強打の捕手として千葉ロッテマリーンズで16年間プレーし、2度の日本一に貢献。2006年のWBCでは正捕手として世界一&大会ベストナインも受賞した里崎智也さんが、読者の悩みをズバッと解決する。賃金アップ交渉を円滑に進めるコツはあるか?
【今回のお悩み】
入社から3年、ほぼ給料が上がっていません。今年こそアップ交渉をしたいのですが契約を切られてしまわないか心配です……。
ある大手企業に契約社員として約3年勤務しています。契約は1年ごとに更新で、給料は年俸制です。入社当初と比べると当然スキルは向上し、業務量もかなり増えましたが、給料はさほど上がっていません。次の契約更新時に値上げ交渉をしたいのですが、あまりゴネるとクビを切られるリスクもありそうで悩んでいます。
(20代・男性・会社員)
信頼できる上司に相談して正社員登用の道を探るべし
契約更新が毎年あって、延長するも切られるも会社のさじ加減なんて、まさにプロ野球選手と同じ環境じゃないですか。プロ野球選手は結果を出している限りクビになることはないですから、ある意味では質問者さんのほうがキツいかもしれませんね。そのなかで3年間も勤務しているということは、よほどその会社もしくは業務を気に入っているのでしょう。しかし、能力があるにも関わらず正社員に登用しようという話が出ないのなら、はっきり言って、会社のいいように使われているだけ。
質問者さんの待遇について具体的にはわかりませんが、少なくともいまの給料に不満があるならば、すぐにでも行動を起こすべきです。といっても給料アップの交渉ではありません。その会社で正社員になる道を模索しましょう。3年も働いていれば、自分が信頼できて、自分のことを信頼してくれている上司や先輩がいるはず。その人に相談して、正社員にしてもらえる可能性があるのかどうかを探ってもらえばいいのです。
大手企業だからといって契約が続く保証はない
もしその可能性がないならば、転職してでも正社員にしてくれるところを探すべきだと僕は思います。いま勤めている会社が大手企業とはいえ、いつまでも契約し続けてくれる保証はありませんから。遅かれ早かれその会社を辞めるときがくるなら、いまのうちに転職先を探したほうが賢明です。質問者さんは20代で体力もあるでしょうし、契約社員として働きながらでも就職活動はできますよ。せっかく大手企業で3年も働いたわけですから、自分はこういう会社でこんなスキルを身に付けたと、これまでの経験をウリにすればいいんです。これまでの業務で関わった企業に魅力的なところがあれば、そのときのコネを使ってアプローチするのもいい。
契約社員のままでどうしてもその会社に残って働きたいのであれば、給料アップのことは考えずにおとなしくしているべき。会社にとって、契約社員のクビを切るのは簡単です。ヘタに賃上げ交渉などして面倒な奴だと思われたら、質問者さんが心配するように契約を切られる可能性もあります。与えられた仕事を文句も言わずに淡々とこなしてさえいれば、しばらくはいままで通りやっていけるでしょう。それでも、景気や会社の事情によって立場や状況が変わることは十分考えられますけどね。
給料アップを目指して茨の道を行くか、諦めておとなしく会社に残るか。結局のところ、大切なのは自分の気持ちです。何のために働いているのかをじっくりと考えれば、どう動けばいいのか明白になりますよ。
【これで下克上せよ!】
「給料アップではなく正社員を目指せ。いまの会社でムリなら転職しよう」
今月の野球“知っ得”ネタ!!
あの「甲斐キャノン」もかつては年俸200万円台!
プロ野球には、一軍の試合に出場できない「育成選手」が存在する。その最低年俸は240万円と厳しいが、昨年の日本シリーズでMVPを獲得した福岡ソフトバンクホークス・甲斐拓也選手のように、“育成上がり”のスターも生まれている。
【PROFILE】
里崎智也さん
1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工、帝京大を経て98年ドラフト2位でロッテに入団。05~10年まで6年連続2桁本塁打を放つなど、強打の捕手として活躍した。現在は野球解説、講演活動、執筆などマルチに活躍中。
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人生、仕事、恋愛、お金など、里崎さんに聞いてもらいたいお悩みを募集しています! 詳しいお悩みを次のアドレスまでお送りください。getnavi@gakken.co.jp
文/山西英希 撮影/佐坂和也 ヘアメイク/宮田裕香子 スタイリング/佐々木誠 題字/道口久美子
衣装協力/ザ・スーツカンパニー 新宿本店