強打の捕手として千葉ロッテマリーンズで16年間プレーし、2度の日本一に貢献。2006年のWBCでは正捕手として世界一&大会ベストナインも受賞した里崎智也さんが、読者の悩みをズバッと解決する。先輩のルーズさを改善するにはどうすべき?
【今回のお悩み】
尊敬する先輩はルーズなところが玉に瑕です。角を立てないよう改善してもらうためにはどのような対策を取るのが良いでしょうか?
3歳上の先輩(男性)と商品企画のチームを組んでいます。クリエイティブ能力が高く尊敬していますが、資料の提出期限を忘れたり、大事な会議に遅刻したりと、だらしないところがあります。チームの仕事に支障が出るため改善してほしいのですが……。面倒を見てくれる先輩なので、角が立たないように指摘したいです。
(30代・男性・会社員)
「募金制」を導入すればチームの雰囲気も改善する
「募金」制度を作るのはどうでしょうか。先輩が遅刻などのミスをしたときに、500円とか1000円を募金してもらうというシステムです。プロ野球でもそういったルールを設けているチームは多く、プールしたお金はチームの宴会費用として使ったり、ゴルフコンペの景品代に充てたりしていました。
コンプライアンスが厳しいこのご時世なので「罰金」だとマズいかもしれませんから、「コミュニケーション募金」とか、そんな名目が良いんじゃないでしょうか。いずれにしても、チーム皆のために使われるのであれば、支払うほうも納得しますよ。一緒に働いているスタッフからしても、ある程度はこの制度によってスッキリするでしょう。遅刻を繰り返している人に対してまったくペナルティが与えられないようでは、チームの雰囲気は悪くなる一方ですからね。もちろん、不測の事態が発生したときや、事前に連絡してきた場合などは免除すれば良いと思います。
先輩に対して「遅刻はもうやめてください」と言うのはかなり難しいことです。でも、それなりに関係値のある間柄なら「次に遅刻したら募金ですよ」と言うくらいならいけるでしょう。そもそも遅刻したり、提出期限に遅れたりするなんてことは社会人として言語道断ですから、「募金」を提案されて嫌とも言えないと思います。嫌なら遅刻するなってことですから。
プレミーティングを入れて本会議への遅刻をなくせ
僕もそうなのでよくわかりますが、ルーズな人間はそのことを指摘されてもなかなか改善しないものです。13時集合と言われたら、12時59分59秒までに行けば良いと思っていますからね。
僕はたまたま、全体練習の前にトレーニングやマッサージなどを自主的にやっていたため遅刻はしませんでしたけど。プロ野球でいうと、真偽は不明ですが、元読売ジャイアンツの松井秀喜さんが遅刻魔として有名でした。チームメイトではなかったので詳しくはわかりませんが、きっと罰金も徴収されていたことでしょう。まあ、年俸が数億円の松井さんと違って、普通の会社員ならたとえ1回500円でも何度も遅刻を重ねれば痛いはず。募金制は意外と効果があるかもしれません。
募金制の導入が難しければ、例えば会議の前にプレミーティングを入れるのはどうでしょう。そのミーティングに多少遅れても、本会議には間に合うという戦略です。先輩に納得してプレミーティングへ来させるには、仕込みが結構大変ですが……。
それでもダメなら、もう質問者さんが先輩との待ち合わせで大遅刻してみてください。待つ側の気持ちを少しは理解してもらえるかもしれません。
【これで下克上せよ!】
「ルーズな奴を改心させるのは難しい。逆手に利用してメリットを得るべし」
今月の野球“知っ得”ネタ!!
巨人軍時代の松井秀喜は実は遅刻魔ではなかった!?
読売巨人軍には「ジャイアンツタイム」という30分前集合のルールがあり、松井秀喜さんはそれに遅れがちだった。集合時間よりは前のため、厳密には遅刻でなかったが、ルールはルール。チーム内では遅刻という扱いになっていた。
【PROFILE】
里崎智也さん
1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工、帝京大を経て98年ドラフト2位でロッテに入団。05~10年まで6年連続2桁本塁打を放つなど、強打の捕手として活躍した。現在は野球解説、講演活動、執筆などマルチに活躍中。
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文/山西英希 撮影/佐坂和也 ヘアメイク/宮田裕香子 スタイリング/佐々木誠 題字/道口久美子
衣装協力/ザ・スーツカンパニー 新宿本店