ライフスタイル
2020/12/1 18:15

味付けのコツも! 家政婦・志麻さんが教える、家事を“楽しくラクする”10の秘訣

6. 無意識に食べないようにする、大皿料理の良さ

↑ケバブ ※『志麻さんちのごはん』(幻冬舎)より

 

フランスの家庭料理は、個々に盛り付けられたものを食べる和食とは違い、お鍋やフライパンごと出した大皿料理をみんなで取り分けていただくのが主流。ここには子どもたちへの食育的な考え方も含まれていました。

 

「盛り付けられたものを食べる方法だと、“自分のお皿にあるから食べる”だけで、どうしても食べることに無意識になりがちなんです。そうではなく、“食卓の上から自分が何をどのくらい食べたいか決めて自分の皿によそう”という行為が、食べることを能動的にするのだと思います。

 

“子どもたちにはこれを食べてほしい、もっとお肉ばかりじゃなく野菜も”とコントロールしたくなることもあるとは思いますが、子どもにだってその日の気分があるもの。栄養のことはその日のその食事だけで考えるのではなく、一週間でどのくらいどんな栄養が摂れたか、一か月ではどうか、という長期的な目で見てみるといいと思います。

 

毎食欠かさず野菜を何品目、ということに囚われすぎてしまうと、やっぱりそうできなかったときに苦しくなってしまいますよね。疲れた日はデリバリーに頼ればいいし、我が家でもそうしていますよ。栄養満点の食事でも、キリキリして作って急がせて食べるより、『もう今日は無理!』って潔く諦めて、何であっても楽しく食べられる方がいいと思いませんか?」(志麻さん)

 

7. オーブンから食卓までフライパンひとつで、洗い物を少なく

そんな志麻さん宅での夕食のメインメニューは、たとえばグラタンのようなオーブン料理やお肉の煮込み料理が定番。

 

調理に使う道具は、下ごしらえしたものをそのままオーブンにも入れられる、お鍋やフライパンのセット一式だけ。オーブン料理も煮込み料理も、できあがったものをそのまま食卓に出すので、洗い物がとても少なくて済むのです。

 

「グラタンや煮込みは手が込んでいると思われがちですが、実はオーブンとお鍋がほとんどやってくれるので、すごく簡単。オーブン料理は特に、焼きはじめてしまえば台所にいる必要もありません。付け合わせにするのは、先ほどお伝えしたように、さまざまな旬の野菜を茹でたもの。そのまま食べたり、好みのソースをつけたりしていただきます。副菜となると味付けしなくてはならないので手がかかるけど、茹でるだけなら楽ですよね。

 

子どもたちはそれにごはんも食べますが、わたしとロマンは食べないことが多いかな。パンを用意することもあります。お皿にソースを残すのはマナー違反だと、子どもの頃から教えられているフランスでは、お皿に残ったソースをパンで拭っていただく習慣があるんです。だから、パンがごはんの代わりに主食になるという意味合いではなく、お料理と一緒にちょっと食べるという程度の量なんですよ」(志麻さん)

 

8. 会話するために会う、食事する……フランスの暮らしに学んだおもてなし

ロマンさんが作ったイタリア風マカロニグラタン ※『志麻さんちのごはん』(幻冬舎)より

 

フランスと日本の違いは、働き方や時間の使い方にもありますが、子育て世帯は100%共働きですから、フランスでも誰もが忙しいのはさほど変わりません。そんな中でも料理することや食べることを楽しめているフランスの家庭では、おもてなしの様子も違いました。

 

「日本でのおもてなしって、調理を担当する人はずっと台所から出てこられなくて、ひたすら料理を作っている、というイメージがありますよね。わたしもロマンを連れて実家に帰ったとき、母は全然食卓に来られないくらい忙しく料理をしてくれていました。もちろんそれが悪いのではなく、日本でのおもてなしはそういうものだと教わって生きてきたように思います。

 

でもフランスでは、喋るために会うのだということに重きを置いているんです。料理はオーブンに任せて、買ってきたハムなんかを食べながらワインを飲んで喋る、というスタイル。料理をしていてはせっかくのゲストとの時間が取れませんから、食べるものにこだわるのではなく、顔を合わせる時間を作ることにこだわる、という感じでしょうか。

