「100年に一人の逸材」として、現在のプロレス人気の立役者となった新日本プロレスの棚橋弘至選手。ブログやSNSなどで評判となっている家庭人としての顔が評価され、このたび2016年のイエローリボン賞(ベスト・ファーザー賞)の一人に見事選出されました。今回は受賞を記念し、棚橋選手に棚橋流の子育て論をうかがいます!
ベスト・ファーザー賞の受賞で「人は変われる」ことを身を持って示せた
ーー棚橋選手、ベスト・ファーザー賞受賞おめでとうございます!
棚橋 ありがとうございます!
ーー昨年、プロレス大賞を受賞した時に、「プロレス大賞の次はベスト・ファーザー賞」と公言してましたが、宣言通り、みごと受賞となりました。
棚橋 あ、いってましたねえ。でも、ベスト・ファーザー賞は自分では一番想像しにくい賞でしたから。ベスト・ファーザーっていうのは、イメージが大事じゃないですか。たくさんの方々が棚橋に対して、どういうイメージを抱いているか、というのが。僕は若い頃は、ヤンチャの限りを尽くしてまして(笑)。「チャラ男」と呼ばれてましたし、イメージもすごくよくなかったんですね。なので、そのときの棚橋からは「ホントにベスト・ファーザー賞遠いぞ!」ってぐらい(笑)の状態だったんですけど。それが今回、ベスト・ファーザー賞の受賞ですからね。「人って変われるんだな」ということを証明したというか。たとえマイナスがあっても、コツコツ積み重ねることによってゼロに戻せるし、プラスに持っていけるというところを身をもって示せました。いやあ、うれしいですね(笑)。
大きい目標を公言しそれに向けて策を練るのが棚橋方式
ーーしみじみと受賞の喜びを噛みしめてますね。
棚橋 今回の賞は、プロレス界のみならず、世間から見た棚橋という人間のイメージだと思うんで、これまでのイメージを変えられたなと思います。
ーーご自身は、今回の受賞の要因はどこにあったと考えておられますか?
棚橋 それはベスト・ファーザー賞を取ると公言してたからじゃないですかね(笑)。大きい目標を口にして、それに向けて、策を練るという棚橋方式。
ーーアメブロでは、お子さんとの仲むつまじい姿をよくアップされていました。ネットでも評判になっていますけど、もしかしたらその辺りもベスト・ファーザー狙いで?
棚橋 狙ってました(笑)。僕はベスト・ファーザー賞がほしくて、獲りに行きましたから。
ーーおお! ベルトを獲るかのごとく!
棚橋 そうです、プロレスラーらしく。試合の組み立てですよね。例えるなら、序盤のレスリングから中盤の膝攻め、そしてクライマックスの大技攻勢といった感じですね。
ーーその試合の組み立て方が見事にハマって、受賞に至ったと。
棚橋 最近は、旗持ち当番のツイートばっかりしてますからね(笑)。
よく笑う母を見習って常に笑顔でいようと決めた
ーー棚橋選手のお母さんもいつも笑ってハツラツとした方だったそうですが、その辺り、ご自身の子育てにも通じるものはあるんですか?
棚橋 幼稚園の頃に送り迎えとかして、園庭まで入って親御さんの様子を見てると、よく笑うお母さんやお父さんのお子さんはよく笑うんですね。逆にムスッとした感じの親御さんだと、お子さんも似てくるというか。自分の小さいころを思い出してみると、そういえばウチの母ちゃんよく笑う人だったなあと。だから、俺も常に笑い顔でいようと。家の中ではおもしろい話をして、子どもにつっこませるみたいなね。親として、できる限り笑顔でいようというのは気をつけてますね。
父親と母親の意見が違うと子どもが困惑する
ーー子どものしつけに関して、棚橋選手が難しいなと思うところはどんなところですか?
