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2017/11/9 16:00

少女マンガにおけるヒーローを見習え! “らしさ”に不安を抱く女性たち

覗けば深い女のトンネルとは? 第47回「女らしさが苦手な女性たち」

 

たまに男性から「女に見られないよりはいいでしょ」と言われることがあります。女として見られて嬉しい女性もいるようだけど、和久井はかなり気持ち悪いと思ってしまいます。

 

例えば先日、精神科医の性的搾取に関する文春砲が話題になっていましたが、この被害者の女性たちにも同じことを言えるんでしょうか。これは極論ぽくなっちゃうけど、好きでもない男性から性的な目を向けられたり、自分の好意を利用されたりすることが、大きな損害につながることもあるんです。

 

少女マンガには、女っぽいことが苦手な主人公がたくさん登場します。古くは「キャンディ・キャンディ」や「つらいぜ!ボクちゃん」、現代なら「アシガール」など、枚挙にいとまがありません。女らしいことがとことん苦手で、ボーイッシュな主人公のお話です。そして女であることを全面的に主張しているお色気キャラは、悪役であることが多いです。

 

数年前、雨宮まみさんの「こじらせ女子」という言葉が一世を風靡しました。それまで、ボンヤリしていた自分たちの思いにピシャッと名前がついて、「そうだ、これだったんだ!」と多くの女子が共感したのでしょう。

 

和久井も下ネタは平気なのにけっこうこじらせているほうで、男性から「初対面のときからしたいと思った」「これ以上一緒にいるとしたくなっちゃう」などと言われて「ウゲ……」と思ったことがあります。

 

そうした「女として見られること」への嫌悪感は、何も知らない思春期のころから経験する、セクハラめいた事柄によるところが大きいのではと思います。もちろん、それらを悠々とやり過ごし、逆手に取る人もたくさんいますが。

 

「BLACK BIRD」や「愛と欲望の螺旋」といったエロ表現に積極的なマンガですら、途中で主人公がなんども「この人は、私の身体が目的なんじゃないかしら……?」と不安になります。ヒーローがこれでもかこれでもかと精神的な愛情表現を繰り広げるにもかかわらず、です。そしてそのたびに、ヒーローたちは「俺はお前の身体だけじゃなくてすべてを愛しているんだ!」と身を挺して主人公を守り、行動で示します。そうしてようやく主人公は少しずつですが安心していきます。そのヒーローの心の砕きようったら、女目線で読んでいる和久井ですら「大変そうだなあ」と思うほどです。

 

男友達から、付き合っている女性に「あなたは私の身体が目当てなの?」と怒られたという話をなんどか聞いたことがあります。身体を求めることそのものは愛情表現ではありません。毎度毎度サカられたら、そりゃ女性は不安にもなるでしょう。デートもなし、会話もなしで毎度会うたびならなおさらです。

 

以前、好きな男性がいるという女友達に「あれからどうなったの?」と何気なく聞いたら「胸くそ悪い展開だったので話したくない」と言われたことがあります。彼女は深夜に呼び出されたりしていたので、どんなことが起きたのか、なんとなく想像がつきました。

 

和久井の女友達で、めちゃくちゃカワユイ女子がいます。でも彼女はとことん女性的な魅力を排除してる感があります。常々もったいないと思っていたのだけど、先日こんなことを言っていました。

 

「男性からチヤホヤされるたびに上司から『いい気になるな』と怒られた。女らしさを捨てて女扱いを受けなくなってから、上司に怒られることも、人間関係でこじれることもなく良好。とても仕事がやりやすい」

 

「女らしい」「女扱いされる」ことがマイナスになることもあるんです。仕事に真剣な女性ほどそう感じることが多いのかもしれません。

 

和久井は以前、ビジネスで知り合った男性から、仕事を紹介してもらったことがあります。とても大きな仕事だったのでウキウキがんばっていたのですが、その会社では和久井とその男性がなにか関係があるんじゃないかと噂になっていたそうです。ホント勘弁してほしいですが、フリーランスやってるとこの手の話はよくあります。引き換えババア然としていると痴漢にも遭わないし、おっさんからセクハラもされないし、たいへん生活が楽ちんになりました。

 

「AVはファンタジーだ。当たり前だろ」という男性たちは多いですが、ホントにわかってるのかな? と思うこともしばしばあります。なんか、すごく性に関して楽観的というか……。そもそも楽観的に作られているのが男性向けのエロだそうですが、一方の女性向け媒体では、それほど安易に性を捉えていない場合が圧倒的です。

 

「少女マンガに抵抗がなく、読む習慣がある男性はモテる」は和久井の持論ですが、パートナーが女性であるなら、その女性目線をきちんと仕入れてほしいなあと思っています。