 

また、フランス料理はどんな年齢の人でも食べられるようなメニューが多いので、赤ちゃんや老人のために別のものを用意することもほとんどありません。離乳食用に別のものをつくることもしません。みんなで同じものを食べるから楽しい、ということをあらためて実感できる文化があります」(志麻さん)

 

9. 調理道具をシンプルにしておくことが掃除の手間を省く

続いてお聞きしたのは、オススメの道具のこと。片付けの負担をなくし、調理をスムーズにするためには、道具を少なくするのがよいのだそう。

 

「フランスではお箸を使わないので、卵ひとつかき混ぜるにも泡立て器を出すという、道具の多い料理なんです。でも、日本にはお箸というとても便利なものがありますよね。かき混ぜるのも炒めるのもひっくり返すのも何でもできて、ちゃちゃっと洗うことができるので、わたしはお箸一本だけで料理しちゃいます。ナイフとまな板も、このセットひとつしか使いません。お肉を切ったり野菜を切ったりしながら調理中に何度も洗うので、小さい方が楽なんですよね。使う道具は極力シンプルな方が掃除は楽ですし、いろいろ置くと収納や片付けが大変になるので、必要なものだけ置いています」(志麻さん)

 

10.“汚れは溜めずに今すぐやる!”のがキレイを保つ秘訣

家政婦になったばかりの頃は、掃除の仕事が多かったという志麻さんが、さまざまなお宅を見ていちばん気になったのは台所の排水口だそう。

 

「なぜか排水口がぬるぬるしていて汚いまま、という方が多くて、あそこに物が落ちると汚いと思っていらっしゃるんです。生ゴミって本来は、野菜の皮などの“もともと食べられるもの”ですから汚いわけじゃないのに、放置してしまうから雑菌が増えて、ニオイが出たりぬめりの原因になったりしてしまうんですよね。

 

“今度やろう”と思っていると、汚れが落ちにくくなって掃除にも時間がかかるので、汚れた瞬間に拭いたり洗ったりしておくと、きれいな台所を保つことができます。料理中は三角コーナーやポリ袋を用意しておき、生ゴミをそこに溜めながら料理して、終わったら捨てる、というふうに習慣づけておくと、排水口も汚れないしゴミもまとめやすくておすすめですよ。我が家では大掃除もしないので、使ったらその都度掃除するようにしています」(志麻さん)

 

↑「我が家では毎日漂白しているので、中まですごくきれいです」という排水口。使ったら放置せず手入れする、が結果的に楽することにつながります

 

インタビュー中、終始「何でも楽しくやることが大事」と、話してくださった志麻さんの生活はシンプルで、とても温かいものでした。料理がつらいなと感じている人は、いったん今の方法を見直してみてはどうでしょう。何を作るか、どう片付けるかと考えるよりも、肩の力を抜いてその日できる範囲のことを無理なくすることで、家事の負担が減っていくのかもしれません。

この記事に掲載した料理の写真はすべて、『志麻さんちのごはん』(幻冬舎刊)からお借りしたもの。志麻さんが日々を綴ったエッセイとレシピの中に、料理を楽にするヒントがたくさん盛り込まれています。

【プロフィール】

家政婦 / タサン志麻

調理専門学校を卒業したのち、渡仏して三つ星レストランで料理人として働く。帰国後は老舗フランス料理店やビストロで働いたが、日本でのフランス料理の在り方に疑問を感じて退職、家政婦となる。料理人としての知識を活かして各家庭の食事作りをするうちに、やりたかったことはこれだと強く思うようになり、現在も家政婦として働いている。『沸騰ワード10』(日本テレビ系列)、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)の出演をきっかけに全国的な人気となり、この3年で10冊以上のレシピ本を出版。近著はエッセイを盛り込んだ『志麻さん式 定番家族ごはん』(日経BP社)。
https://shima.themedia.jp/

【関連記事】家政婦・タサン志麻さんに教わる“肩の荷が下りる”フランス家庭料理の極意
https://getnavi.jp/cuisine/344289/

 

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