少し前のデータになりますが、2012年1月にアニコムホールディングスが実施したアンケートで、68%の動物病院でおよそ1か月に1~2回以上は誤飲したペットが訪れるというデータを発表しています。実際、自分の犬や猫が何かしらの異物を飲み込んでしまい、慌てて動物病院に連れて行った、という経験がある飼い主も多いのではないでしょうか? 今回は、ペットの「誤飲」について、意外な危険を解説します。
「こんなの、飲み込まないだろう」は禁物!
誤飲は消化できるものであれば、経過観察で問題のない場合も多いです。しかし、異物の種類や時間経過によっては、直後は元気であっても、急に容態が悪くなり、命にかかわる重大な状況に陥ることも。
特に、“こんなもの、まさか飲み込まないだろう……”と軽く考えるのが禁物。たとえば、アメリカでは毎年、獣医師が実際に診断した珍しい誤飲の事例がまとめて発表されており、そこには子どもが遊ぶ小さなおもちゃから化粧品のボトル、魚釣り用のオモリまで、予想外のものが数多く並んでいます。
もちろん、それらは極端な例ではあります。が、留守番をさせるときなどには、犬や猫にとって危険なものや口に入りやすい大きさのものを出しっぱなしにせず、しっかりと管理することが人間とペット、両方の幸せにつながります。
とりわけ危険なのが「ひも状異物」
ペットの誤飲は、大きく分けて「異物」と「毒物(中毒)」の2種類があり、前者でとりわけ死亡例が多いのが「ひも」です。猫が毛糸の玉で遊んでいるシーンを様々な作品などで見かけることがありますが、実は危険! 「ひも状異物」という言葉があるくらい、異物のなかでも特殊な症状を引き起こします。
ひもは腸に絡まりやすく、一度絡まってしまうと腸がアコーディオン状の動きをする際に、たぐり寄せられるようにギュッと圧縮されてしまいます。そのような状態が長く続くと、やがて血流が止まり、腸の壊死を引き起こすのです。そこまで容態が悪化すると、手術で腸の一部を切除する必要があり、一命は取り留めたとしてもペットの身体には大きな負担がかかることになります。
「もしかして誤飲!?」と思ったら、ただちに動物病院へ
誤飲が非常に厄介なところは、短時間では症状が現れにくく、飼い主が気付かない限り、発見が遅れがちなところ。また、ネットなどでも誤飲をしてしまった際の対処方法は紹介されてはいますが、飲み込んだものによって適切な方法が異なり、飼い主さんもパニックで正しい判断ができなくなりがちです。
万が一、誤飲の疑いがある時は、家庭で判断されるのではなく、できるだけ早くに病院に連れて行き、獣医師の診断を受けるようにしてください。
次回は「誤飲」と同じくらい、場合によってはそれ以上の危険性のある「中毒」について解説します。たまねぎなどの植物は広く知られているところですが、実は誰もがやってしまう可能性があることが「中毒」につながるので、要注意です。