やモチベーションを動かす可能性を含んでいます。
また、インターネットが過激思想を広めるひとつのツールとなっていることから、世界一の検索エンジンGoogleや、傘下のYoutubeなどに対する風当たりが強くなり、3月には広告主がボイコットするという事態も発生しています。
そして6月18日、Google社の法務顧問であるケント・ウォーカー氏が自社のブログ内でテロ関連コンテンツに関する具体的な方針を発表し、大きな話題となっています。
とうとうGoogleがテロ対策に本腰を入れ始めた!
ケント・ウォーカー氏がGoogleブログ上に発表した内容によれば、これまでも会社方針に反するコンテンツに対応してきたものの、テロ対策については強化の必要があるとし、今後4つの方法を通じてテロ関連コンテンツの削除を強化すると表明。
具体的な対応策としては、画像解析技術によってテロを賛美する動画や画像を特定・削除すること。専門スタッフを大幅に増員し、過激なコンテンツの特定に努めること、方針の厳格化、Youtube内のISISの勧誘を含む動画を反テロの動画にリダイレクトする、など。
削除しても次々と新しいコンテンツが出現しますが、いずれはニュースサイトのISIS関連の画像と、テロ組織がアップした同じ画像を高い精度で見分けられるようになるようです。
情報を自由に取得できることと、過激な情報を制限することは一見、相いれないことですから、今後Googleは難しい判断を迫られる機会が増えると推測されます。
Googleのテロ対策を始めたことは歴史に残りそう
今回のGoogleの取り組みに対しての反響はさまざま。「これで雇用が増えるね」「テロを言い訳にして、大切なこともフィルターにかけてしまわないか心配だよ」「テロの定義はFBIにまかせよう」「それ、5年前にやってくれよ」「どうか テロリスト予備軍に担当者の名前を漏えいしないでおくれよ」など。
Googleの取り組みに対し、何かしら皮肉を言ってみたい気持ちが伝わってきますね。炎がボッと燃えあがるためには「燃料、酸素、熱」が必要。
冒頭のトレンドマイクロのリポートでは、偽のニュースで人をボッと燃え上がらせるための3つの要素は「動機、SNS、ツールとサービス」と分析しています。よって、動機を抱えた人の過激化を防ぐためのカギをGoogleが一部負っていることは否定できません。
先日、Facebook社もテロ対策の指針を発表しましたが、後から振り返ってみれば2017年はインターネットの歴史における転換点となっているかもしれません。