棚橋 「やさしい」と「甘い」が一緒くたになってしまっているかなと。僕は小さい頃は甘やかされていたので、子どもに対して「何やってもいいよ」みたいなところがあるんです。今になって、僕自身が嫁さんにしつけ直されてるところがあって(笑)。そういうなかで、「甘やかすのとやさしくするのは違う」と嫁さんにさんざんいわれてまして。「こっそりお菓子を買ったり、ジュースを買ったりするのはやさしさじゃないよ」と。
ーー子どもに甘いお父さんに対し、しっかりしめるのが奥さまという感じでしょうか。
棚橋 今はケガで休んでますけど、普段、なかなか家に帰れないことが多いので、嫁さんが子どもを怒る機会は多くなりますよね。ただ、母親も怒って、父親も怒ってとなると、子どもも逃げ道がないというか。だから、そこで父親の振るまいが大事になってくる。「ママを否定しない」っていう。「ママの言い分はすごく正しい、けど、アレだよね」という感じで、子どものガス抜きをしてあげる。そこで大事なのは、父親と母親の意見が食い違っていないこと。父親と母親の意見が違うのが、子どもが一番困惑することだと思うんですね。ママは「ダメ」といってるけど、パパは「いい」ってなると、「じゃあ、どっちなんだ」となってしまう。だから、ママが叱った内容に関してはママは正しいよと。けど、そこにエクスキューズをつけてあげるのが、父親の役目というか、いまの棚橋家のシステムですね。
スイッチをパチッと入れて怒ることもある
ーーちなみに、棚橋さんのお父さまはどうだったんですか?
棚橋 僕の家では父ちゃんはとにかく静かだったですね。あまり口も出してこない。だけど、母親じゃ手に負えないような兄弟ゲンカだったりとか、他の子に迷惑かけたりしたときには、父ちゃんが出てくるんです。すっごく怖いんですよ。だから、「父さんは怒らせちゃいけない」というのは僕のなかにありましたね。母親の注意を聞かずに、兄弟ゲンカを続けてたら、兄弟2人で柿の木にくくりつけられたこともありましたし(笑)。母ちゃんで済んでるときはいいけど、父ちゃんが出てこないようにしないといけないと、いつも思ってましたね。その影響か、嫁さんから「パパからもいって」っていわれたときは、スイッチをパチッと入れて、いつもより声のトーンを1トーン落として。「てめえ、このやろう」(笑)っていうのはありますね。父親が出てきたときは、本当に悪いことしたんだなっていうような。
子どもの言葉遣いを決めるのは親の言葉遣い
ーー棚橋選手には、「子どもがこれをやったら怒る」というものはあるんですか?
棚橋 「言葉遣いには気をつけろ」というのはいつもいってますね。「ムカつく」とか「ウザい」とか、よくない言葉っていっぱいありますよね、そういう人が聞いて気分が悪くなる言葉を使った時は叱ります。でもね、そういう悪い言葉遣いもどこで仕入れてくるかというと、テレビよりは家の中で使われているかどうかなんですよ。つまり、親が使ってるかどうかなんです。「ウザい」って言葉を親が日常的に使ってたら、子どももそういう言葉を使いますよ。
ーー棚橋選手も、そういうよくない言葉は意識していわないようにしているんですか?
棚橋 悪い言葉は極力使わないようにしてますね。リングに上がったら「てめえ、ぶっ殺してやる!」っていいますけどね(笑)。
感謝のない態度に本気で怒ったことも
ーー今までお子さんに本気で怒ったことはどんな時でしたか?
棚橋 娘が中1なので、母親と本気ゲンカをするんですね。娘はバレエを習ってるんですけど、母親がバレエの送り迎えだとか、衣装の調整とか、舞台の段取りだとか、リハーサルの打ち合わせとか、全部やってるから、娘はバレエができてるのに、感謝のない態度を取ったので、そういうときはホントに怒ります。「ママがいるからバレエができるんだよ!」って、一回すごく怒ったことがありますね。
ーーその時、娘さんの反応は?
棚橋 あまり僕が怒ったことがなかったので、びっくりしてたというか。まあ、次の日「きのうごめんな」っていっておきましたけどね。
ーーその辺のフォローも忘れないわけですね。中1ですと、年齢的にも親に反抗しがちな年頃ですもんね。
棚橋 たぶん、いま娘が僕から離れたら、もう戻ってくることはないと思うんで、とりあえず離さないようにしてますね(笑)。
ーー息子さんに本気で怒ったことは?
棚橋 息子はしたたかなので(笑)。やっぱりね、下の子はしたたかですよ。怒られてるお姉ちゃんを見てるから。あと、下の子は泣くって作戦を持ってますね。
ーーその作戦はお父さん的にはバレてるわけですね(笑)。
棚橋 「ああ、泣くだろうな」って思ったときに泣くんですよ(笑)。
後編では、棚橋選手が大事にしている言葉や、子どもに教えたいことが明らかになります。
後編はコチラ
【URL】
棚橋選手オフィシャルブログ http://ameblo.jp/highfly-tana/
新日本プロレス http://www.njpw.co.jp/