<9月1日は、防災の日!>
時代は進化している。それはテクノロジーだけでなく、防災に関しても同様だ。かつて家庭や学校で習った防災に関する情報は、すでに時代遅れかもしれない。年々、地震の恐れが高まり、水害が激甚化している日本――。さらに新型コロナウイルス対策も必須のいま、最新の防災メソッドに迫る!
※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。
軽率な行動が身の危険を招く!
大きな揺れに遭遇すると、どうしても心が焦ってしまう。パニックになって危険な行動をとらないように、被災直後の行動を確認しておこう。そのためのキーワードは、「揺れが収まるまで我慢」だ。
私が解説します!
パニックにならずにまずは身を守る行動を
災害発生時の行動について、家庭や学校などで教育を受けた人も多いだろう。しかし、情報は常にアップデートされている。地震発生時の“いま”の「常識」について、大木さんに教えてもらった。
「アラサー以上の方なら、『まずは火の元を消す』と習ったと思います。しかし、これは古い常識です。関東大震災の発生時に、火災で亡くなった人が多数いたことからの教訓だと思いますが、火を消すよりも、自分の身を守る行動をとるようにしましょう」(大木さん)
都市ガスやプロパンガスでは揺れを検知してガスを遮断する機能を備えているため、自分で火を消す必要はない。むしろ、揺れで熱湯や油を浴びる危険性のほうが高いのだ。そのほかに、どんなことを気にかけておくべきだろうか。
「揺れたらまず身の安全。火を消すのも、窓を開けるのも古い教えです。発災時に落ち着いて身を守れるよう、平時にシミュレーションしてみましょう。ほとんどの大地震では、強い揺れは10秒~1分くらいです。心を強くもって、まずはこの時間を無事にしのぎましょう」(大木さん)
地震が来たら、慌てて何か行動したくなってしまう。しかし、そこはグッと我慢。頭上の安全を確保しながら、揺れが収まるまで待つことが、被害を最小限にするためのメソッドなのだ。
そのときどうする!? 地震発生時にはこう動け
地震が発生したら、まずは何をするべきか。被災シチュエーション別に、初期行動のメソッドを大木さんにレクチャーしてもらった。
自宅で被災したとき
火の元には近付かず物が落ちてこない場所へ!
火の元から離れ、テーブルの下などの安全な場所に身を隠す。昔、避難経路を確保するためにすぐに窓を開けると教えられていたが、割れたガラスで負傷する可能性もあるため、揺れが収まるのを待とう。
【POINT!】家の耐震性を信じて落ち着いた行動を
「慌てて家を飛び出してしまう人もいますが、要注意。その結果として交通事故にあったり、落ちてきたベランダに潰されたりという被害も発生しています」
建物内で被災したとき
上から物が落ちてこないか確認。パニックにならないよう冷静に!
まずは上方を確認して落下してきそうなものがないか確認。逃げ場所がないときは、カバンなどで頭を守る準備をしよう。また、人が密集している場所では、将棋倒しなどの危険性もあるので周囲の行動にも注意を。
【POINT!】買い物カゴが簡易ヘルメットに!
「コンビニやスーパーなどで買い物中に大きな地震が発生したら、買い物カゴを被って頭を守るのもひとつの手。倒れやすい棚などからはなるべく距離をとりましょう」
屋外で被災したとき
歩行時はブロック塀を避けて揺れが収まったら丈夫な建物へ
電信柱や看板など、崩れ落ちてきそうな物からできるだけ遠ざかるようにする。また、周囲を見回して丈夫そうな建物を探し、揺れが収まったら、余震に備えて避難するようにしよう。
【POINT!】ブロック塀に潰されないように注意!
「いちばん危険なのは、質量があるうえに崩れやすいブロック塀。私は普段から近づかないようにしています。また、丈夫な建物の中は、外より安全なので避難して」
洪水が発生しそうなときは、躊躇せずに即避難!
水害が発生時に危険なのは、「自分だけは大丈夫」という思い込み。命は助かっても、自宅周囲が水没して、救助隊の世話になる恐れもある。「避難準備警報が発令されたら、『避難訓練』のつもりで避難を。『空振り』ではなく『素振り』と思えばいいのです」(大木さん)
■水害・土砂災害に関する避難情報
避難行動 | 避難情報 | |
警戒レベル1 | 災害への心構えを高める。 | 早期注意情報 (気象庁が発表) |
警戒レベル2 | 避難に備えて防災アイテムのチェックや、ハザードマップを再確認するなど避難行動を確認。 | 洪水注意報、大雨注意報など (気象庁が発表) |
警戒レベル3 | 避難に時間がかかる高齢者や障がい者、乳幼児のいる家族などは避難を開始する。 | 避難準備・高齢者等避難開始 (市町村が発令) |
警戒レベル4 | 速やかに危険な場所から避難先へ避難する。避難場所への移動が危険な場合には、近くの安全な場所や、自宅内のより安全な場所に避難する。 | 避難勧告、避難指示(緊急) (市町村が発令) |
警戒レベル5 | すでに災害が発生している状況。命を守るための最善の行動をとる。 | 災害発生情報 (市町村が発令) |
●内閣府(防災担当)・消防庁の発表資料より作成
Withコロナ時代の避難所で役に立つ「7つの備え」
家に倒壊の可能性や浸水の発生時に利用する避難所。しかし、新型コロナの感染拡大が収まらない現在では、“密”を気にして避難を躊躇する人もいるだろう。しかし、大木さんは「感染のリスクを考えても、命の安全を守るために避難所へ避難することをオススメします」と話す。そんなWithコロナ時代の避難所で必要な7つの備えを、大木さんの大学研究室が発信している。
大木研究室が提唱する7つの備え
1. タオルと紙石けんを持っていこう
2. 手回しラジオを持っていこう
3. 替え服を持っていこう
4. 予備のメガネを持っていこう
5. 非常食を持っていこう
6. ポリぶくろを持っていこう
7. 心がホッとするものを持っていこう
避難所であると便利なアイテム
[その1]避難所での検温は、自分用の体温計で
オムロン
電子体温計 MC-687
実売価格2508円
フラットな先端部が身体の熱をしっかり捉え、約15秒のスピード検温ができる。文字が大きく、暗い場所でも結果を確認しやすい。音に加え、光で検温終了を伝えるため、ざわついた場所でも使いやすい。
[その2]紙石けんを持ち歩いていつでも手指を清潔に
チャーリー
ペーパーソープ
308円
いつでも携帯できるポケットサイズの紙石けん。心がホッとするかわいらしいデザインも◎。ミントやラベンダー、ストロベリー、ローズなど、香りが異なる6種類のラインナップを用意。
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