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2016/5/1 20:00

観葉植物だけじゃない! ペットの中毒症状で最も怖いのは人間用の○○○

身近にある犬や猫にとって中毒の危険性があるものといえば、皆さんは何を思い浮かべますか? おそらく多くの人がユリ類やアジサイ、シクラメンといった「観葉植物」を想像することでしょう。が、実はそれだけではありません。今回は、前回取り上げた「異物」と並んで、ペットの誤飲で多い「中毒事故」について解説します。

 

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ユリ類やアジサイだけじゃない! 危険な観葉植物は200種類以上!!

普段からユリ類やアジサイ、シクラメンといった植物を家庭内に置かないようにしているという方も多いかと思います。だたし、犬や猫にとって危険な植物が、そういった比較的ポピュラーな品種だけでなく、実は200種類以上あることは残念ながらあまり知られていません。

 

観葉植物を誤飲しやすいのは、犬や猫が遊びの延長でかじるほか、胃や口の不快感を解消するために食べるため。また、猫は毛玉を吐き出すために、葉が細い草類を好んで口にする習性もあります。

 

植物中毒は摂取してしまった量に加え、健康状態や年齢などによって発生する症状は異なります。消化器症状としては下痢や嘔吐、血便。神経症状としては痙攣や意識障害などの症状が見られ、場合によっては死に至ることもあります。もし万が一、植物を食べた形跡があったり、いつもと様子が違う場合は、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。

 

ヒト用の医薬品を間違えて飲んでしまうケースが中毒事故の第1位

植物中毒以上に発生頻度が高く、重大な事故になりがちなのが「人間用の医薬品」です。ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)の発表によると、アメリカ国内のペットの中毒事故は人間用の医薬品が第1位で、その多くは人間が故意に与えたものではなく、室内で放置していたり、気付かずに落としたものをペットが誤って食べたことが原因でした。

 

人間用の医薬品は、体重が50kgや60kgある生物が飲むことを前提にしています。それを体重が2〜3kgの犬や猫が飲むということは、20倍や30倍の量を飲むのと同じことで、当然、それだけ強い中毒症状を引き起こします。

 

また、アメリカの医薬品は誤飲を防ぐために厳重な包装が採用されているのに対して、日本の場合、多くの医薬品は簡単に取り出せる仕様になっています。そのため、ペットがパッケージに入ったもので遊んでいるうちに、中のクスリを誤って食べてしまうというようなことも起こりがちです。

 

冬場は特に要注意! 甘い香りがペットを引き寄せる「不凍液」

ほかにも、危険性があまり認知されていないにもかかわらず、犬や猫が摂取しがちなものに、エンジンの冷却水が凍結するのを防ぐために用いる「不凍液」があります。

 

不凍液の主成分であるエチレングリコールは甘い味と匂いがするため、犬や猫は好んで舐めたがります。ただ、その毒性は非常に強く、小型犬や猫の致死量はわずか数グラムです。ひとたび体内に入ると重篤な腎障障害を引き起こし、多くの場合、死に至ります。

 

いずれにしろ、犬や猫は自分で中毒性の有無を識別することはできません。不慮の事故を防ぐためにも、ペットの手や口が届く範囲には中毒事故の原因となるものを置かないように心がけてください。

 

聞き手/井上ダイスケ